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いまフランスは狂気的内乱で地獄になっています。

移民大国アメリカはもちろんだけれど-Oh, mon Dieu ! -いまやフランスが大変なことになってますね。


おもえば2019年4月15日、パリのノートルダム大聖堂は火に包まれ、尖塔部は崩れ落ちた。原因は大聖堂修復用に設置されたエレベーターのショートだったと推測されているとWikipedia には示されてはいるけれど。ただし、当初から移民による放火の疑いがもたれていて。しかも同年7月18日、フランス西部ナント地方の大聖堂で大火災が起こり、こちらはルアンダ出身の男による放火であると明示的に報道されました。merde‼ これによってもとからくすぶっていたフランス系フランス人による移民排斥感情が顕在化した。そもそもフランス系フランス人のなかにも失業者もそれなりにいる。結婚したくてもできない人もまたいる。かれらはおもう、ふざけんじゃねー、移民の糞野郎ども。他方、移民たちは何世代にもわたって〈二級市民〉のポジションしか与えられていません。フランスにおいて差別は制度的に歴然と存在しています。ただし、だからと言って果たして暴動を起こせば差別はなくなるでしょうか? なくなるはずがありません。ならば、かれらはいったいなにを目的にこのようなでたらめな暴動を起こしているでしょうか? それはかれらがただひたすらフランスをぶっ壊したいからでしょう。なお、ここで〈かれら〉とは若いムスリムたちであり、そのほとんどはフランス移民の2世~3世たちです。かれらはフランス法よりもイスラム法にこそ従う人たちです。これがフランスの内政をきわめて不安定にしています。


そのうえ火に油を注ぐような事件が起こった。今年2023年5月27日、アルジェリア系フランス人のNAHEL Merzoukくん17歳が無免許運転だった。警察官はNAHALくんを検問した。ところがNAHALくんは振り切ってクルマを発進させた。警察官はNAHALくんに発砲した。これによってNAHALくんは死んでしまった。なお、警察官による発砲で人が死んでしまった事件はこれまでも毎年数件起こってきた。しかし今回はこの射殺の瞬間を撮影した動画SNSがにアップロードされたことによって、これによって移民系の怒りに火がついた。暴動はパリ各地のみならずマルセイユ、リールそのほか広範囲に広がっています。


この事件を公平に理解することは難しい。たしかにフランスは歴史的にアルジェリアに乱暴狼藉を働いてきたどす黒い過去がある。しかもフランスでは、アルジェリア人たちがフランスで最初の移民コミュニティを作った。すなわちフランスにおいてアルジェリア問題は移民問題の象徴なのだ。アルジェリア系フランス人のティーンエンジャーがたかが交通法規をちょっと違反し、検問を振り切ってクルマを発車させただけのことでフランス系フランス人の警察官に射殺されたのだ。こんなことがあっていいわけがない。(もっとも、この反論に正当性があるかどうかはやや怪しい。いくら自由、平等、友愛の理念を掲げていてもフランスは法治国家、警察の検問を振り切ってクルマを発車させる者に正当性はない。しかも警察官は射殺を目的に撃ったわけではなく、結果的にNAHAL くんは死に至ったのである。だからこそ、今回の事件には警察官への同情の声も少なくない。ところが)移民たちはこの事件を差別問題として理解し、激怒する。移民たちにとってはもはやこれ以上不当な差別に甘んじるわけにはいかない。ふざけんじゃねー、バカ野郎。こうしてフランス社会に衝突が相次ぎ、NAHALくんに同志意識を持つ移民系ティーンエイジャーを中心に暴動の火の手は燃え広がり、もはや収集がつかなくなっている。真夜中のフランスは内戦中。標的にされるのは市庁舎、学校、警察署、スーパーマーケットやバス停だ。それらの建物は窓ガラスが割られ、花火がいたるところに投げ込まれ、商品は次々盗まれる。自転車屋からは自転車が、バイク屋からはバイクが、自動車屋からはクルマが盗まれる。Louis VuittonもZaraもNikeもショップが破壊され、商品は盗まれ放題。さらには路辺のゴミ箱に火が放たれ、停車中の車の窓ガラスが割られ、火が放たれる。フランス国旗が燃やされる。被害店舗は千店舗以上。すでに逮捕者、拘束された人は3500人を越えているそうな。Oh, mon Dieu !


この展開は各国で注目され、とくにアルジェリアはもとより隣国モロッコでも、ひいてはマグレブ全土でもきわめて高い関心を持たれています。いずれも旧フランス植民地です。


もっとも、だからといって前述したとおりもっぱらフランス政府および警察権力が悪いと非難すればいいというということでもないでしょう。なぜなら、移民系のなかには貧困層が広がり、ティーンエイジャーからギャングに属する者も多く、法を護る気などさらさらない奴らもいる。とうぜん警察官は日々かれらの違法行為に接し、おのずとかれらを敵視するようになる。だからといって交通違反をした移民少年を射殺していいはずはないけれど、ただし警察官にはまた警察官なりの文脈があることは想像に余りある。



いずれにせよ、かつて存在していたフランスはもはや崩壊してしまった。文化と芸術の国フランスはいわば内戦で焼き尽くされた。すなわち、〈多様性〉はけっして賞讃されるばかりではなく、負の側面もあることをわれわれは知る。フランス国内に、フランス法に従わずイスラム法に帰依するムスリムたちがすでにひじょうにたくさん存在しているのだ。これを国体の危機と言わずしてなんと呼べばいいだろうか? 果たして文化左翼たちはフランスのこの惨状を歴史的必然として歓迎するのだろうか?




見覚えのある展開じゃないですか。アメリカ、ミネアポリスで2020年5月25日に起こったGeorge Floyd殺害事件以降のアメリカにおける暴動の頻発とまったく同じです。まさか誰かがシナリオを書いているわけでもあるまいに、とおもいながらも、しかし、きなくさい印象はぬぐえません。いずれにせよ、移民問題はいまや世界各地で深刻な問題になっています。さまざまな出自を持つ人たちがにこにこ平和に暮らしているのは西葛西くらいのもの。新大久保でさえも謎の火災が絶えません。西川口に至っては先日、クルド系トルコ人の武装集団とトルコ系トルコ人集団の乱闘が報じられました。なるほど、多様性の擁護という理想は美しいし、生態系において重要性はまったく重要であるにせよ、しかし(近年文化左翼が推進中の政治的正しさのその指標とされもする)文化的多様性はなるほどあるていどあった方が良いにせよ、しかし文化的多様性には行きすぎると社会秩序を崩壊させかねない危険もまた潜んでいる。果たして岸田総理はそれを認識してらっしゃるかしら。


陣野俊史さんは著書『魂の声をあげる Le Cri DeL’Âme 』(アプレミディ刊 2020年)のなかでBigflo & Oliのトラックを紹介しておられます。これは、ノートルダム大聖堂の大火災以来巻き起こった、フランス系フランス人による移民排斥運動に対する移民の怒りと悲しみを移民系RAPPERが表現したものです。

後記:2023年7月16日現在、フランスの暴動はそろそろ鎮圧に向かいつつあるらしい。

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