風薫る3 #シロクマ文芸部 #毎週ショートショートnote #ショートショート
風薫る5月の記憶冷凍を冷凍庫から取り出して常温に戻す。
約4時間ほどたてば皮下注射で記憶を取り込むことができる。
手軽に記憶が買える時代になった。
逆に言えば四季を楽しむのには金が必要になった。
環境汚染、地殻変動、年々変わっていく気候と地形。日本という国から四季が消えた。
記憶冷凍によって様々な記憶を見る事が出来る。それと同時に自らの記憶を冷凍する事も可能になった。
特に老人の持っている季節の記憶は高値がついていた。若い富裕層に人気があった。
過去に日本の景色にも選ばれたソメイヨシノの下で花見をする光景は今では貴重な記憶だ。
減っていく在庫に価格は高騰していく。
老人の価値は記憶だけ。
生きていくために記憶を売る。生活するために記憶を売る。愛しい人の記憶も、悲しい過去も。
そこまでして生きる価値があるのか。
自分達の語り継いでいく物語では満足しない富裕層に対して怒りの矛先が向いた。
風薫る5月歴史に残る
大事件が記されることになった。
【410文字】
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歩行者bさんのショートショートを読んで、記憶の売り買いする時代が来たら…と想像してみました。
ある女子高生の日記 毎週ショートショートnote|歩行者b
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シロクマ文芸部|お遊び企画「風薫る」|小牧幸助|小説・写真・暮らし
【毎週ショートショートnote】お題発表!5/12|たらはかに(田原にか)
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