簡単で難しいSNSと広報
春ですね。春は別れと出会いの季節です。
スズメベースのメンバーも1人去りました。4月から子どもを預けての復職とのことだったので、退会の後押しをしてあげたのだけど、本人はやめるつもりはさほどなかったようなので、もしかしたら追い出されたように感じたかも。いろいろ難しいですね…。
現在スズメベースを開けているのは、家庭を持っている人がほとんどで、日曜日は開けてないし、夕方には閉まってしまうので、月~金の日中働いている人は、開いているところをなかなか見られない。ちょっと残念な場所なのです。
スズメベースはまだ棚に空きもあるし、正直なところまだ家賃にも達していないので、今もメンバーを募集しています。スズメの本棚サークルの会員も募集しています。広報していかなきゃなりません。
ということで今回は、広報の今昔について書きたいと思います。
これまでの広報の歴史を
軽く振り返ってみよう
その昔、といっても私は生きていませんが、かわら版があったり、橋のそばや辻にある太い柱などに「探し人」とかの掲示をしていた時代があったそうです。町人には文字を読めない人もいるので、かわら版をわかりすく解説してくれる、スピーカーみたいな人もいたり・・・。以前は、そんなの不便!とか思っていました。でも、今は少し羨ましかったりもします。
掲示場所が限られているということは、何らかの情報を知りたい人は、そこに行って見る確率が高いですよね。広域に知らせたい人だと、なかなか厳しいかもしれないけど、ごく限られた地域内の人に知って欲しいことならば、それより強いものはないんじゃないか?!と思えます。
その後も掲示板やチラシは残りました。かわら版は新聞や雑誌、ポスター、看板広告、チラシ、回覧板などに変わり、そこにラジオ、テレビ・・・と、広報できる媒体が増えていきました。
大手企業はお金があるので、大勢が見る媒体でデカデカと広報もできるでしょう。しかし極小企業や、個人の場合はそうはいきません。テレビCMなんてとてもとても高価で無理だし、新聞や雑誌の紙面に掲載するのもお高い。事柄によっては掲示板やポスター、あとはチラシが手頃だったと思います。
しかしチラシを用意するにも、パソコンがなかった時代の場合、原稿はプロに作ってもらっていたし、印刷は今のように安いものなんてなかったから、結局お金がかかりました。もしかしたら口コミが最強?!と言われていた時代です。若い人は知っているかわからないけど、その昔に大流行した「口裂け女」の話がいい例です。あれは本当に口コミで浸透しましたからね・・・。
その後、結構な人数がパソコンを持ったり使うようになり、チラシの原稿が自分で作れるようになって、それをもとに印刷を頼んだり~の時代が到来しました。それでも、小ロット印刷はまだまだ主流じゃなくて高かったので、原稿を泣く泣く白黒にして、コンビニや文房具屋で自分でコピーする・・・みたいな感じでした。
その後、数枚ならば自宅のプリンターで、それ以上ならば格安な印刷所へ時代が来ましたが、それと前後してガラケー時代が過ぎ、タブレットやスマホを多くの人が持つようになって、完全なるネット時代の到来です。
SNSに情報を載せるのは、お金がかからないし簡単。画像だってイラストだって手軽に載せられる。チラシが廃れはじめました。それに拍車をかけたのが、新型コロナの流行だと思います。
緊急事態宣言と緊急事態宣言の狭間で、どうにかイベントや講座などを企画、チラシやポスターに日時を書いて配布したり掲示。だけど感染者数が急増してきて中止・・・という場合、中止の連絡を行き渡らすのが大変だったんです。
申込制ならば、申し込んだ人に連絡をすればいいけれど、自由参加のものは誰までが見たかわからないので、本当に大変そうでした。
そして、お金の問題も発生しますね。普通は当日の収益を見込んで、チラシやポスターを作るので、開催されないとなると赤字にしかなりません。全く、どうするの?!って感じです。段々とチラシを作る人が減りました。
一方、折角チラシを作っても、手にしてもらいづらくなった・・・という話も聞きました。外出の減少だったり、むやみに物をさわらないということが身についてしまったこと、自宅で過ごす機会が増えたことで断捨離に走り、紙モノを自宅に持ち込まないように心がける人も増えたようです。
今がこの辺でしょうか。
ネット時代の広報は
簡単なようで案外難しい
SNSなどを使って広報。お金もかからない、配布する必要もない。どこかに頼み込んでチラシを置いてもらったり、ポスターを貼ってもらうこともしなくていい。本当に楽です。終わってからゴミが出ないのもいい。
ただ、SNSで広報することの難しさもあります。
自分がネット上で何か探す時のことを考えてみてください。検索サイトは人それぞれだと思いますが、何を使ったとしても何かで検索しますよね。その場合、探していることに近い単語を入れないことには、とんちんかんな検索結果が出てきます。
三鷹にある美容院を探していたとして、「三鷹」「美容院」と検索するといっぱい出てきます。どこまで見ますか?私はしぶといので、数ページ先までは見ます(笑)
でも途中で、私が探しているのはこういう店じゃないんだよ!とイラつきはじめたら、今度は「三鷹」「美容院」に「小規模」を追加してみるかもしれないし、「三鷹駅」や「三鷹市下連雀3」に変えてみるかもしれません。
そう、検索ってはっきりした単語を入れないと、自分が探しているものにたどり着けないんです。
美容院や花屋、カフェとか、はっきりした商売ならば見つかるかもしれない。でも何と書いたらいいかわからない内容の店や、果てしなくうる覚えな時には、検索して探すのは根性が必要となります。
逆の立場からいえば、はっきりした内容のことじゃないと、まず検索で表示される機会がないということになります。そして、はっきりした内容のことをやっていたとしても、同業種や同名が沢山いる場合、上の方に表示されなければ、埋もれてしまいます。
「◯◯屋」というものじゃない曖昧なお店だったり、同業がいっぱいいるお店は、よっぽど評判になって、大人数が書き立ててくれない限り、SNSの無数の投稿の中に埋もれてしまいがちです。だからインスタ映えや、インフルエンサー、バズるが流行した訳ですね。
毎日真面目にSNSに投稿していても、数少ないフォロワーさんだけが読んでくれるだけで、一向に輪は広がらない。それではちっとも広報になりません。
ほら、段々と昔のかわら版や、掲示場所が羨ましく思えてきたでしょ(笑)
案外SNSは限られた人が
見るだけなのかもしれない
SNS自体も沢山あって、有名どころだけでもいくつかありますよね。SNSをやらない人もいる中で、全部やる人っていないですよね。だって、全部ってどれまで?って状態ですから。主要SNSならば全部やっている人もいるかな~ってくらいです。
TwitterはやってるけどInstagramはやってない。その逆もよく聞きます。文重視と写真重視で違いますし、趣味嗜好の差みたいですね。
ただ個人でSNSをやっているならば、好きなものを選べばいいけれど、自分がやっていることを拡散したい場合、どのSNSが向いているのか~というのもあるけど、より多くの人に見てもらいたい!と思うと、複数のSNSに手を出すことになります。
そこで躓くことがあります。
やればいいって問題でもないんですよね。やらないよりはやった方がいいかもしれないけど(笑)
SNSでフォローしている人、そしてフォローしてくれてる人って、なんか自分と年齢が近い人だったりしませんか?あと同業の人とか。あとは超有名人とかね。私はそこで躓いた気がします。
有名人は置いておいて、同業同士の相互フォローは、情報交換や励まし合いにはなるけれど、お客さんにはなりにくいんです。営業時間がほぼ同じで、顔も出せませんから。でも私はとにかくお店などの人の相互フォローが多かったです。一般人がほとんどいなかった。そして、遠い人の相互フォローが多かった。
会員制、メンバー制というのは、足繁く通う場所なので、買って帰るような1回っきりで済む類いではありません。遠くに住んでいる人や、同じ時間帯に働いている人は、たまに訪ねて来てはくれても、会員やメンバーにはなりません。
そしてスズメベースというところは、たぶんある程度お金のある、ある程度安定している人には、まるでウケないチープな場所なので、私と同年代の人にはあまりウケません。そんなスズメベースなので、どちらかというと若い世代向けなんだと思うし、必要とされる場所でもあると思うけど、若い世代とは接点がないんです。SNS上ならば!と思いきや、やっぱりまるで接点がありません。
SNSも結局検索なんです。広い世界のようであって、輪は案外小さい。世代によって関心も違うとなると、検索することも違うし、検索の仕方も違う。例え同じSNSの中にいても、輪がなかなか重なりません。それが微かにでも重なると、ちょっとだけ輪が広がっていく。私はそんなイメージを持つようになりました。
こんな状態ならば、まだリアルの方が若い世代と知り合える気がします。
リアル店舗で小規模ならば
近くの人が来てくれれば十分
ネットは日本のみならず、世界の人も見ています。ネット上で商売や何かをしているとか、商品が日本全国や世界で入手できるとかならば、世界中にお客様がいてもいいのかもしれない。でもリアルな場所でだけ、何かやっているとなると、そこに来てもらわないことには意味がないんです。だから遠くの人が見ていても、あまり現状は変わりません。
はるばる遠くから来てくれる人もいるし、SNS上のコメントで励まされたり、勇気づけられたりすることは多々あるけれど、実際に場所を運営していくためには、その場所に来られる人がいてこそだし、私がやっているスズメベースに関していえば、メンバーになってくれてこそなんです。スズメベース内でやっている、スズメの本棚というサークル活動もそうです。会員なってくれてこそです。
メンバーになる、会員になるといっても、大手チェーン店とかじゃないので、支店がある訳じゃない。三鷹にあるスズメベースまで通う気がある人…というのが大前提です。結局は三鷹周辺の人なんじゃないかな?と思ったりもします。(とかいいつつ、埼玉在住在勤のメンバーもいるので、侮れないんですけど。)
スズメベースのメンバーも、スズメの本棚の会員も、大勢は求めていません。狭いので。ただ今のままではもったいないな~と思います。あまりにも人数が少なくて、宝の持ち腐れになっているからです。
宝は人によって違うので、誰でもではないけれど、知ればメンバーになりたい!会員になりたい!!と思う人は、きっといると思う。大勢を求めていない分、断言できます。絶対にいる。ただ、知らなければ知らないんです。
そう考えると、スズメベースの広報をSNS頼りにしてきたのは、間違いだったのかもしれないな~と思ったりもします。
最後に・・・。
昨年、スズメベースの改変した時に入ってきたメンバーに聞いてみたところ、スズメベースがやっていることや、仕組みみたいなものはあまりないみたいです。スズメベースのことを短くまとめて表現するのは難しいと。
それって、広報しづらいですよね。以前、困り果てていた私を見かねて、フォロワー数が多い人が、リツイートしてくれようとしてくれたけれど、「古本屋なの?」販売してないので違います。「ブックカフェ?」飲食店不可物件なので違います。「じゃあ何?!」と言われた時に、明確に短文で返答できなかった…ということがありました。
スズメベースは本当に広報が難しい。
実際、見学しにきた人やメンバー希望者に対して、口頭で説明する時にも、しばらく時間を要します。大人はみんな固定観念がある程度あるから、こちらの説明を素直に単純には聞いてくれないというのもあります。
スズメベースの場合、しっかりと「ビジネスでやってない」「仲間を募集」と書いているのに、「スペース貸しですよね?」「棚貸しですよね?」と思っている人が多いです。中には「委託販売ですよね?」という人まで来る。
何を読んで来たんじゃい!!!!
だからどうしても説明が長くなるというか、メンバー希望者が納得するまでに時間がかかります。
レンタルDVD屋さんに行って、会員になって、これを借りたいんですけど~って伝えたら、入会申込書を渡されるからそれを書いて、渡して、注意事項を聞いて、お金を払えば借りられるじゃないですか。たぶんそれと同じように思う人が多いみたいです。
スズメベースの場合、店主と棚主とかの関係じゃなくて、本当に仲間探しなので、その説明のやり取りは面談的なものでもある。私は案外真剣に話しています。
そういう行き違いは双方共に落胆するので、なるべくそうならないように、スズメベースはわざとへんてこりんな広報をしていたりします。固定観念が強い人や、めんどくさがりな人が来なくする対策です。
だけどやりすぎると、怪しすぎて誰も来なくなったり、まともな人が来なくなる…。広報も表現も本当に難しいです。
SNSはスズメベースの広報には向かない!と書いた割には、今いるメンバーの何割かは、SNSを見てきた人たちです。
ゴーゴーリフレさんは、ほとんどSNSをやらなくて、自分のリフレのSNSもやっていないけど、私がFacebookページに書いたものを偶然読んで、今からちょうど5年前に、突然私の前に現れました。
う~ん、そう考えるとSNSでの広報も捨てたもんじゃないのかな。でも頻度としては、SNSを見てメンバーや会員になるのは、1年に1人くらいだからどうなのかな。
ちなみに、
「スズメベース」「三鷹」で検索すると、間違いなく私のスズメベースが出ます(笑)
でもそれらを読んでも、何をやっている場所かわからないかもしれません。だからスズメベースのような場所を、三鷹や東京で探したとしても、スズメベースは検索結果には出てこない気がします。
東京三鷹生まれの三鷹育ち。自分の居場所を求めて富良野、京都、東京多摩地区を転々としたのち三鷹に戻り、以降ずっと三鷹に在住。2016年2月、本好きと、長く続いた居場所探しの経験を活かし、地元でゆるい感覚のまちライブラリーをスタート。ひっそり人好き。地域クリエイター。