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月に跳ねる

「月の裏側に住む兎は寂しい」
「何故?」
 海のない、ごつごつとした荒涼たる世界が寂しいのだろうか?
「月の裏側は地球に向かない」
「それが?」
「永遠に君に会えないだろ」
「月にいたらどの道会えないでしょう」
「そんなことはないよ、現に僕は」
 闇夜に浮かぶ明るい月に、ぴょんと兎が跳ねた。


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