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穂村すずめ
2021年11月4日 20:38
凛太郎から夕食に誘われたのは昨晩のことだ。 曰く、懸賞でちょっとした鍋セットが当選したのだと言う。届いたはいいが明らかに三人前の量があり、食べきれないとふんで俺に声をかけたらしい。若い人の胃なら余裕で入るというその言葉に、まあ食べさせてもらえるものを断る理由もないだろうと了承の返事をした。 約束の時間、深山古書店を訪ねる前に手土産を考える。ご馳走してもらうのに手ぶらでいくのは気が引けて、凛太