見出し画像

カンボジアで乳がんになるvol.8 周囲に伝えるか?問題②

そんな自分で決めたことを貫くっていう、私の性格をよーくよーく理解してくれている友人がくれた言葉がある。彼女はバカなこといっぱいやって遊んだ大学時代からの親友。今は大学病院で働くバリバリキャリアウーマン。たまにしか会えなくてもなんでも話せる尊敬すべき大切な人。

彼女は医療関係の仕事をしているので、病院にかかる前、シコリが分かった時点で病院に行ってくると連絡を入れた。そして癌という診断を受けた時もすぐに連絡をして、ドクターからの診断結果を詳細に伝えた。

その時いろいろやりとりした後に彼女がくれた言葉がありがたかった。真剣に私のことを考えてくれているからこその言葉。

友人「幸から情報聞いて、治療の選択肢とか色々、私が持っている(聞いた)情報を全て伝える事が、今の幸にとって本当に必要か、重要かって考えてみた。
幸の今の生活環境とか周辺状況を知らないのに、私が知ってる情報全てを伝えてしまう事が幸にとって良いのかなって言う疑問が生まれた。
切らない方法がないかって、幸が思うように、幸にとっての一番が何かによって、情報提供や話す内容が変わるなぁって(情報を隠すって意味じゃないよ)
周りくどい言い回しだけど、仕事どうしたい、手術はタイでいいのか、その後治療何処でするか、等々何が一番優先するかによる。もう少し情報蓄えておくね」

その時私が彼女に伝えた気持ち

私「私の気持ちとしては、手術も抗がん剤も放射線治療もしたくない。50年生きてきて十分楽しかったし、やり残したなーって思うこともない。精一杯生きてきたから、ここで10年、20年長く生きるために手術して、入院して、治療してって。。。。なんか想像できない。
一般的な考えからしたらおかしいのかもしれないけど、今まで一般的な考え方をして生きてこなかったから、自分のやりたいように生きてきたから、今カンボジアで楽しく生きてられるんだと思う。
ただこのまま治療しないで放置した場合、痛みとか苦しみがあるのかなー、それがちょっと怖い。今の正直な気持ち」

このやり取りをしたのは、7月3日。バンコクの病院で癌と診断された翌日。LINEを読み返すとあの時の自分の気持ちがよみがえってくる。

この地球に生きている毎日は、日々いろんな情報がインプットされ、いろんな感情が一瞬一瞬で湧き上がってくる。そして、それを処理しているうちに、つい昨日の気持ちや感情でさえどこかへ消えてしまったりするのが人間というもの。忘れるっていいことでもあるけれど、やっぱりこうやって記録に残しておくと、自分自身の整理にもなる。そして、その瞬間に何を思ったか、何をしたか、そんなことが同じ経験をする誰かの役に立ったら嬉しいと思う。

癌と診断されてからの数日は「治療を受けたくない」という気持ちが強かった。
私のそんな気持ちに対して彼女がくれた言葉。

友人「治療するしないは本人が決める事だから、とやかく言う事じゃないと思ってる。ただ、それで本当に良かったって思える決断をする為には、それを決断出来る正しい情報を提供したい。タイが悪い訳じゃないし、日本の病院が良いわけでもない。何が正しいのか、これって神様にしか分からないと思う。治療をしなくて、生きる時間が短くなっても、治療をしても副作用の苦痛で長くなったら、それでいいのかって事だよね。ガイドラインに添った治療はあるけど、それが幸にとって良い結果になるかは本当にやってみないと分からない。ホント神様にしか分からないんだよ。

幸が考えてる気持ちは分かった。このまま治療しないでいたい気持ちも分かった。ただ安易な事言ってはいけないけど、乳がんはタイプによって治療が凄く効くから、確かに手術や放射線やもしかして抗がん剤で一時辛いかもだけど、治療が良く効く。
そして、乳がん放置はがんが皮膚に出て来たりすると、かなりmiserableな状態になる可能性がある。もう少し考えてみよう。今はがんて言われて、いろんな事考えてる所だからさ。

タイの病院も想像してたより凄く最新ぽくて安心した。
私も色々考えてみる。
でも、それがかえって幸にとって辛かったら遠慮しないで言ってね。医療者だからこそ片寄った考えになっちゃうかもだし。」

今読み返しても彼女が真剣に向き合ってくれている気持ちが伝わってくる。この言葉をもらったことで、自分自身もより真剣に「これからの人生を自分がどう生きたいのか」を考えた。

「自分のこれからの人生のために、この病気にどう向き合うのか」

仕事をやる上でもいつも思ってきたことで、ひとりで考えるよりもふたり、さんにん、って多くの頭や感情があると面白い。自分では見えてなかった視点があったり、発想があったり。
たくさんありすぎるとぐちゃぐちゃになってまとまらない、という意見もあるかもしれない。でも病気の治療に関しては、100%自分が主導権を持っている。みんなの意見をまとめる必要はない。だから、いろんな意見を聞いた上で自分がどうしたいのか、自分で決めればいい。決断するための情報をたくさんもらえるという点で、私は周囲の人に自分の病気について話したことはとてもよかったと思っている。

そして何より自分が友人たちからどれだけを愛されてるのかに気づけたことがよかった。彼女だけじゃなく、他にもたくさんの友達が愛を送ってくれた。真剣に向き合ってくれた。それに気づけただけで生きててよかったって心から思った。

みんなに心から、心の底から感謝している。私も友人たちに何かあったら出来る限りのことをしたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?