私は異常
私は統合失調症を患って、二十五年以上が経つ。
友達はほとんどいないし彼女もいない。休日はいつも独りで過ごしている。
外食に行くのは独り、旅行に行くのも独り、何をするにもお一人様が当たり前になっていた。
しかし、これは異常なのだと最近思うようになってきた。いや、思えるようになってきた。
「どこかに旅行に行きたいな、誰と行こう?」これが正常な人の感覚なのだ。それなのに私ときたら、もう独りで旅行に行くことが前提で計画を立て始めることが当たり前になっていた。
統合失調症になってから、いや、その前から、高校生になった頃から、みんなで楽しむべき時に、いつも一歩引いた所から見ていて、楽しめず孤独を感じていた。中学生の頃はバカやってくだらないことでも楽しみ分かち合える友達がいた。高校生になってから将来のことばかり考えるようになり、現在の楽しみというものを見失っていた。そして、高校二年生で統合失調症を発症した。
その病気を治そうと思ったのは、大学三年生の夏だ。発症してから五年経って、ようやく、精神科を受診した。
「心のリハビリ」が始まった。異常から正常を目指して。
まずは服薬と睡眠をよくとることだった。服薬は欠かさなかった。
それからデイケアに通った。生活のリズムをつけ、人と話すことに慣れるのだ。
パートの仕事をした。肉体労働だ。働くことに慣れ、人と普通に話せるように、話のネタになる社会体験を積むのだ。
独りで旅行したり登山したりした。旅行も登山も独りで行く人は多い。私もそういう人間であるとしてカムフラージュするためだった。もちろん、一人旅することで思い出を作るためでもあった。
コロナ禍で旅行も登山も行けなくなった。家で独りで過ごすことが増えた。noteというSNSを始めた。多くの精神を病んでいる人、そうでない人と繋がり合えた。介護の仕事を続け十年目になろうとしている、職場にも仲間がいる。もう独りじゃない。
友達がいなくて当たり前、恋人がいなくて当たり前・・・それは病んでいた私にとっては当たり前だったが、本当は当たり前なんかじゃないんだ。異常なんだ。そう思えるようになってきた。それが今の私です。
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