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詩集

8
140字より長い詩をまとめました。
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記事一覧

なれないならない

湖の底に沈んで泡を吐く それだけの生き物になれない 魂にひらたくコケモモジャムを塗る バタ…

7

水槽の魚の夢

(泡音を聴くのに命の音が邪魔) 無機質な餌が満たすものが 少なくとも心でないことを知って…

9

はねあつめ

窓辺にならんだとりの羽 いけない予感にぶるり震える 美しいことは否定しないけれど 満たされ…

3

わたしのことば辞典

あ 明けの明星/東の空のおとしもの い インクボトル/手紙を書くための夜空の色 う 羽毛/…

2

どこかで生きるものたちへ

約束のバニラビーンズをまぜこんで とろり、やわらか、やさしい月は 怖いほど深い桔梗の世界…

1

小さな君の大冒険

銅 丸く 冷えた 十円の噂 知ってる? これひとつで 冒険にいけるよ パパの財布の百円 十円玉十…

夏の夜空に降るあなた

そうね、 時代の終わりに星屑になるのは 幸運ですと十字を切りましょう ぬるくなった缶ビール 濃厚ぶどうジュースの粒 ゆるゆる天の川に注がれて そのまま果てまで流れていくから わたしは心底ほっとして 贔屓の映画を観にいくわ みだりにはじけるポップコーンは 生まれたばかりの細胞なので 顕微鏡でそうっと覗けば ビッグバンなら観測できる だって、地球はまるいもの 北極点にも南極点にも こっちにおいでと呼ばれた夜の 「どちらにしようかな」 どこに

幻想旅行

廃墟になったそのまちで まわり続ける白馬たち 陽気に狂った音楽に 耳を塞いだ蝋人形 空色…