社会学の利用法
社会学が使えないか
「社会学」は、人間の社会での行為を解釈し、説明する学問です。このように考えると、「社会学」の応用範囲は、もっと広くなるでしょう。例えば
お客様は何故これを買うのか?
と言う疑問へ応えるために
「社会学」の方法が使えないか?
この様な発想で考えました。一般的に
学問は客観的な一般法則
を求めます。こうした一般法則は
なぜそうなるか
説明ができるので
色々と応用が利く知識
となります。もう少し言えば、知識は今までの経験を応用できるようにして
上手く予測して無駄な失敗をしない
ための道具です。
この力を上手に使うことができれば、自分の生活を効率的に、豊かに出来るでしょう。
社会学の方法
マックス・ヴェーバーは「社会科学の根本概念:清水幾太郎訳、岩波文庫」で
「社会学は、(行為者が意味を含ませた)社会的行為を解釈により理解する方法で、社会的行為の過程および結果を因果的に説明しようとする科学を指す。」
と書いています。つまり
社会学は社会での行動の意味を明確にする科学
(意味は原因と結果の関係)
です。次にヴェーバーは、意味を考える対象を、次のように分類しました。
歴史的な事例で主観的な考え
特定の個人の考え
当時の平均的な人の考え
概念的に構成した類型上での考え
例えば、江戸時代の商人を考える時、紀伊國屋文左衛門のような、特定のキャラクターを考えるか、それとも江戸時代の普通の商人という風に考えるか、または「商人」という、理想化した類型の上で考えるかの違いです。ここで「理想的」と言うのは、道徳的な意味でなく、物理学で言う「理想気体」等のイメージです。ニュートンは、万有引力の法則を考えるとき、太陽と地球の関係で考えましたが、この時、太陽や地球は
「大きさを無視し、一点に全ての質量がある」
と、単純化して検討しました。このように他の影響は除外した「単純化」したもので考えると、因果関係が明確になります。こうした物理学の成功を、社会学でも追いかけます。
歴史の事例で考える方が、イメージ作りが容易です。そこで、社会学の方法を訓練するなら、まず歴史上の事例で考えましょう。特に
「XXはYでは起こったがZでは起こらなかった」
と言う問題を考えて
「YにあってZにないものは?」
と考えていきます。例えば
「中国では産業が振興し経済大国になったが、ロシアは経済発展に失敗した」
と言う問題に対して
「中国には、儒教などの勤勉の教えがあるが、ロシアにはない」
と言う風に考えるのが一例です。
さて、次に歴史的な具体例を、一般化して類型化します。この場合には
「勤勉を善とする国なら産業は振興する」
と言う一般法則になります。これは、ヴェーバーの有名な「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で主張していることです。更に、この主張は、日本では、「石田心学の勤勉を善とする教え」と、現在の経済発展で、当てはまります。
こうした、類型を作る発想を身に付けると、現実の問題を解決する力がつきます。
なお、人間の行動には、意味ある行動と反射的な行動があります。つまり、理解し説明できる部分もあれば、できない部分もあるのですが、今回は理解できる部分を検討します。
さて、人の行動を理解する場合に
合理的な行動ー>意味を考える
感情による行動->感情移入し共感する
の二つを、分ける必要があります。合理的行動を考えるならば
目的に対して適切な手段
つまり
望ましい結果を得る行動
について
類型パターン化した人と場面
での行動を考え、因果関係を明確にします。こうした、類型的な場面での人の動きの意味を説明していくのが、主要な手法です。
こうした類型的なモノを考えるためには
複雑な対象の細部を無視し
主要な項目に着目
します。
例題として
「ブランド品の購入:特にバッグ」
について考えて見ます。ここで購入動機は
「ブランドイメージがよい」
が強いでしょう.確かにそのものの
「使い勝手」
なども影響しますが、とりあえずは無視します。さて、このようなブランドイメージは、どのように作られるでしょう。
「マスメディアの情報、有名人の利用状況」
「知り合いの利用」
等で
「自分も持ちたい」
と言う動機付けができています。
こうした
大胆な簡略化によるモデル化
によって、行動の意味づけを考える手法は、色々な物事を考える手法になります。
なお、このような意味づけだけで、全ての場合を尽くすことはできません。感情的な要素もあるし、価値観や伝統の影響もあります。
しかしながら、モデル化して意味を考えたうえで、更に修正する.この時には、考える範囲が狭くなっているので、検討が楽になります。これが、社会学的手法の実用化です。
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