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『人生で一番〇〇な小説』は何ですか?

――おすすめの小説は何ですか?

この質問を投げかけられると、私はどう答えたらいいのか分からなくなってしまう。何故なら、好きな小説は山ほどあって、かつ、その膨大な作品の中から、相手の感性に合いそうな作品をピックアップするのは至難の業だからだ。

ただ、普段は口に出さなくとも、「この本、面白いから読んでください!」と、選挙カーに乗って、街を徘徊しながら馬鹿でかい声で宣伝したいくらい、魅力的な作品は山ほどある。今日は、そんな私の大好きなおすすめ作品を『人生で一番〇〇な小説』として、紹介したいと思う。

人生で一番再読した本

模倣犯(宮部みゆき)
永遠の0(百田尚樹)

共に、私の読書人生の中で殿堂入りしている作品だ。

『模倣犯』は、バラバラ殺人事件が起きたことによって、登場人物たちの日常がめまぐるしく変化していく社会派ミステリー。文庫で全5巻だが、全く飽きさせない。むしろ5巻もあってくれてありがとう、長い時間この物語に浸らせてくれてありがとうとお礼を言いたくなるくらいの超名作だ。
深く深く、じっくりと人間の心理描写を描くことで、登場人物たちがまるで本当に生きているように感じてしまうのがすごい。この圧倒的重厚感と、人間の醜さ、愚かさ、そして揺らがない正義を正面から描ききった物語を、ぜひ体感してほしい。

『永遠の0』は、映画化もされたので読書をしない人でもタイトルだけは知っている、という方も多いかもしれない。
これは、第二次世界大戦で零戦に乗り、特攻隊で死亡した祖父・宮部みやべ久蔵きゅうぞうの足跡を辿る戦争小説だ。
「戦争小説なんてとっつきにくいなぁ……」と尻込みする方もいるだろう。実際、専門用語とか全然知らない地名がバンバン出てくるので、スムーズに読み進められるか、といったら素直に頷けないが、とにかく、読んでほしい。最後には「あぁ……私はすごいものを読んでしまった」という感覚になる。
生きるとは何か、誰かを愛するということはどういうことなのか――戦時中、自らの命を賭すことになんら疑いを持たない周囲の考えや世間の価値観に一切流されず、己の信念を貫いた宮部久蔵という男の、ただひたすらに過酷で、けれど他者への思い遣りと愛と恩を最後まで忘れなかった、美しくも儚い人生を垣間見たとき――あなたは何を思うだろうか?

ちなみに、映画もとんでもなく素晴らしい出来で、私は上映当時、おそらく5回以上映画館に足を運んだ。

人生で一番衝撃を受けた本

箱の中(木原音瀬)

「衝撃」というと、どんでん返しとか、最後に明かされる予想外の結末、みたいなイメージがあるかもしれないが、この『箱の中』はそういうタイプの物語ではない。
この小説はBL(ボーイズラブ)を題材にしたものである。
この作品を最後まで読んで、私はこう思った。
「今まで私が読んでたBLって一体何だったんだろう……」と。
この小説は、既存のBL作品とは完全に一線を画す、まごうことなき名作だ。ぜひBLに馴染みのない人でも読んでもらいたい。というか、そういう人こそこの作品を手にとってほしい。
読了後、呆然とし、何度も読み返し、その度に頭を捻り、どうやったらこんなストーリーが思いつくんだと作者の脳内を一瞬でいいから覗きたくなった。
作者・木原このはら音瀬なりせが描く、綺麗事も美しさも全部全部取っ払った、剥き出しの『愛』に、ひれ伏す他ない。

人生で一番ショックを受けた本

慟哭(貫井徳郎)

名作ミステリーとして挙げられることも多いこちらの本。正直事件の全貌は途中でなんとなく読めてしまって、「あぁ、こういう展開ねーハイハイ」と斜に構えて読んでいたら最後の一行でぶん殴られた。小説に「傷つけられた」と感じたのはこの本が初めてだ。心をえぐられる経験をしたい人はぜひ。

人生で一番泣いた本

雲を紡ぐ(伊吹有喜)
木曜日にはココアを(青山美智子)
火車(宮部みゆき)

「泣いた」というと号泣できる感動作なのかな? とイメージされる方もいるかもしれないが、この3作はそういうタイプではない。

『雲を紡ぐ』は学校にも家庭にも居場所のない主人公の美緒が、遠く離れた祖父の家を訪ね、そこでホームスパンを学びながら、成長し、自分の人生と向き合っていくお話。
これを読んだ当時、私生活でかなりショッキングなことが起きた直後で、自分の気持ちに整理がつかず、どうしたらいいのか……動かなきゃいけないのに、気持ちが追いつかず宙ぶらりんになっていて、とにかく将来に不安と絶望しかなかった。そんな当時の私の心境が、美緒の置かれた環境とぴったり重なり、より感情移入が深くなった。
後ろ向きで自信を見失った美緒に対して、祖父がかける温かい言葉の数々に、美緒だけでなく私も救われた。その中でも「せがなくていい」(=焦らなくていい)という祖父の台詞に号泣した。

『木曜日にはココアを』も、『雲を紡ぐ』と同じように精神的に不安定だった私を救ってくれた作品だ。
この作品は、東京とシドニーが舞台になった、全12編の短編が入ったハートフルな物語。12編それぞれ独立したお話ではなく、一つ前の短編に出てきた脇役のキャラクターが、次の短編では主役として物語が描かれていたり……と、優しくて温かい「繋がり」や「ご縁」を感じさせれてくれる。
私は当時、自分の創作活動に対して自信を見失いかけていた。作中、私と同じようにアートを嗜みながらも自分の将来に悩む女性が、シドニーの植物園で不思議な青年に出会う話がある。女性は、その見ず知らずの青年に、自分の悩みを打ち明け、それを受けて、青年は女性を温かく励ます言葉をかけるのだが……そのあまりの温かい言葉に、私の目から涙があふれて止まらなかった。
その言葉は、今でもお守り代わりにして、自分が小説を書く意味が見出せなくなったときに、何度も読み直しては、温かい希望と勇気をもらっている。私が誰かにかけてほしかった言葉を、この青年が、本を通してその女性だけでなく、私にも伝えてくれるような気がするのだ。

そして最後の『火車』。これはまた前2作とは全く違う余韻と衝撃を私の全身に叩きつけた、超がつくほどの名作ミステリーだ。
主人公は休職中の男性刑事。彼は、ある日遠縁の親戚の男から「婚約者が突然失踪してしまったので彼女を探してほしい」という依頼を受け、その婚約者の行方を追う、という物語。
物語のキーポイントは、その婚約者は何故突然失踪したのか、ということ。そしてその失踪の裏に隠されていた、彼女の過去。その二つの謎が、物語を追うごとに一つずつ一つずつ明らかになっていく。
私は、彼女が背負わされていたあまりにも過酷な運命が明らかになったとき、震えが止まらなかった。最後の一行を読んだ瞬間、滝のように涙があふれてきて、訳が分からなくなった。自分でも何故泣いているのかが分からず、けれど涙が止まることはなく、完全に情緒がおかしくなった。あんな風に、呆然と、ただただ涙を流さざるをえない経験を私に叩きつけたのは、この本だけだ。

読書と私の半生

今でこそ読書は私の人生になくてはならない趣味だけれども、小さい頃から図書館にこもるような「本の虫」的な子供だったわけではない。小説を読むならそのぶんマンガやゲームをしたいと思っていたごくごく普通の子供だった。

ただ、通っていた中学校には、いわゆる「朝読」があり、そのときには、ちょうど空前の大ブームを巻き起こしていた『恋空』に、中学生の私もどっぷりハマった。それからいくつもケータイ小説を読み漁っていた。

また、中学時代は『恋空』と同じぐらい山田悠介さんの作品にハマっていた。私が社会人になった今でも、本屋に行くと『中高生に大人気!』という謳い文句で彼の本が売られている。さすが人気作家だ。『リアル鬼ごっこ』『親指さがし』なんかが有名作だろうか。とにかく山田悠介さんの著書を片っ端から読み漁った記憶がある。特に好きだったのは『ドアD』『8.1 Game Land』だ。
彼の作品は、バイオレンス色が強く、血がバンバン飛ぶ、エキサイティングなエンタメ作が多い。そして、そんな山田悠介さんにハマっている私を見て、読書家の母が薦めてくれたのが『バトル・ロワイアル』だ。

この作品は、とある孤島に中学3年生のクラスメイトたちが強制連行され、『今から君たちに殺し合いをしてもらいます』『最後の一人になるまで、このゲームは終わりません』
という政府命令の元、クラスメイトたちが殺し合いをし、一人、また一人と死んでいく……とんでも設定の超弩級エンタメ作だ。

どこにでもいる平凡な中学生たちが主人公、そして読んでいた私も中学生だったこともあり、ことさら私は感情移入してこの物語にどっぷり浸かった。
「私がもしこの殺し合いに参加することになったら、どう立ち回ろうか」と、読みながら真剣に考えたりもしたが、結局、作中では頭が特別賢かったり(これは、テストで良い点が取れる、ということではなく、機転が利いたり、素早い状況判断ができる、人を上手に欺ける、という意味での賢さだ)、やはり殺し合い=肉弾戦になるゆえ、運動能力が高い生徒が生き残る確率が高いのを見て、「あぁ、私はアホだし運動神経も良くないからたぶんすぐ死ぬなぁ」と、結論づけた。

そして、高校では勉強が忙しくて読書に手を付ける余裕がほとんどなかったが、大学受験が終わり、卒業までのんびりできるこの僅かな機会に、暇になった私が、家の本棚から引っ張り出したのが『モンスター』という小説だ。
これまた、読書家の母が購入したものだった。私はとにかくこの話にのめりこんだ。とにかく面白かった。

これは、とてつもなく容姿が醜いとある女性が、美容整形をきっかけに生まれ変わり、後天的に獲得した格別の美しさにより、彼女が望むものを手に入れていく、というストーリーだ。
そして、この本に出会ったことをきっかけに、この『モンスター』を書いた作者さんの他の作品も読みたい! と思い、購入したのが、先に紹介した『永遠の0』だ。

『モンスター』と『永遠の0』との出会いにより、私は本格的に読書の虜になっていった。

大学時代は、春休みや夏休みになると途端に暇になるので、そういうときに読みたい漫画があらかた読み終わると、ふと小説に手が伸びたりもした。

そして、社会人になり、あるとき、腱鞘炎になってしまったことで休職した私は、読書を始めた。腱鞘炎なので、迂闊に手を動かせないため、日常行動がやむなく制限される。が、本のページをめくるぐらいならば負担にならないだろう、と、手の痛みが引くまで毎日ひたすら読書に没頭した。
このとき私は、いわゆる巷で「名作」と言われているミステリー作品をできる限り読もうと読書の方針を決め、様々なミステリー作品を読んだ。

その中でも特に印象に残っているのは、『容疑者Xの献身』だ。これまた、かなりの有名作で、一般人でもタイトルぐらいは聞いたことがあるし、なんなら映画化されているので映画を見たこともある人も多いかもしれない。
この物語の結末を目の当たりにしたとき、私は心が震えた――ちなみに、つい半年前に再読したときは、号泣してしまった。物語の終盤の、とある一文に私の涙腺は崩壊した。

殺人事件を扱ったミステリー作品だが、その裏にこんなに美しいものが隠されているなんて……と。さすが、有名作なだけあり、心の底から、作者の東野圭吾さんを尊敬した。そしてまんまとこれで東野圭吾さんにハマり、彼の作品をひたすら買っては読み、買っては読みを繰り返していた。

東野圭吾さんといえば、読書をしない人でもその名前は聞いたことがある、というぐらいの、おそらく日本で一番名の知れた小説家だと思う。が、それだけ有名であり、たくさんの人間に支持される理由が、私は彼の作品を次から次へと読みながらようやく分かった。

とにかく、どれも馬鹿みたいに面白いのだ。

彼の著書は、ミステリー作品が大半だが、私は『パラドックス13』というSFサバイバルの作品を推したい。
これは、とある不可思議な現象により、突如、荒廃した世界に放り出された13人の、サバイバルストーリーだ。
この荒廃した世界では、とにかく自然災害が絶え間なく起こる。大雨、陥没、浸水、地震――13人はこの過酷な世界で、どうやって生きるのか? そして、なぜこの13人が選ばれ、この世界で生きることを余儀なくされたのか――? という、謎に迫るミステリー要素ありつつ、サバイバルなハラハラドキドキ感もありつつ、また、極限状態で生死を共にする13人の人間関係にも注目できるヒューマンドラマもあり、といったところだろうか。
これまた、初めて手に取ったとき、無我夢中で読み耽った記憶がある。『バトル・ロワイアル』同様、こういった特殊な環境下に置かれた人間たちのドラマ、生死を見極めるハラハラドキドキのサスペンスが、私は、どうも好きなのかもしれない。
東野圭吾さんは、どの作品でも初心者におすすめしやすい、『分かりやすさ』と『面白さ』があるので、ぜひ、手にとってみてほしい。

こうして過去を振り返ってみると、「本の虫」だったわけでもない私が、読書の楽しさに目覚めたのは、読書家の母の存在も、かなり大きかったのだろう。
母は、私とは真逆で、幼い頃から学校の図書室にこもって、学校の本を片っ端から読み漁るような子供だった。ただ、彼女は生粋の読書好きではあるものの、私は彼女に読書を強制された記憶が一つもない。母にとって、誰かに読書の楽しさを説くより、自分がより面白い読書体験ができるほうがよっぽど重要だった。だから私は母に本を押し付けられたことはない。
しかし、私が学校での朝読をきっかけに山田悠介さんにハマったことで、母から『バトル・ロワイアル』を教えてもらったり、大学受験が終わって暇になったタイミングでなんとなく本棚に手が伸びたりと、「いつでも読書ができる」「面白い本を紹介してもらえる」環境は、常に家の中にあった。
強制ではなく、環境だけ整えてあとは放置、という彼女の適当さが、結果として私が読書を嗜むきっかけを、何度も作ってくれていた。

そして今では、私の方が読書に熱中していて、逆に母は読書から少しずつ遠のいている。身近に読書家がいるのは貴重なことなので、面白い作品を見つけたら随時彼女にも薦めたいと思っている。

最後に、ここ最近読んだ本の中で、特におすすめしたい、面白い作品を紹介して終わりにしようと思う。

最近読んだおすすめ本

君の顔では泣けない(君嶋彼方)

これは、いわゆる「男女入れ替わり」の物語だ。男女入れ替わりというと、映画「君の名は。」を思い浮かべる人も多いかもしれない。
しかしこの作品は「身体が入れ替わってしまってそのまま元に戻らず15年経過している」ところから、物語がスタートする。
それまで他人だったはずの、誰かになり切って生きてきた彼と彼女は、一体どんな葛藤や障害を抱えていたのか? 作中では、女の身体になってしまった男性視点で物語が進行するが、女性の生理現象に戸惑う彼の姿や、はたまた女の身体のまま初体験を迎える……といったところまで、鮮やかに描かれている。
この物語で特に考えさせられたのは、「自分」として生きられないということは、自分の家族と永遠に過ごせないということ。例えば、「自分」の家族が死んでも、身体が入れ替わった仮初の姿では葬式にすら足を運ぶことは許されない。たとえ参列できたとしても、それは「遺族」としての立場ではなくなる。家族ではないのだから、そもそも親の死に目にも駆け付けられない。
もし仮にこの入れ替わった姿の自分が死んだとしても、「自分」の家族は「自分」が死んだことを、永遠に知らないままである。何故なら、入れ替わった彼と彼女の当人同士しか、入れ替わってしまった真実を知らないから。

誰もが一度は「違う誰かとして生きてみたい」「もしもあの人と入れ替わったら」と空想したことはあるだろう。けれど、その望みが叶ったとき、私たちは「自分」の人生を強制的に放棄しなければいけない。それがどれほど過酷で苦しい運命をもたらすのか――私は読みながら、心がたびたび痛くなった。

魔道まどう祖師そし(墨香銅臭)

これは私が現在進行形でどっぷりハマっている、超絶面白い中華ファンタジーだ。私は元々、現代モノしか読まないたちなのだが、アニメをきっかけにまんまと沼に引きずり込まれ、現在もこの原作小説を読み進めている真っ最中なのである。
とにかく壮大なスケールで物語が展開し、序盤からいくつもの謎がちりばめられており、読み進めていくと実に様々な要因を絡みながら、その謎の真実が明らかになっていく、というストーリー構造だ。
物語の主人公はウェイ無羨ウーシェンという男。彼は、かつて「悪の道に堕ちた」と人々から恐れられ、唯一無二の邪悪な力をその身に宿していた。しかし最終的には自身の力を制御できず、全てを失い、非業の死を遂げてしまった。
だが、それから13年後、別人の身体に召喚され(いわゆる「転生」だ)、現世で再び人として生きることになる。が、召喚されたウェイ無羨ウーシェンの身の回りでは、次から次へと不可解な怪事件が勃発し、彼はその事件の謎を追っていくが――調べていくと、その数々の怪奇事件の真相が明らかになっていくたびに、また不審な点が浮かび上がってきて、そしてその不審ないくつもの謎は、調べていくとどうやら13年前の彼の死に関係しているようで――? という話だ。
物語は、ウェイ無羨ウーシェンが転生した現代パートと、13年前、彼が彼として生きていた過去パートで、交互に語られていく。そもそも何故、彼は悪の道を極めることになったのか、という物語の核となる部分から、彼の周りに存在する複雑な人間関係――そして、世を治める各家のパワーバランス、派閥、そこから生まれる血を伴う激しい戦い、といった部分まで。「中華ファンタジー」として紹介するのにはもったいないくらい、色んな要素が複雑に盛り込まれ、しかしその全てが面白い! と読みながら何度も唸るほどの傑作だ
作中、呪いや霊力などどいったバトル要素もあるので、そういう点でいうと「呪術廻戦」、派閥・領地争いでいうと「キングダム」あたりが近いイメージだ。ピンときた人はぜひ読んでみてほしい。
ただ、舞台が中国ということもあり、登場人物の名前も難解で馴染みがなく、正直、初見だとかなりのとっつきづらさがある。なので、まずはアニメか、もしくは実写ドラマ(ドラマだと「陳情令」というタイトルになっている)もあるので、そちらから入って、何となく世界観だったりキャラクターの関係性だったりを把握してから、原作小説に入ることを強くおすすめする。そして一緒に魔道祖師の沼に堕ちよう。

最後に

この記事は、「私ってこんな人」というお題にかなり頭を悩ませ、せっかくだから私の読書遍歴を語ることで私の人となりを知ってもらえればいいかと思って書き始めたが、書けば書くほど作品紹介に熱が入ってしまい、結果、私のパーソナルな部分はかなり少なめになってしまった。
ただ、せっかくの機会だということで今まで大好きだったけれど紹介する機会が得られなかった作品たちをたくさん紹介できたのはよかった。正直、まだまだ物足りないどころか、語りたい作品が書けば書くほどあふれてきて、「書いても書いても終わりが見えない」という事態に陥ってしまった。

読書をしていると、どうしても、好きな作家、好きなジャンル・作風に偏ってしまう。ただ、初めて読んだ戦争小説で私の心をわしづかみにした『永遠の0』だったり、中国が舞台でしかもファンタジーという私の従来の好みからかなり外れたところにあった『魔道祖師』だったり、ジャンルや好みを超えたところにも傑作はたくさんあって、だからこそ自分の好みは把握しつつも守りに入ることなく、これからも、色んなジャンルの小説を積極的に手に取っていきたい。

また、普段小説を読まない、という人にもぜひ読書のきっかけになればと思い、作品名のところにAmazonリンクもくっつけておいたので、ちょっとでも気になる作品があったら、気軽にポチってほしい。

このご時世、本を手に取る人が少なくなっている。その気持ちは、分からなくもない。スマホ一つでなんでもできる時代だ。ちょっとした隙間時間はSNSをパトロールしていればあっという間に過ぎていくし、コンテンツを摂取したければYouTubeを開けばいい。指先一つで何もかも済む便利な時代に、本という存在は少々古臭いのかもしれない。

けれど、私は知っている。本が、物語が、文章が、文字が、どれだけ人の心を魅了するのかを。漫画のように絵がなくても、ドラマのように映像や音声がなくても、淡々と紡がれるたった一つの「文章」という武器だけで、読者の私たちに様々な情報と感情と、最高の体験をもたらしてくれるということを。

そして、たった一冊、あなたにとっての「最高の本」に出会ってしまえば、人は簡単に、読書の虜になってしまえることを。

この記事が、あなたにとっての「最高の本」と出会うきっかけになれることを願って。

すずちん


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