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護身法について その三

 今回は、少し見方を変えて、「向かい火」について考えて見た。

 「向かい火」について、今の若い人たちは、あまり知らないと思う。なぜなら、現在の消火方法は、大量の水をかけて火の熱を奪うか、化学薬品の泡などで包んで空気を遮断する方法が使われている。しかし、鎮火させるための、もう一つの手段がある。それは、

「燃える物をなくす」

であり、江戸時代までは

「破壊消防」

として、消火の主流であった。さて、燃える物なくす、簡単な手段は何があるだろう。一つの手は

「先に燃やしてしまう」

である。これが「向かい火」の発想である。こうした向かい火の基本は

「自分を風上において火を放つ」

ことである。自分の方に火が来ないように、風を読んで火を放つ。

 さて、向かい火の目的は大きく分けて二つある。一つは、自分の逃げ道を作る為であり、もう一つは鎮火させる為の向かい火である。逃げるための向かい火は、風下への逃げ道を作るため、方向が決まれば、直ぐに火を放つ方が良い。

 一方、鎮火のための向かい火は、現在燃えている方に、火が流れていくように燃やす必要がある。つまり、火がぶつかり合って、お互いの燃料を食い潰して鎮火を狙っている。そのためには、燃えさかっている場所の、風上から火を放つ必要がある。しかしながら、自分がいるところが風上でない場合はどうすべきだろう。

 実は、この答えは

「ギリギリまで火災を近づけると、火の力で上昇気流が発生し、火の方に向かって風が出てくる。それを待って火を放つ。」

である。

 さてこの発想は、護身一般にも使えそうである。

 逃げる場合なら、できるだけ早く行動する。

 迎え撃つつもりなら、ギリギリまで引きつける。

このような発想はあると思う。

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