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魔女の瓶詰め【ウミネコ文庫童話応募作品】


魔女おばあちゃんの、
お家には沢山の瓶がある。

床から天井まで、
すごくいっぱい瓶があるんだよ。

ワタシは、おばあちゃんのお家が大好き。

瓶のなかには色々な
『セイブツ』『ショクブツ』
『ヒカリ』『イロ』『ニオイ』
他にも色々なモノが詰まっていると
教えてくれた。

ワタシの知らないモノが沢山ある。

今日もおばあちゃんは
作業台で瓶の中に何かを詰めていた。

ワタシは気になった瓶を指差して
おばあちゃんにアレは、何かと尋ねる。

おばあちゃんは、ワタシが指差した瓶を
取り出すと一緒にソファに座わり
瓶をワタシに見せてくれた。

瓶の中は、くるくると色々な色が
回っている。

おばあちゃんはコレが
『ウチュウ』
だと教えてくれた。

よく見ると、くるくる回る
小さな球体が沢山ある。
青や緑、黄色もある。
真ん中の赤い球体が一番輝いていた。
時々パチパチと球体が弾けてとても綺麗。

ワタシが夢中で見ていると、
おばあちゃんは作業台で
瓶の中に何かを詰め始めていた。

しばらくキラキラしたり真っ暗になる
『ウチュウ』を見ていたワタシは
部屋の隅でゴソゴソと音がする瓶が
気になった。

ソファから降りて近づくと、
ワタシに気がついた人形達が、
バタバタと激しく動きだした。

瓶のコルクをガタガタと中から押す人形達。

ポンッと音がすると
瓶から人形達が逃げてしまった。

「おばあちゃん!」

ワタシは急いでおばあちゃんを
呼びにいった。

戻って来た時には人形は一体もいなかった。
泣きながら謝るとおばあちゃんは

アレならスグに集まるから
大丈夫だよ
とワタシの頭をなでてくれた。

部屋のどこをみても人形は見当たらない。

おばあちゃんは、瓶の中へ作業台から
持ってきたゴールドの破片と
小さな紙束をザザッと入れた。

離れて見ててごらん

おばあちゃんが呟く。
ソファに戻ってじっと瓶を見つめていた。

あ!
瓶に逃げ出した人形達が集まってきた。

全部の人形が戻ってくると、
おばあちゃんは瓶のコルクを
キュッと強く閉じた。
中では、ゴールドや紙束を持って
楽しそうに踊っている人形達。

コレは何かと聞くと
『ニンゲン』
と教えてくれた。





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