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医学モデルと生活モデル

ソーシャルワークや福祉を学ぶと必ず出てくる言葉、生活モデル。
その対の概念として出てくる医学モデル。

ソーシャルワーカーにはものごとがどう見えているのか、医学モデルと生活モデルをベースに考えてみます。

医学モデル・生活モデルとは

そもそもモデルとはなんでしょうか。

コトバンクによると、モデルとは「ある事柄の手本や見本となるもの」「模型」とのことです。

医学モデルと生活モデルにおいてのモデルは、"模型"という意味が近いと思われます。
もう少し分かりやすく言うと、"視点"でしょうか。

医学モデルと生活モデルは、障害学などで扱われる言葉でもあります。

医学モデルとは

お医者さんの診察のイメージに近いです。
「〇〇が悪いからこのお薬出しておきますね」

このように、個人の中に原因を見つけ、そこを解決していく考え方です。

原因→結果のサイクルを個人に見出すことが特徴です。

生活モデルとは

対して生活モデルは、生活者を主体とした考え方です。
こちらは、医学モデルとは違い、生活者が置かれている環境にも目を向けることが特徴です。

例えば、段差の多いバスステップを車椅子の方が乗り越えられない時に、その原因を個人に求めると、「車椅子に乗っているのが悪い」となってしまいます。

しかし、生活モデルでは、車椅子に乗っているその方を障害者として見るのではなく、障害を生み出しているのは段差という環境なのではないかと考えます。

環境側の障害が緩和されれば、車椅子は決して障害ではなくなります。

このように、個人と環境の接点を考えるのが、生活モデルです。

生活モデルは、モノづくりや住宅環境にも役立ちます。

現代の主流は、統合モデル

ここまで見ると生活モデルの方が優れているように見えます。

しかし、生活モデルの弱点は、無茶な環境変化を望みすぎる場合があるということです。

先ほどのバスステップの例で言えば、ステップをなくせ!というのは簡単ですが、その先の議論は放っておかれがちです。

現実的な対話が、個人にも環境にも求められます。

医学モデルと生活モデルは、最近では二元論ではなく、統合した総合的な視点を持つことが重要だとされています。

ソーシャルワーカーは、言葉に飲まれることなく、状況にあった視点をうまく使い分けることが大切です。

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