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伝えてほしい。

おもっていることは伝えないと伝わらない。
だからわたしはできるだけ、伝えるようにしている。

金曜日の夕方れんぽんに言った。
「月曜日からもう会えないかもしれない。明日から会社も休み。だから今日帰る時さよならしていってね」と。
「さよならじゃないし」そう言って、ちょっとふてくされるれんぽん。
今日からどうなるのか、ただただ不安。

わたしはいままで仕事をすごくがんばってきた。
まわりに見下されないように。
わたしは人と話すのが苦手で、ふだんは最低限のことしか話さない。
でもそのぶん仕事をがんばった。
そのがんばりをれんぽんは認めてくれて、よく話しかけてくれるようになった。
それで仲良くなったのだと、わたしは思っている。
れんぽんを好きになるなんてぜんぜん思ってもいなかった。
ある意味ライバルのような存在だと思っていた。
話をするうちに、だんだんれんぽんのことを好きになってきてることに気づいて、これが恋愛に発展しないようにしないとな、と思うようになった。
そして、気づいてしまった。
もうそんなに好きになっちゃってたんだな、と。

「何?なんでこっちみてるの?」
とれんぽん。
気づかれてしまうほどみてたのか・・・
「みちゃダメなの?」と返すと「いいけど」と。
いや、ダメだよね、仕事しなよ、わたし。
仕事をがんばっては来たけど、仕事がすごくできるわけでもないし、いろいろわかるわけでもない。
それをれんぽんは「謙遜もほどがすぎるとよくない」というのだけど、謙遜ではなく事実なんだから。
わたしが仕事をがんばらなくなったら、どうなるのかなという不安。
れんぽんを好きになって、がんばれなくなった。
こんなの言い訳だけど、でも、どうしても気になってしまう。
仕事をがんばれなくなったら、ここにわたしの居場所なんてない、そう思うようになった。
そして、わたしは会社を辞めようと考えるようになった。
仕事が手につかないくらい、れんぽんのことを好きになってしまった。
自分でもどうしたらいいかわからなくなっていた。
誰にも相談できず、れんぽんに打ち明けるしかなくなった。
そして伝えた。
「会社を辞めようか悩んでいる」と。
理由をきかれた。
「一身上の都合で・・・」と言ったら「それは書類に書くやつでしょ、理由は?何?次の仕事先は?悩んでるってことは、まだ決定じゃないんでしょ」と。
反対されたし、引き止められた。
まあ、そうするよね。
そうなるよね。
「辞めて、その方が幸せになれるなら、その方が人生が、未来がひらけて、自分のためになるなら辞めるのに反対はしない。でもそうじゃないならそばにいて一緒にがんばってほしい」と言われた。
そばにいて・・・
笑うしかなかった。
わたしがそばにいたいとおもう気もちと、れんぽんが言うそばにいては意味が違うのだよなあ・・・なんて思いながら。
そして、れんぽんは言った。
「なんとしても辞めさせない。社長をつかってでもなんでもひきとめる」と。
いやいやいや、社長って・・・社長をつかうって・・・
そういうことじゃないんだよ。
社長をつかってなんてそんなことされたら・・・
そして、わたしは、れんぽんにおもいを伝える決心をした。
そして告白した。
3月。
あれから2か月か・・・
もうずいぶんたったような気がしてたけど、まだ2か月なんだな。





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