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パレットクラブ日記 第19回・藤田総宣先生の講義「デジタルデザイニング」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら

緊急事態宣言で授業が2つ延期され、久々のオンライン授業。講師は、WEBクリエイター・UXデザイナーの藤田総宣先生だ。

講義のタイトルは「デジタルデザイニング〜技術特性を生かしたアプローチ〜」。PC、スマホ、タブレットといったデジタルデバイスそれぞれの特性に合わせて、出力の仕方を変えていこう、というのがテーマだそうだ。イラストとどう関係があるのかしら? UIとUXの違いもおぼろげな床山がお届けする、今回の講義のまとめ。わかりにくいところはご容赦を。

今、主力のデバイスの特性

今から3年後まで主流として残っているデバイスは、スマホとタブレットだろう、と先生。PCは大半のユーザーにとっては不要になり、ウェアラブル端末が台頭してくるだろうとのこと。

・スマートフォン……自分だけで使用し、30〜50cmぐらい離れた距離で見る。無目的に使われる傾向がある。
・タブレット……1人〜2,3人で共有しながら見られる画面サイズで、50cm〜1mぐらい離れた距離で見る。目的があって使われることが多い。

スマホとタブレットでは、ボタンの大きさや反応する範囲が変えられているという。デバイスと目の間の距離や、デバイスのサイズに合わせた見え方を考慮してイラストを提案していくことも大切なことなのだと思った。
今後はグラス型のウェアラブル端末などの開発が進むことが予想されている。新しいデバイス上では、どんなサイズでイラストが見られるのだろうか。とても興味深い。

デジタルメディアが強いわけ

デジタルの特性として「インタラクション(双方向のコミュニケーション)」であることが取り上げられた。ユーザーが参加しないと進まないようにできているのが、デジタルメディアの特徴。今強いのは、このインタラクションのできるメディアだという。
対比として挙がったのが、テレビと新聞だ。自分が興味のない情報も流してくれるのがマスメディアだが、今は自分の欲しい情報を自分で選ぶ時代に入ってきている。Youtubeしかり、Netflixしかり。興味のないものを見せられるのが苦痛だという若い人も増えているらしい。テレビや新聞が肌感覚として斜陽であると感じてはいたが、双方向性がないということが理由だとは考えていなかった。
一方、デジタルメディアにもデメリットはある。自分で情報を選ぶことには限界があり、偏った入手手段によって偏見が生まれやすくなりかねない。また、新しい情報との偶然の出会いが生まれにくいのは機会損失でもある。その点を補うべく、オンライン上でも偶発的に情報を得られるようにする技術が、これから生まれてくるらしい。
昔ながらの新聞や書籍、雑誌などの紙媒体にイラストを掲載されることに憧れはあるが、デジタル分野でイラストが活躍できる場は、これからもどんどん増えていきそう。そちらに注力していくこともかなり重要だと感じられた。

AIとの付き合い方

AIがイラストレーターの仕事を脅かすのではないか……という声が聞こえてから久しいが、「AIにはできないタッチや色使いを目指すのはナンセンス」だと先生は言う。そんなことはもうあり得ないところまで来ているので、そこで対抗するのは考えない方がいいとのことだ。
その代わり、共存のためのツールとしてAIの特技を活用するのが賢いやり方だと先生は示唆された。例えば、もうすでに活用が始まっていると思うが、1コマ目と10コマ目のイラストを用意したら、AIがその間の中割りを描いてくれるという機能。イラスト制作のお手伝いツールとしてAIを活用する、そんな位置付けで考えるといいとのことだ。
意識するしないに関わらず、デジタルでイラスト制作をしている時点で、もうかなりAIのお世話になっているのだと思う。あまり恐れずに、便利な機能を味方につけていけるよう、積極的に情報収集していきたいと思った。


その他にも、イラストレーターの知的財産権を守るためのブロックチェーン活用の話や、作家自身の自己証明をするための技術が必要になってくるだろうこと、デジタルでのアートコレクションの保存の仕方などなど、イラスト業界の近未来をイメージできる刺激的なお話が多数あった。

これから生まれてくる情報にきちんとキャッチアップしていけるか、少々不安もあるけれど、先生は「全てを理解する必要はない。新しいことを楽しもう!」と言ってくださった。デジタルネイティブ世代ともイラストを通じてコミュニケーションがとれるよう、新しいことを受け入れる姿勢を持ち続けたい。そんなことを思う講義だった。



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