突然の解雇通告　#着の身着のままゲーム機　#毎週ショートショートnote

約30年間自宅警備員としての
仕事を続けてきた。

深夜の見回りから、冷蔵庫
お菓子棚等の確認も怠らなかった。

家主達との接触を
最小限にし、トイレさえも
ペットボトルで済ますエコ生活を
してきた。

平穏な日々は、
突然の解雇通告と
気持ち程度の退職金を手渡され
終了した。

着の身着のままゲーム機とソフト、
マイフェイブラリットフィギュア
数人と共に俺は寝床さえも
失ってしまった。

こんな事が許されていいのか！
いや！ダメだ！

俺のストライキを、
まるで親父の脱ぎっぱなしの靴下を
見る様な目で俺を見下す母親。
潰れた害虫を片付けている
様な目で見る親父。
コレが鬼の形相かと、感動するくらい
ご立腹の妹。
賢者タイムの様な表情の弟。

アルバイトもまともに
続かない俺を解雇するなんて
卑怯だ！差別だ！虐待だ！
と叫ぶが、結局
この寒空の空間に放り出された。


僅かな退職金を手に
ネカフェの個室で反省する。

何が悪かったのか考えたが、
原因がありすぎて
どれなのか、わからない。

※

#着の身着のままゲーム機 　
#毎週ショートショートnote