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秋の鳳凰三山登山の計画を立てる

私は先月、八月、鳳凰三山に行ってきた。
私にとって鳳凰三山はいつも初めての山で、最初は高校の山岳部に入って初めての山行が雪の鳳凰三山だった。そのときは夜叉神峠から登った。この登山の素晴らしさが現在、私が登山を続けるきっかけとなった。
そして、ブランクがあり、三十四歳、2013年の夏にひとりで山に登るという趣味を始めた。この最初の登山が鳳凰三山の夜叉神峠からの夏山だった。そして、今年、四十四歳、2023年の夏、ほぼ初めての、正確には二度目の、テント泊登山をした。それは夜叉神峠から途中の南御室小屋まで登り、テント二泊の中日に三山を登ってくるというものだった。

2023年夏

そして、また初めての秋の登山にこの山を選んだ。また、夜叉神峠からという計画だった。鳳凰三山ヘの登山口としては青木鉱泉という温泉宿から登るのが一般的らしい。しかし、私は上記のように初めての登山が夜叉神峠からだったので、そちらの方が馴染みがある。その登山道のいいところはずっと稜線を歩くので迷うことがないという点だと思っている。この秋は夜叉神峠から登り、薬師岳すぐそばにある薬師小屋に泊まる予約をした。そのときにどこから登るのか訊かれ、私は夜叉神峠から登る旨を伝えた。

2013年夏

しかし、さすがに四度目だから、コースを変えてみようかと思い、青木鉱泉からの計画を立ててみた。なぜなら、秋だから紅葉を見たいのだが、青木鉱泉からのドンドコ沢コースには滝がいくつもあって見応えがあると思ったからだ。紅葉と滝、写真映えがするだろう。私は次第に紅葉と滝というセットの魅力にとりつかれた。そこで、計画を青木鉱泉から登ることに変えた。その旨を、薬師小屋に電話すると、ドンドコ沢コースを登ってくるとなると八時間はかかる、十六時までには来てください、と言われた。たしかに時間がかかるのだ。私の家からだと、マイカーで夜叉神峠も青木鉱泉も二時間で到着できる。朝四時に家を出て、登山口に六時に着けばなんとかなるのではないか、と思っていた。しかし、時間が押していると、せっかく滝や紅葉という見所があるのに、先を急ぐためにゆっくりできないのではないかと考え直した。

2013年夏

今回の山行のコンセプトは、ゆったりと、紅葉と薬師岳からの夕日と朝日を楽しむ、というものだったのが、ドンドコ沢コースにするとハードな日程になってしまう。ドンドコ沢コースを登る人は大抵、三山の一番北側にある地蔵岳の下の鳳凰小屋に泊まり、翌日三山、北から地蔵岳、観音岳、薬師岳を縦走して、中道というコースを降りて、青木鉱泉に戻るというのが定番のようだ。私の立てた計画だと、鳳凰小屋に泊まらずにその日のうちに三山を縦走し薬師小屋に泊まることになる。これでは忙しすぎる。じゃあ、薬師小屋をキャンセルして、鳳凰小屋に泊まればいいとも言えそうだが、薬師小屋に私がこだわる理由は、小屋から七分で薬師岳山頂に登れるアクセスの良さだ。朝日と夕日を見られるためにこの小屋を選んだわけだから、そこは外せない。それに今回は初めての秋登山である。やはり慣れた夜叉神峠から登ろうと思う。滝は諦める。また機会もあるだろう。

2013年夏

しかし、今回の文章は誰に対しての文章だろう?よくわからない。私はただ、山の素晴らしさを伝えるために写真と文章で表現している。今回紹介した私の迷いは、ようするに十年登山をやっていても初めてはたくさんあって怖いということだ。怖いと言えば、今年は剣岳に登った。これは百名山で最難関と言われている岩の山だが、これに比べたら鳳凰三山など庭園のようなものだ。しかし、そこが怖い。油断が本当に大敵なのが登山だと思う。しかも初めての秋登山。何があるかわからない。いや、こう書いていると楽しみが湧いてきた。人生四度目の鳳凰三山。初めての秋登山。人生は楽しみで溢れている。

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