カンボジアで入院・手術

5月に右手人差し指の腱を損傷してしまってから、PCをうつのも大変でしたが、やっと指の中に入っていたワイヤーも取れたので2か月も使っていなかった人差し指のリハビリも兼ねて、自分自身の備忘録として今回の経緯を記録しておこうと思います。カンボジアでケガした場合の誰かのお役に立てばさらに嬉しいです。


5月20日の夜7時くらいにファーム(AngkorThom郡SvayChek村)で犬にご飯をあげるためにツナ缶を開けたのですが、その缶詰のフタで右手人差し指の第二関節の上あたりをざっくりと切ってしまいました。缶の切れ味はすばらしく、切った瞬間は出血がすごく、出血をおさえるのに必死でした。勤務時間も過ぎていたので私の周りには誰もおらず、指を押さえながら携帯のスピーカーでスタッフに電話。出血を押さえるためにバンドエイドか何かを持ってきてほしいと頼みました。傷がかなり深そうなので消毒してもらったほうがいいだろうということで、スタッフに運転してもらって村のヘルスセンターへ。ちょうど先生がお産に立ち会っていて見てもらえず、村の民間の診療所に移動。上半身裸姿のドクターがすっかりくつろいだ様子でできました。赤チンのような赤茶色の消毒薬をつけてくれて、包帯で指を巻き、赤と黄色というド派手なカプセル薬を抗生物質だから飲んでねと渡されました。傷が深そうだったので、縫ったほうがいいんじゃないかと先生に聞いてみましたが、縫う必要はない(縫う技術がないのか?は不明)と言われてそのまま帰宅。

普段から痛みには強いほうだし、その時は切り傷なので放っておけばそのうち治るだろうくらいの気持ちでした。処方してもらった薬も色からして怪しい感じで、もともと薬はあまり飲まないのでとりあえず薬を飲まずに様子をみようと自己判断。普通に台所仕事もしたりして(土はいじらなかった)数日を過ごしていましたが、日に日に傷口が腫れてきている感じがしたので、ケガから5日後の5月25日にシェムリアップ市内の病院へ行き、箱入りで薬の名前も分かる抗生物質も自分で薬局で購入して飲み始めました。それまで抗生物質を飲んでいなかったのでしばらく薬を飲んで関節の腫れや炎症が治まるか様子を見るということになりましたが、腫れあがった第二関節の痛みがなかなか消えず、第二関節がまっすぐに伸びず、曲がったままの形に変形していました。そんな風になってもまだ『切り傷だしそのうち治るだろう』と思っていた楽観的な私でした。

ちょうど指が変形しだした頃に、私の運転する車に友人が同乗する機会がありました。その時に車のカギも痛みで回せずに、右手に左手を添えてやっとカギを回している私の指を見て『ちょっとヤバいよ』と思ってくれて、しかも彼は医療関係者だったのでネットでも色々と調べてくれて、こういう症状になっているかもしれないから、もう一度病院に行ったほうがいいとアドバイスをくれました。放っておけば治ると根拠もなく思っていたので彼の指摘にちょっとビビってあわてて自分でも自分のけがの様子をググってみたら、指が変形してこのまま固まってしまうかもしれないという不安がでてきて、急いでまた病院に連絡して診察を受けました。それがケガから2週間後の6月1日。日本人の看護婦さんがいる病院なので、わざわざ日本の病院の整形外科の先生にオンラインでつないでくださってビデオ通話で診察をしていただきました。先生のおっしゃるにはレントゲンでは骨しかうつらないので、MRIをとらないと腱が切れているのか、感染して腫れているのかが分からないということでした。MRIはシェムリアップでは撮れるところがないため、シェムリアップにあるロイヤルアンコール病院の系列のロイヤルプノンペン病院でMRIを撮ってもらうことになりました。

プノンペンへ6月3日に移動、国内線も週1くらいしか飛んでいない状況の中、たまたますぐに予約が取れて朝のフライトでプノンペンへ行き、空港から病院に直行。タイ人のドクターが診察をしてくださって、「これは腱が切れているからすぐに手術だね。腫れているところが感染症が原因の場合はまずはその膿、水をとらないといけないので、手術を2回することになります、まずはMRIで確認しましょう」とのことで、人生初めてのMRI。ガンガンなるって聞いていたのでドキドキしましたが、イヤホンもしてくれるので全然気にならないくらいで、初めの1時間はウトウトしてしまいました。そのあとに造影剤を入れての撮影。計1時間半くらい寝たまま右手を伸ばした格好で筒の中に入っていました。MRIの結果は翌日ということで、翌朝6月4日のお昼に再診。感染は見られないので手術は腱をつなぐだけの1回ということで安心しました。そのまますぐに入院、その日の夜に手術になりました。全身麻酔というのが心配でしたが、手術の前に麻酔のドクターが病室まで説明に来てくれて、心配ごとがないかを色々と聞いてくれました。中学生の時にバスケットで損傷した足の靭帯を手術した際に全身麻酔からなかなか起きなかった経験があるのでちょっと心配という話をしました。とっても品のいいタイ人の女性の先生で話をしたら不安がなくなりました。

6月4日の夕方4時から手術。30分前に手術室へ移動。オペ室の前で30分ほど先生が準備ができるのをストレッチャーで寝たまま待機。その間、カンボジア人の看護師さんがどうでもいい身の上話とかをしてくるので気がまぎれました。準備ができたということで、午後4時を過ごしすぎてオペ室へ。担当のドクターが笑顔で迎えてくれました。すぐに注射を打たれたのですが、血管に入っていくのがもぞもぞしてすごく痛いやつで、麻酔の先生に『痛い』って言ったらすぐに口を覆われてそのまま眠りの世界へ。。。。そのあと目が覚めたときは壁の時計は6時半。ぼーっとしながらも指の激痛で叫んでたのをなんとなく覚えています。『いたーい、いたーい』って叫んでるあっちのほうで携帯でおしゃべりしているナースが見えました。『切ったんだから』痛いの当たり前でしょ』って感じで、痛み止めを打ってくれて少し落ち着いて。意識が戻ってから病室に戻りました。

そのあと痛み止めと抗生物質の投与のために4日間入院してシェムリアップに帰りました。通院、診察費、MRI、入院費、手術費やシェムリアップからの移動費などを含めると今回かかったのはトータル約10,000ドル。これが海外旅行保険に入っていればすべてキャッシュレスで保険会社が対応してくれますが、病気もしないし、年間20万円ほどの海外旅行保険に入るのはもったいないなぁと思っている私は全額自己負担。保険についてはまた別の記事で書きたいと思います。ちなみに今まではクレジットカード付帯の保険でまかなえていたのですが、日本を出国してから90日以内という制約があり、このコロナの影響で2019年12月から日本に行っておらず、カード保険の対象外となってしまいました。今までは3か月に一度くらいはちょこちょこ日本に行っていたのでカードの保険でなんとかなるから海外旅行保険に入るという選択はなかったのですが、今回の高額の出費で保険について色々と見直しを考えています。

今回感じたことは、小さな痛みや小さな切り傷でもあまく見るな。破傷風の心配もあるので(ファームにいれば土を触るのでなおさら感染リスクが高まりますね)ケガをしたらすぐに破傷風の注射を打っておくべきだったということ。今回破傷風も免れたし、傷口の中が膿んだり感染したりということもなかったのですが、ただの切り傷と思って過ごした1週間、がんがん普通に水いじったり、ファームで犬とたわむれたりしていました。今後は小さな傷が命取りになる可能性もあるということを肝に銘じておきます。そして、もうひとつは、すこしでも早く医師の診察を受けること。誰かが体調を崩したり、ケガをしたりしたら、『早く病院に行ったほうがいいよ、お医者さんに診てもらって何もなかったらそれでいいんだからまずは病院へ行こう』なんて偉そうに言っていますが、自分のこととなると『もう少し様子を見てから。大したことはないだろう、病院に行くほどじゃないし』と自分は大丈夫だろうとついつい後回しにしてしまいます。

今回シェムリアップの病院で『腱を切ってすぐだったら僕でも手術できるけれど、もう腱が切れて2週間もたっていると切れた腱をつなぐのはちょっと難しい』と言われました。切れた腱がどんどん離れてしまっているのでそれを引っ張ってつなぐには技術がいるとのこと。正直に『僕にはできないからプノンペンの先生に手術してもらったほうがいい』って言ってくれたドクターには感謝。

6月17日に抜糸して、7月8日に指の中に入っていた針金みたいなワイヤーを抜きました。9日からリハビリをスタートして5日目。まだまだ腫れていて関節は曲がりませんが、焦らず気長に頑張ります。今まで普通にできたことが、たった一本の指を損傷しただけでできなくなって驚きました。ワインが空けられないとか(何度ワインを飲むのをあきらめたことか。。。)、包丁が使えなかったりとか、瓶のふたがあけられないとか。お箸も持てないので、カンボジアではスプーンとフォークが一般的なので助かりました。

手術を受けたのは、中学時代の靭帯損傷以来35年ぶり。カンボジアでは今回初めての手術でした。元気で過ごせる毎日が奇跡と感謝しかないとつくづく感じ、周りにいる人たちのサポートが有難すぎて感謝の毎日でした。コロナの今の状況にも焦るのに、身体が思うように動かせないことにも焦りを感じる中、友人との何気ない会話が何よりもの救いでした。農業を生業としているのにもかかわらず、利き手が使えず農作業なんてできるわけもなく。。。何も役に立たない自分に焦りも感じましたが、私には右腕がいるじゃないか、左腕もいるし、頼りになるメンバーがいる、自分がやらなくちゃって思わずに周りに頼ったらいいということも身をもって感じました。そんな風にケガのおかげで気づいたことがたくさんあり、いつだって必要な時に必要なことが起きるのだなと思います。

痛いのはつらいのでもうケガはしたくないですが、いい経験になりました。



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