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日本に革命はあるか

山本七平の著作に「日本的革命の哲学」という、承久の乱を主体にした一冊があります。
承久の乱 - Wikipedia

山本が指摘しているように、承久の乱の後に北条氏が行ったことは

  • 君主のすげ替え

  • 独自の法律制定

などで、西洋文明の評価では

立派な革命!

です。しかし、日本の歴史では「承久の乱」であって、「武家政権革命」などの表現はありません。

この理由を考えると、私達は「中国の易姓革命の発想」で考えているから

天皇制が残るので革命ではない

が出てきます。

さて、中華文明の「易姓革命」について、私達はあまり理解していないと思います。この発想は、中華文明では

支配者は天の意向で選ばれる
支配者の徳がある限り王朝は継続
徳を失えば王朝を交代
つまり姓を変える
中国の歴代王朝一覧 - Wikipedia

と言う形で、王朝が交代します。これを「革命」と呼んでいます。

こうした、王朝交代がないから

日本は革命がない

と言う表現になります。

さて、ここでは「革命」について、広い見方で考えました。つまり

  • 中華文明:天の認める徳を失う

  • 西洋文明:今までの政治のリセット

  • 日本文明:今までを棚上げ新しく加える

と言う違いです。例えば、承久の乱の後では

北条泰時は武士に対して御成敗式目を定める

と言う形で、天皇を棚上げして、武士の社会を支配しました。これは、上で書いた、中華文明や西洋文明の革命、とは違います。

こうした、三つの革命の違いは、支配者の選び方の思想が反映しています。つまり

  • 中華文明:古代の聖人の支配が理想
     それに近づきそうな徳のある者を選ぶ

  • 西洋文明:進化した者が支配する
     より進んだ者が出れば交代

  • 日本文明:現在に対応する能力ある者が支配
     今までの問題点を改善していく

と言う発想です。

このように見ると、日本の文明の特色が見えます。

つまり

  • 中華文明は退化論

  • 西洋文明は試行錯誤的進化論

ですが、日本の文明は

現状に改善を加える進化論

です。ここで西洋文明との違いは

西洋文明は神の理想は到達不可
日本文明は我々が神になる

と言う発想の違いです。神になる立場で

現状で最善

と言う姿勢です。

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