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なんかよくわかんないけどしにたいときがある【小説 836文字】

衝動的に、、、いや、なんとなく
思いつきで、死にたくなる時がある。

いや、死にたいのではなく、
消えたい時がある。
自分の存在自体を消したい時がある
と言った方が俺的には近い。


もちろんそんな症状が出たとき時に飲む
薬も処方されている。

『飲めば死ぬ薬』
医者に処方された薬は1錠。

たった1錠飲めば死ねる。

だが、死ぬだけだ。
俺の生きていた事実が消える訳ではない。
飲んだら、俺は眠るように死ぬ。
しかし俺の存在した事実は残り
身体もココに残る。


消えたいのであって
死にたいのではない。
頭を掻きながら、薬を手に取るが
いまいち飲む気になれない。


医者に頼んだが
まだ『飲めば存在を消す』薬は
日本では認可されていないらしい。

俺は海外に行けないので、密輸しかない。
しかし、今はそれができない。
できてたら、こんなに悩まない。
ちゃっちゃとお薬ゲットして
俺自身を消してしまう。
たったそれだけの事が出来ない。

ゔ~と唸りながらベッドへ横になる。

死ぬのは簡単だ。薬でなくてもいい。
どうせなら苦しんで死んでみるのも
悪くないかもしれない。
そのくらいしないと死んだ実感が
ないかもしれない。
苦しんで死んだら、
存在消してくれるくらい
オマケしてくれれば良いのに。


この薬がなかった時代なんて想像できない。
わざわざ死ぬ為に色々用意するんだろ?
縄だとか、七輪とかだっけ?
介錯されるまで切腹するのは
なかなかグッとくるものがあった。
興味があって色々調べたが
どの方法でも生きていた事実は残る。

1度試してみるかと
文献を漁ったが
どれも手間がかかってあきらめた。

だって用意してる間に
死にたくなくなったら?
俺は、死にたい時に死にたいのだ。
いや、間違えた
消えたいと思った時に実行したいのだ。

確実な方法も解決する策もなく
今日も時間が過ぎていく。

仕方ない。また明日考えよう。
もしかしたら急に認可され
処方してもらえるかもしれない。
それくらいの夢は見させてくれ。


俺は時間になると
『飲むと死んだように眠る薬』を
舌下に含み瞼を閉じた。

このまま死んでしまわないか不安だ。

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