【小説】#28 怪奇探偵 白澤探偵事務所|澱みのヒトガタ
あらすじ:無人のはずの家に人影を見た依頼人から家の調査を依頼された白澤と野田。実際に家を訪ねてみるが人の姿はなく、代わりに見つかったものは――。
風の冷たさに、思わず体がぶるりと震えた。
今年は例年よりも冷え込みが厳しく、しっかり備えないと体の芯まで凍えてしまう。上着の隙間を埋めるように体を縮こませるが、寒さですっかり目が覚めてしまった。
空を見上げれば、灰色の厚い雲が一面を覆っている。見慣れた新宿の空とは違うなと思うが、何が違うのかまではわからない。ビルではなく、木