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パレットクラブ日記 第22回・大久保明子先生「装画を描く」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら

全33回の授業も残すところあと3分の1というところまできた。今回の講師は文藝春秋デザイン部の大久保明子さん。『火花』や『そして、バトンは渡された』など、数々のベストセラーの装丁を手掛けられている。

その大久保さんからの課題は、ド直球の「装画を描く」! イモトアヤコ『棚からつぶ貝』・芹沢央『汚れた手をそこで拭かない』・ 伊吹有喜『雲を紡ぐ』の3冊から1つ選び、装画を仕上げるというもの。数多くのイラストを選別してきたプロの眼前に絵を晒すことになるわけだ。とても緊張する。

本選び

まずは自分の画風に合っている本はどれか、選ばなくてはならない。そのためには3冊全部読みたいところだが、とてもその時間はない。さらにプロフィール漫画にも描いている通り、床山は現在うつの療養中。病気になって以来、読書が不得意になってしまった。迷いに迷って、今回は本を読まずに課題に取り組むことにした。

ネット上であらすじだけ追ってみた。ポップな絵なら『棚からつぶ貝』、ダークな絵なら『汚れた手をそこで拭かない』、温かみのある絵なら『雲を紡ぐ』だろうとアタリがついた。本当は、今描いている女性イラストのタッチで描ければいいのだが、どれにも当てはまらない気がする。結局、一番テイストの近そうな『雲を紡ぐ』を描くことに決めた。

制作した装画

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盛岡のお話であること、ホームスパンと呼ばれる手紡ぎの糸で織った赤いショールがキーアイテムになっていることから、岩手山をバックに主人公の女の子がたたずむ構図にした。道は手織り布のイメージ。CLIP STUDIO PAINT PRO のガッシュブラシで全体を描いている。

提出したポートフォリオ

課題と同時に作品を提出することになっていたので、最近描いた女性のイラストをまとめてお送りした。

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授業と講評

初めに、大久保さんの手掛けられた装丁がいくつか紹介され、その中でイラストレーターが選ばれるまでの過程についてのお話もあった。書籍の装画にイラストを用いる場合には、イラストレーターの個性が大切だ、と先生。「○○さんの絵でお願いしたい」と思わせられることが鍵だという。また、出版社に送るポートフォリオは、高いクオリティでタッチが揃っているものがいいとのことだった。

床山がいただいたコメントは、以下の通り。

【装画】
・雲が羊になっているのが可愛い。
・暗くならず前向きな気持ちになる絵。これはこれで(装画として)いいと思う。
・裏表紙への広がりも見てみたくなる。
【ポートフォリオ】
・明るくて受け入れられやすい絵。これはこれでひとつ完成されていると思う。
・床山さんの絵だとわかる要素があるといい。が、そこまでの個性を求めていない業界もあると思う。
・見たことのない顔という感じでもないので、顔で何かしら特徴がわかるといいのでは?
・描きたいものが定まっているのはいいと思う。

反省

・イラストの個性については、引き続いての課題。
・装画を描く場合、その本を読むことが必須というわけではないと聞き、少し安心した。できれば読みたいところではあるけれども。
・先生からは課題にはないのでいいと言われたが、裏表紙へ繋がった絵を描けばよかった。
・本の帯を意識した構成が考えられていなかった。今回の絵だと、帯で女の子が中途半端に隠れてしまう。女の子が完全に隠れるようにして、帯を外したときにはじめて現れるといったお楽しみを演出してもいいと思う。
・単行本の装画なのでアナログ感を出せるよう努力したものの、やはり実際の装画と比べると絵の奥行き、深みが足りないと思う。文庫カバーならなんとか見られるかも?

今のところ、自分の力量不足や絵のタッチから考えて、本の装画のお仕事はあまり視野に入れられていないが、女性のエッセイなどの装丁に使ってもらえるようなイラストが描けたらいいと思う。装画にはアナログ制作の方が有利だといったことはないようなので、デジタル制作の技術を磨いて、いつか挑戦してみたい。

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