超結社句会の底力ー「足は地元に、目は全国に!」

 俳句の基本が分かった者が、結社の一句会に参加するだけで、超結社句会に消極的なところに(=視野を広げるための勉強を怠っているところに)、現代俳句の貧しさの一因があるように思う。
 自らの不勉強を、師系や句の傾向の違いに責任転嫁して、超結社句会を避けてはいないだろうか。おそらく結社で学んだものが薄まるから、超結社句会へは参加しないという人もいるだろう。だが、そんなに簡単に薄まるものが、「真の個性」とはとうてい思えない。私は毎月、全国的な俳句賞の受賞者の方と通信句会をしているが、みな超結社句会に積極的である。
 その一方で、他結社の所属者にも、句会をオープンにしている主宰は実に少ないように思われる。特に地方では「超結社」の視野をもっている指導者は、残念ながらほとんどいないようだ。昨今、結社の分裂が急速に進み、句会の「蛸壺化」が一層顕著なように思う。
 私は、会社員の傍ら、通信句会を含む6つの超結社句会(全国から出句可。特定の結社への勧誘一切なし)を運営している。「足は地元に、目は全国に!」をモットーに、香川で毎月、全国の方約130人と句会をして、早5年以上が経つ。
 その成果として、「俳壇賞」「俳人協会新人賞」「俳句四季新人賞」など、全国的な俳句賞の受賞者を20名ほど、輩出することができた。「俳句は堂々と。全国に通用する俳句力を」とは、初学の師である伊藤通明の教えである。
 残念ながら、地方には、結社終刊後も移動後も、「継続」して参加できる「超結社句会」は今ほとんどない。私自身、すでに所属していた結社の終刊を二回も目の当たりにし、身近な句会の閉会も見た。このような経験も踏まえ、地域や結社を超えて「俳句を継続」してくれる人を増やす=真の意味での「俳句の種まき」である、と私自身は考える。全国を見据えた超結社句会を通して、私は師の教えを実行しようと志したのである。単発的な俳句のイベント、カルチャー教室などからは、一切離れたところで、私は黙々と俳句の種を蒔いている。

涼野海音のプロフィール
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サポートは、句会の勉強会で使っている本代などにあてたいです。 (二つの対面式句会と三つの通信句会を運営中)