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【試論】死刑囚を剣闘士として東京ドームで戦わせたらいい

私は最近、小説家平野啓一郎の『死刑について』を読んで、死刑制度廃止の立場を取ることにした。だからといって、私が何かそのために活動しようとはまったく思わない。なぜなら面倒くさいからだ。そういうのは志のある法律家などがやればいい。
私ができることと言ったら、こうして文章を書くくらいのもので、他にできることはない。それほど意欲がないから、この問題に長く関わろうとも思わない。私は小説家になって、世界的に売れる小説をいくつも書くという夢がある。日本の死刑制度廃止に貢献しようという意欲は少ない。しかしながら、そういうことを時々考える私は選挙で政治家のうち死刑制度維持か死刑制度廃止かの二択しかないとしたら、死刑制度廃止のほうに一票入れようと思う。清き一票だ。
そんな私は小説家を目指すような妄想家で、今日も仕事帰りにいろいろ考えてきた。それが死刑についてだ。
死刑囚はどうせ死ぬなら、その命を公のために役立てたらどうだろうか?そういえば、古代ローマには剣奴(剣闘士)がいて、コロッセオという闘技場で殺し合い、そこに大勢の観客が集まり熱狂していたそうだ。たしかに、ボクシングやプロレスなど人が戦うのを見て熱狂するのは人の常である。フィクションでは殺し合う物語が根強い人気もある。だったら殺し合わせればいいじゃないか。誰を?死刑囚をである。
ただ無駄に絞首刑にするのはもったいないだろう。東京ドームとかを闘技場にして、殺し合わせれば、相当観客が集まりテレビも視聴率を稼げて、大もうけができるだろう。それが国庫に入れば、こんなに死刑囚が国益に適う存在になるのは他にないだろう。
人間同士の戦いも面白いが、ライオンや虎や熊など猛獣と戦わせても面白いかもしれない。人間が命を賭けて猛獣と戦う様を見るのは相当な興奮を伴うだろう。観客はそれを見るために前のめりになり、あるいは総立ちで注目するに違いない。あるいはお茶の間では手に汗握り幸せな家族が子供も含めテレビに夢中になるに違いない。子供にとってアニメどころではない。今まさに人が生きるか死ぬかの真剣勝負をしているのだ。これほどの見物みものはないだろう。水戸黄門のチャンバラのシーンや、あるいは人殺しの武将が主人公の大河ドラマ、あるいは高校生が青春を賭けて汗を流す高校野球も、剣闘士の面白さには遠く及ばないだろう。
今、高校野球で思ったのだが、こういうのはどうだろう?全国の死刑囚を集めて、トーナメントをやらせるのだ。優勝した者だけが生き残り、死刑も免れる。死刑囚たちは必死で修行に励むに違いない。私が子供の頃、マンガ雑誌『少年ジャンプ』で『ドラゴンボール』の「天下一武道会」という世界一強い者を決める大会の物語が売れたので、『少年ジャンプ』は他のマンガにも武術のトーナメントを導入した。『幽遊白書』『ジャングルの王者ターちゃん』『まじかる☆タルるートくん』他にもあったと思うが思い出せない。たしかに面白かった。誰が最強か。弱い者は死に強い者は生きる弱肉強食の世界。まさに我々平和な国に住む日本人にとって、一番本能的にわかりやすいが、日常にはない世界だ。誰が最強か?猪木か?モハメド・アリか?日本の死刑囚で誰が一番強いか?そうだ、ギャンブルにしたらもっと面白いだろう?優勝者と準優勝者を予想するのも面白いかもしれない。それが全部国庫に入り国民に還元される。最高じゃないか。カジノ?はぁ?玉がどの数字に入るかを賭けるなんて面白くないだろう?麻雀?卓上で何をやってやがる。競馬?競輪?競艇?平和だな。しかし、人が殺し合う姿ほど興奮する物はないだろう。上に挙げた、『少年ジャンプ』のマンガのように、子供にとっては最高の娯楽になるだろう。そういえばあの頃、格闘ゲームで『ストリートファイターⅡ』というのが流行った。ケンカの弱い奴でもゲームの中で強くなれた。ゲームセンターで、誰が最強か競い合った。それがマジで、目の前で死刑囚が殺し合うのだ。「いや~、必死に戦う死刑囚に勇気をもらいました」と多くの人が感動するに違いない。あるいは体が小さいのに、めっぽう強くて、ガタイのいい強敵を次々と殺していく姿は小さい子に夢を与えるに違いない。「僕もがんばれば、あの死刑囚のように強くなれるんだ」「受験勉強でを上げてる俺はなんだ?闘技場では毎晩、死刑囚が命を賭けて戦ってるんだぞ。受験くらいに負けてどうする?」
死刑囚の剣闘士構想が実現すれば、日本は剣闘士を娯楽の中心とした、経済活動が非常に活発な国になるだろう。
こんなことを言うと、誰か偉い人がこう言うかもしれない。
「君ねえ、死刑囚でも人間だよ。人権があるんだよ。その命を玩具おもちゃにするなんて人道に反することだよ。高い床の上に乗って首を縄に通して、執行人がボタンを押して、床がバタンと開いて、死刑囚が落ちて、縄が首に食い込んで、ボキッと首の骨が折れて、一瞬で死ねる方が、人間社会の素晴らしい在り方だとは思わないかい?」

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