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試行錯誤は悪いと言う価値観

前に、
人間の「フレーム問題」解決事例|鈴木良実|note
で書いた

試行錯誤による問題解決

の難しさを書きました。こうした努力が、新しいモノを生み出すのです。

しかしながら、現在の工業社会では

できるだけ試行錯誤をさせない
のが
よい管理方法

と言う考えがあります。

一例ですが、ある制御盤の設計者が、何度も盤内で使うケーブルを、手配していました。理由を聞くと

盤を作った後でケーブルを配置したら
寸法が合わなかった

と言う答えが返ってきました。私もこれにあきれて

盤の図面上で必要寸法を計算しろ

と言ったことがあります。こうした

物作りの前に机上で見通し
試行錯誤をしない

と言う発想は、効率的な物作りに大切です。

そこで、新入社員の時から

試行錯誤をせず机上検討で見通せ!

と躾けるようになり、これが価値観になってしまいます。

しかしながら、こうした机上検討が力を持つのは、ある程度成熟した分野です。先ほどの事例は

機械的な物作り

と言う成熟した分野でしたから

図面のままモノができる
従って
図面上でケーブル長もわかる

と言う状況です。

しかしながら、人間的な要素に、多様かつきめ細かく対応する、IT関連の技術では

実現時の細部変更が全体を変える

可能性もあります。このような分野では

支配的な理論も未成熟
なため
机上検討に限界がある

のです。従って

試行錯誤の善悪は状況で判断

する必要があります。

しかしながら、このような試行錯誤の良否など

価値のレベル

の問題は、議論の舞台に乗りにくい傾向があります。この議論を行うためには

技術の成熟度

をキチンと評価して決断する必要があります。こうした決断をしっかり行うことが

本当の管理者

だと思います。

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