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パレットクラブ日記 第8回・100%ORANGE 及川賢治先生の作品講評

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。これまでの授業内容はこちらから。

ついにやってきました。
スクール全33回の中で私が一番楽しみにしていた、100%ORANGE先生の授業!!
かつて、及川さんが使っていると聞いては、STABILOの油性マーカーを買ってお絵かきなどしまくっていた、若かりし頃の私。まさかお目にかかれる日が来るなんて、あのときは思ってもいなかったよね。始まる前から、もう感激!

及川先生からは「最新作・自信作」を持ってくるように、とのさらりとした指示。うぇぇ、一番難しいやつじゃないか。

でも、及川さんにはお会いできるだけでもう価値があると思ったので、見てもらうプレッシャーは横においといて、今描ける絵に専念することにした。それに、今までの課題を振り返って反省したことがあったのだ。

これまでの反省

自分を代表するタッチがまだ見つかっていない床山。前回までの課題では「自分のタッチを模索する」ということにばかりに気が向いてしまい、「見てもらう・楽しんでもらうためのイラスト」という視点がスッポリと抜け落ちていた。前回の網中いづる先生の講評で「目に留まるポイントがない」と言われ、そのことにハタと気づいたのだった。

そのため、今回は見てくれる人にフレンドリーなわかりやすいイラストを心がけてみよう!と思い、タッチ云々は考えずに描くと決めた。

今回持参したイラスト

最近、練習で老人の写真スケッチを続けていた関係で、お年寄りがモチーフの絵を何点か描いていたので、そこから2点選んで持っていくことにした。

 201023_oldman_norm_arrangedのコピー

元は読書するおじいさんのみの絵だったが、図書館にいるように見せるためにカバンと書棚を追加した。時間がなかったので、本は長方形ツールを使ってささっと描いてしまった。書棚は色がごちゃつくのを回避するためにグレートーンにしている。

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お金持ちっぽいおばあさんのイラスト。大きなメガネと小さな目をポイントにした。黄色×グレーは好きな色の組み合わせ。

この2点だけでいいかな?と思っていたが、夫から「絵のタッチはこれだけじゃないだろう」と言われたので、以前に描いていたものも追加して、合計4点の絵を見てもらうことになった。

及川先生、登場

いよいよ授業当日。家ではソワソワして何も手につかなかったが、とうとうその時がやってきた。私が及川さんに対して持っていた勝手なイメージは「頭が切れて、ストレートな物言いの厳しそうな先生」。おそらく雑誌のインタビュー記事などを読んで形成されたイメージだろう。酷評されたらどうしよう。でも及川先生ならいいか。

そんなことを考えている間に目の前に現れた及川さんは、一言、擬態語で表現すると「ほにゃん」とした方だった。ほのぼのとした語り口。絶対的にいい人だな、と受講生の誰もが思ったのではないかと思う。

はじめに軽くお仕事の紹介。これまでに手がけてきた挿絵や装画のラフと原画を見せてくださる。うわー、生ORANGEだ……と感激しきり。あとでコピックで描いた原画を間近に見せてもらったが、可愛いのはもちろん、神業的に線と塗りが綺麗だった。写真に撮ってここで見せられないのが残念だ。

講評

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床山の番がくるなり「わ、いろいろ描く人だ!」と及川先生。そうなんです、タッチが絞れないんです……。先生がくださった講評は以下の通り。

・人物4人とも、それぞれの性格が少し感じられるのが強み。人物を描く上でこれは大切なこと。
・(おじいさんの絵)服のしわがいい。モデルがありそう。服のしわだけを扱った本がある。背景の本は機械的かな。色で自分らしさを出すといい。
・(おばあさんの絵)色がおしゃれ。しわが面白いし、性格が見える。
・(クレパスで描いた絵)顔の塗り方がバーッとしてるのが怖くて面白い。
・(女性の絵)化粧品のCMとかにありそう。髪の毛の線がきれい。
・上の2枚に比べると、下の2枚はもう少し何か欲しい。どう見ていいかわからないので、何か足すとか、少しサービスをしてあげるといい。

やっぱりおじいさんの絵は、背景を最後まで詰めてから見てもらいたかった!! タイムアップが悔やまれる。意図せずして人物画ばかり見てもらったが、性格が感じられると言っていただけたのは大きな収穫だった。

授業後

授業の後には、原画を見せてもらったり、ポートフォリオをお見せして相談にのっていただいたりした。
「自分には代表的なタッチがない。仕事としては雑誌のお仕事がしたい」と伝えると、

「個性個性っていうけど、僕は正統派っていうジャンルがあってもいいと思うんだよねぇ。(ポートフォリオに)文字情報が多いので、もっと正統派っぽく、イラストだけのお洒落なファイルも作ってみたら?」

と及川先生。
なんとありがたい……! 正統派というと、もっと画力を極めないと厳しそうな茨の道だけど。どうせやるならとことんまで! 頑張ってみようと思う。


及川さんの原画やラフ画を見せていただいて、ささっと描いた(ように見える)ラフの魅力もよかったが、原画の方を恐ろしく丁寧に仕上げてあることに感服した。まったく、手を抜いている場合じゃないな。純粋に「もっと頑張ろう」と思った回だった。

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(背景をフリーハンドで描き直して、色ものせました)

いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。