パレットクラブ日記 第15回・杉浦さやか先生「イラストエッセイを描く」
※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら。
今回は、楽しみにしていたイラストエッセイの回。講師は杉浦さやか先生だ。イラストエッセイには学生時代から憧れがあって、新聞の日曜版に載っていた食がテーマのエッセイなどを見ては、素敵だなぁと思っていたものだ。
しかし、ぼんやりと憧れるだけで、ほとんどそれらしきものを描いたことがない。勉強のために杉浦先生の新刊『ニュー東京ホリデイ』を購入した。これがまぁ素晴らしかった。情報の密度の濃さにまず圧倒されるのだが、中心となるイラストのほのぼのとした可愛らしさ、それに加えて見やすいレイアウトも圧巻だ。課題を忘れて読み耽ってしまう魅力にあふれている。これは取り組みがいのある課題になりそうだと思った。
エッセイのテーマは「私の好きなもの」で、ポストカードサイズでの制作。名刺がわりにサッと渡せるコミュニケーションツールとして、杉浦先生が提案してくださった。自分の好きなもの……改めて考えようとするとなかなか浮かんでこない。手を動かすうちに何か思いつくかもしれないと思い、まずは行きつけのインド料理店の紹介記事から始めることにした。
エッセイ①インド・ネパール料理店「ナマステ」の紹介
似顔絵もあるため線画を採用。ジャヤさんのいい人ぶりをもっと伝えられたらよかった。エッセイというよりお店ルポ?という気もしてくる。イラストエッセイ、難しい。
エッセイ②ベジブロスの紹介
Twitterでフォロワーさんから教えてもらった、野菜くずの出汁「ベジブロス」。カレーには必ず使っている。すごくおいしくなるのでおすすめだ。
楽しく描けたが、これは果たしてエッセイなのか……?という感じはやはり拭えない。タッチがバラバラなので、統一キャラとして猫ちゃんを登場させている。
エッセイ③スニーカーが好きだという主張
だんだんエッセイっぽくなってきた。すっきりしたデザインで気に入っている一枚。
エッセイ④猫の好きなところ・1
猫まんがの延長で描いた一枚。これはふだんから強く思っていることなので、自分らしさが出ていると思う。
エッセイ⑤猫の好きなところ・2
以前パステルで描いたイラストを用いて制作。猫の動きが出るように構成した。文字の強さと絵のバランスが難しい。
講評
杉浦先生からのコメントは以下のようなものだった。
1)好きなのは②と⑤。絵の個性が出ている。
2)①……ちょっと固い。本当に好きで描いているのかな?という気がする。
3)③……見ても流れてしまう。個性が見えにくい。
4)④……イラストは1つでもよかった。
5)②のペッパーミルは余計だった。これ以外絶対ありえない!というレイアウトを考えることが必要。
6)⑤……イラストがもっと大きくてもいい。
床山が気に入っている③や④はイマイチだったようだ。今回はちょっと感覚が合わなかったかな、という感じがする。5)6)のレイアウトの推敲については今後の課題。せっかくデジタルで制作しているのだから、もっと工夫できるはずだ。
講評に入る前に、先生がお持ちくださった資料の紹介があった。『ニュー東京ホリデイ』のラフや原画、進行表、取材のスケジュール。雑誌社への持ち込み用に作ったファイル。ふだん描いている日記がわりの記録帳や旅行の記録。資料用のスクラップブック……etc.。
あとでじっくり見せていただいたが、杉浦先生の几帳面さ、エネルギーの高さがよくわかる貴重な資料だった。しかも、先生のお仕事は全てアナログ。
拝見して、自分、こんなに努力しているか?いや、していないよな。と思わず自問自答してしまった。ここまで努力されているから、第一線で長くお仕事できるのだ……ということを実感した。
講評の際「自分の好きなものを考えるのが難しかった」とお伝えすると、「でも、それが一番大切なことよ」と先生。
自分の好きなものは絵の強みに繋がる。ふだんから自分の好きなものをスクラップしたり、記録に残したりしておくことは、あとで財産になる。このことを学べたのが今回いちばんの収穫だったと思う。
年内の授業は残り1回。気持ちを新たに、また頑張ろう!
いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。