『4分33秒』【415文字】 #カフェ4分33秒 #毎週ショートショートnote

廃人状態の俺を従兄弟は無理矢理
山奥の『カフェ4分33秒』に連れて来た。

従兄弟は店員から
ストップウォッチを受け取ると
「入店から退店まで4分33秒だからな」
と言い俺の首にストップウォッチをかけた。

店員から説明を受けて
ストップウォッチを押され入店した。

アイスコーヒーを受け取り指定された
席に向かうと、妻と娘が座っていた。


「ちゃんと食べてないでしょ!」
妻が言う
「パパ、好き嫌いはだめよ!」
と娘が妻の口癖を真似ながら言った。
久しぶりに会った2人の笑顔に
俺は涙が止まらなかった。

ストップウォッチが鳴り
残り33と表示されていた。

出口に向かう俺に
2人は手を振ってくれた。

店を出ると
「お前は戻って来ると信じてた」
と言って従兄弟は俺の肩腕を回した。


3年前事故で妻と娘を亡くし
俺だけが助かった。
ずっと2人に謝りたかった。

「来週、墓参りに行くよ」
俺は従兄弟に笑顔で言った。


明日2人の墓参りに行こう。
それから来週は従兄弟の墓参りに行き
もう1度お礼を言おう。


#毎週ショートショートnote
#カフェ4分33秒


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