見出し画像

ジャンダルムへの道は一般登山道ではなかった!


上の記事でジャンダルムへの道は「一般登山道」であると偉そうに書いたのですが、上の写真を見てください。これは奥穂高岳山頂から西穂高岳山頂へと続くルートの入り口に立つ看板です。その向こうにジャンダルムがあります。この看板にあきらかに、「一般登山道ではありません」と書いてあります。もし、この看板をよく読んでいたら、私は震え上がって、ジャンダルムを断念していたかもしれません。
しかし、私は去年、剣岳つるぎだけ(「剱岳」とも表記)に登っています。剣岳は日本百名山で最も難しいと言われています。それならば私は上の看板の「経験者」に当たるのかと思いますが、どうなのでしょうか?
私は剣岳の他にも、一昨年、前穂高岳から奥穂高岳に渡る吊り尾根という道を雨の中歩いています。そのとき、本当に死ぬかと思いました。吊り尾根は簡単だと事前に調べた情報ではあったのに、雨になると岩が滑り、霧で十メートル先が見えない、そしてどこにいるかもわからない、不安でいっぱいになりました。また、今年の五月に行った八ヶ岳の赤岳登山も未明の霧の中の登山で、暗く寒い岩山を自分がどこにいるかもわからない不安をかかえての登攀でした。しかし、この赤岳を乗り越えたときに決めました「よし、今年の夏はジャンダルムに挑もう」と。そして、今回、ジャンダルムへの前日、穂高岳山荘に泊るために雨の激しく降る中、ザイテングラートという岩場を登りました。以前吊り尾根を乗り越えた帰りにここを下山したときは簡単だったと感じましたが、雨が降ると、登山は晴れの三倍くらいは難しくなると思いました。
私はジャンダルム登攀の計画を立てたとき、悪天候ならば行かないと決めていました。しかし、どこにそのラインを設定するか、まだ決めていませんでした。しかし、この雨のザイテングラートを経験して、翌日の天気予報は九時が曇り、十二時が晴れだったので、晴れに向かう頃を見計らって行こうと思いました。雨ならば中止で、霧もあまりに濃ければ行かない。岩が濡れていても行かないと決めていました。しかし、天気は私に微笑みました。奥穂高山頂で霧の中に見え隠れするジャンダルムを見ていたら、晴れ間が見えてきました。さあ、行ってきます。

ジャンダルムの上にはすでに人がふたり立っています

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?