パレットクラブ 日記 第14回・立本倫子先生「動物自画像を描く」
※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら。
今回のスクール講師は、イラストレーターの立本倫子先生。出された課題は、動物の可愛い絵本を制作される先生ならではのお題で、「動物自画像を描く」というものだった。
自画像。何度か挑戦したことはあるが、さっぱり似たことがない難敵だ。似顔絵はそこそこ描ける方だと思っているものの、自分のことはよくわからないみたいだ。
動物自画像と聞いて、目指すべき方向としてまず浮かんだのは、リアルな自分の顔と、選んだ動物を馴染ませて動物にも人間にも見えるような絵に仕立てることだった。しかし、どうにも描ける気がしない。しかも、なんの動物に例えようかというアイデアも湧いてこない。床山、不調気味だった。
今回は全力投球で描くのは無理かもしれない……。そう思ったので、タッチで冒険することはやめ、自分で描いていて楽なポップテイストでいくことにし、顔は似ていなくてもいいことにした。とにかく眠い。脳の調子が悪い。睡眠時間が増加する一方だったので、動物は睡眠時間の長いナマケモノをチョイスした。
構想
家で悶々としていても仕方がないので、散歩に出かけた。何の気なしに歩いていると、不調とはいえ何かしらのアイデアが湧いてくるから不思議なものである。
今回の方向性としては、
・ナマケモノが寝ている(寝るのが好きだし、眠いから)
・寝ながら食べている(食べるのも好きだから)
・食べているのはお子さまランチ(大人になりきれない幼児性を表現)
・使用色だけ予め決めておく
といったことだけ計画し、あとは出たとこ勝負で描いていくことにした。
制作した自画像
かねてから、いつか切り絵で制作したいと思っていたのだが、今回はパワーと時間が足りなかったので見送り。その代わり、制作途中の思いつきで切り絵風に仕上げることにした。部分的に紙のテクスチャを用い、影をつけてそれらしく見せている。
描きながら、ナマケモノをカエルのデザインの椅子に座らせたり、お皿の形をパレットにしたり、思いついたアイデアを盛り込んだ。
使用した色は6色。少しレトロな雰囲気が気に入っている。
合評
当日は初めての合評形式となった。作品についての説明の後、受講生同士で質問や感想などを述べ合い、立本先生からのコメントをいただく形だ。
質問・感想というと、もと教員の血が騒ぐ。研究会では発言してなんぼ、という環境で長く働いていたので、できれば一人につき1回は質問したい。そう意気込んで合評が始まった。
床山がもらった質問・感想は……
・ふだん描いているのとまた違って、こういうのも可愛い。カエルが何なのか気になる。
・切り絵風にするのは予め考えていたのか? 幼児性の表現と関係があるのか?
・いるのはどこか? 壁紙がファンシーなのでレストランなのかとも思った。
ふだんも授業後に感想をもらうことがあるが、こうして質問をもらえるというのは嬉しいものだ。カエルが椅子に見えにくかったことは反省。切り絵と幼児性の関係というのは、指摘されてはじめてなるほどと思った。ナマケモノのいる場所は家のつもりだったが、家らしく見えるよう、壁紙のデザインなどに一考の余地があったと思う。
立本先生からもコメントをいただいた。
・楽しげでわかりやすい。魅力的な絵。
・デザイン、色もいい。
・これしか作品を見ていないが、個性を極めていって欲しい。
立本先生は、イラストレーターには個性が必要という立場をとられていて、作品を発表したり仕事をしたりするのは個性を確立してから、とはっきりおっしゃっていた。「このテイストで一生行く」ぐらいの自信を持てるものを見極めていくこと。そんなタッチが見つかるのだろうか……。床山は未だ霧の中だ。
講評の中で先生は「アプリに出会って世界観が固まることもある」と面白いことをおっしゃっていた。いろいろな画材やソフトに手を出すのは、思わぬ出会いに繋がること。楽しみながら探っていこう。
初めに「合評では一人につき1回は質問」と意気込んでいたが、結局途中で息切れしてしまい、質問をできないまま過ぎてしまった人もいた。申し訳ない。
授業時間を大幅に超えてお付き合い下さった立本先生、ありがとうございました。
いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。