見出し画像

創作料理。コンビーフとキャベツの塩焼きそば


・材料

・焼きそば麺・・・・三玉
・コンビーフ・・・・一缶
・キャベツ・・・・・四分の一個
・オリーブオイル・・適量
・塩こしょう・・・・適量
・粉チーズ・・・・・適量

この材料を見て、何人分の量だろうと思われた方もいるかもしれないが、これは全部私がひとりで食べるための量だ。と言うと、私が大食漢であると思われるかもしれないが、本当は麺を二玉の予定だったのが、スーパーマーケットに三玉セットしか売っていなかったため仕方なく三玉にした。
私は両親と三人で暮らす独身四十四歳の男で本日の夕食は自分の分は自分で作ると言って、親は別メニューを食べた。
で、味はどうだったかと言うと、塩こしょうが強すぎてしょっぱかった。最初に麺に付いていた焼きそばソースの袋を一袋投入したのがまずかった。もったいないと思ったからだ。そして、フライパンの上の麺の匂いを嗅ぐと、あ、失敗だった、と思った。既製品の匂いしかしなかった。私がやりたいのはあくまで創作料理である。シンプルに塩とオリーブオイルと粉チースだけでコンビーフの香りとキャベツの味を引き立たせたかったのだ。私は塩だけを料理にふりかけた経験があまりなく、「塩こしょう」という塩とこしょうを合わせた既製品でないと、味の予想ができないので、仕方なく「塩こしょう」を使ったが、それもまずかった。
まず、熱したフライパンにオリーブオイルを引いて、切ったキャベツを入れ、ある程度炒めたら、コンビーフを入れてほぐしたら、麺を入れて、味を調え、完成だ。
三玉が悪かった。
塩こしょうの量が狂った。
学生時代の一人暮らしで野菜炒めを毎日作っていてその感覚でやったのだが、さすがに三玉は多い。私には三人分の塩こしょうの量はわからなかった。ゆえに多くかけ過ぎた。
しかし、粉チーズと焼きそばの組み合わせは悪くないと思った。今回は塩こしょうの量と、既製品のソースをかけたのがまずかっただけで、方向性としてはよかった。そういえば焼きそばにはマヨネーズをかけたりするが、チーズもイケることを「発見」した。この「発見」は「地理上の発見」と同じく、すでにそれを知っている人からは何の発見でもないのだが、私はなにかのレシピを参考にしたりなどせずに、「焼きそばとチーズ、合うんじゃない?」と思いやってみたから「発見」なのだ。創作なのだ。
今回の元には以前作った「コンビーフとキャベツのパスタ」があり、そのとき、「パスタよりもっちりした焼きそばにしたらもっと美味いんじゃないか」と思ったのがきっかけだ。私にはこの程度しか味覚の想像力はない。以前テレビで見ていたら、栄養士かなにか料理の専門家が、料理に入っている調味料を当てるというのがあって、その人は同じ料理から十種類以上調味料を当てていたから、音楽同様、ギターとピアノとドラムス程度しか聴き分けられない素人の耳と交響曲で使われている楽器すべてを聴き分けるプロの耳と同じように舌にもプロと素人があるようだ。私は塩とこしょうとチーズくらいの組み合わせしか、味のハーモニーが想像できないド素人だ。しかし、上達はしたい。道はまだまだ長く遠くまで続いている。これが登山であれば山の頂すら見えていない、まだ登山道の入り口に立っているのと同じだ。だが、登山道の入り口に立ったとき、人は思うものだ。
「よ~し、登るぞ~」と。

ごちそうさま

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?