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冬の色8 #冬の色 #シロクマ文芸部 

冬の色の世界。

木々は枯れて、地表は雪に覆われる。
空から舞い落ちる結晶は
木々に積もり覆っていく。

細い枝に積もった雪は
バサリと音をたて落ちた。

春には綺麗なピンクの花びらを
咲かせる桜の木。

今は、冬雪桜の花びらが舞う。

少し吹雪いてきた。
周りは白群色に染っていく。


私と彼の足跡も消えていた。


白色と赤色を混ぜるとピンクになる。
実際は、混ぜても赤色のまま。
混ぜても混ぜても赤色が
桜色になることは、なかった。


この結晶が透明だからか。
真っ赤な手袋に落ちた綺麗な結晶。

透明な冬の色。
でも集まれば白群色。
遠くからは白色に見えるだろう。

薄っすらと積もっていく。
桜吹雪は彼を隠してくれた。

空を見上げると厚い雲
今夜もしっかりと
色を変えてくれそうだ。

赤く染まった手袋は
凍った川へ弧を描いた。

大丈夫。
私の足跡も消してくれる。


駅に向かう私は振り返って
冬雪桜と彼に、
さよならを伝えた。

冬の色8

#冬の色  
#シロクマ文芸部  
#小説

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