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サービスに奇跡はない 「客力の磨き方」 レストラン利用編2 席が気に入らなかったら帰っても良いですか?

お待たせしました。
お約束通り12月ですので、あの記事の続きです。

この記事は11月に出しました「サービスに奇跡はない」接客される技術 シリーズで、予約編、利用編1と続くシリーズものの第三弾です。

レストラン利用編2 をはじめる前に

このシリーズの一貫したテーマは好かれる客になるために。客側も接客される技術を磨いて、客力をあげ楽しい時間を手に入れましょうってことなんですが。

詳しいことはここに書いてあるので、お時間のある時に読んでみてください


さて今回もSUZUの無茶な質問に答えてくださるのは黒ワインさま。

予約編からお読みくださってる皆様には、もう説明するまでもないでしょうが、日本ソムリエ協会認定ソムリエであらせられ、ミシュラン星付きレストランでもサービス担当としてお仕事なさってた経験もあり、幅広く知識をお持ちの黒ワインさまに、SUZUが普段レストラン利用で聞いてみたかったことを、遠慮なく聞く企画です。

↑予約編

↑利用編1

それでは、利用編2はじまります。


キャンセル危機も遅刻も乗り越えて案内スルートラップもやりすごしやっとレストランに入れたのに、一番がっかりするのが通された席が好みに合わないこと。

今回の記事の最初の質問はコレ。

席が気に入らなかったら?

SUZU:次の質問はかなりわがまま客っぽい話になってしまうのですが、自分にとって苦手な席に通されるケースについて考えます。

誤解のないように説明すると、外れ席と言われるような悪い席ではない、むしろそのレストランではとても良い席とされている席ではあるのですが、ちょっとスピーカーの音がうるさく感じるとか、たまたま隣のテーブルが大人数で騒がしい、エアコンの風の直撃席で暑い・寒いなど「単純に自分の好みに合わない」席へ案内される時があったりします。

こんな時は「席を変えて欲しい」って言ってもいいのでしょうか?

そして、どうしても座りたくない席を回避できない時は、最悪「帰る」選択肢ってのもありなのでしょうか?

黒ワイン:ちょっと難しい話ですよね、これ。要望する側も「クレーマーだと思われるんじゃないか?」という気持ちと「せっかく来たのだから楽しめる食事がしたい」気持ちとのジレンマになりそうです。その両方の気持ちをふまえた上で答えたいご質問ですね。

おねがいします。

最近は客が何か言ったらすかさず「クレーマー」って認定されそうで、だったら我慢してしまおうって思うことが多いのですが、環境が悪い中で食べると美味しいものでも美味しいと思えなくなり「不味かった」としかインプットされないので、お金も時間も全部損した気持ちになってしまって。

客の立場って強いようで実は弱いもので、不満があってもその場の雰囲気を壊したくない一心で黙るしかなく、何も言わずに我慢した場合は印象が悪くて「二度と行かない」解決方法になりがちです。
 
こんなときどうするのが客と店にとってお互いに良いのか、その都度悩み考えてしまうのですが。

その悩み、わかります。僕もあまり自分からは言えない性格なので。みなさん共通の悩みになりそうだからこそ、ぜひ本音で答えたいので、ちょっときつい表現も入りますがご容赦ください。 

まさにレストランを楽しみたい人ほど悩んでしまうこの話。まず、席に要望がある場合は、当日でもはっきり伝えてくださってかまいません。それで「この客面倒だな……」と顔に出す店はその程度なので次回以降行くのをやめましょう。

これは、実際そうなりますよね。>次回はなくなる、二度と行かない。


その席に座りたくない理由を伝える

ただ、お願いしたいことはそのときに必ず理由を一緒に伝えていただきたいんですね。たとえば、スピーカーの音が気になるなら音量を小さくして解決できるかもしれません。エアコンの問題なら空調の調整で快適にできる可能性はあります。隣がうるさそうなお客様の場合は、店のスタッフが目を光らせて騒ぎそうになったら止めに入ることができると思います。

たとえ席が変更できなくても、その場の居心地がよくなる可能性は十分あるんですよね。 

「その席に座りたく無い理由をつたえる。」ですか。
なるほど、理由を具体的に言えば意外と状況は改善できるかもしれない、ってのは一筋の光ですね。ちょっと心が軽くなりました。


席の希望を事前にリクエスト 

ところで「あの席に座りたい」は事前にリクエストしてもいいものなんですか?

もちろん。それこそ「あの席が好み」という要望は当日でもお伝えしてください。実際に席は替えてもらえなくても、「お客様のおっしゃる通りあのお席はとても人気でして、次回ご予約のときにはご指定ください。空いておりましたらぜひご案内させていただきます」とその席を取るための裏技をお伝えできますし。

そもそも席が移動できればなんの問題もないのですが、現実的に予約で席が固定されていて動かせないケースというのが多々あります。実際、僕自身は席を動かしたことも、動かせなかったこともどちらもあります。当日テーブルを替えられるかは、完全にその日の状況次第なんですよね。

「その日その時の状況による」ってことは、ある程度レストランの席のレイアウトを知ってる場合は、予約段階で座りたい席の希望をあらかじめ伝えた方が、その場で座りたくない席を拒否るよりもお互い幸せな気がしますね、いまはネットなどに店内画像もあるので、初見の店でも調べて希望を伝えた方が良さそうですね。 

「良い席でお願いね」なら言わない方がいい

そうですね、基本はどの店も早く予約くださった方から上席に予約を入れていくんですよ。一般的に窓側は人気になることが多いのですが、窓が近いと寒くて嫌だ、なんてケースもあります。「良い席でお願いね!」と言うくらいなら具体的な希望を伝えてくださると。

「良い席でお願い」はなかなか抽象的すぎてこまってしまうリクエストですよね。洒落たつもりでそんなこと言うくらいなら、自分の好みの席を伝えてみるほうが幸せになれるかも。

できないことにはできないとお伝えしますが、できることならなんでもしてあげたい。それが店側の気持ちなので、ぜひ「クレーマーと思われるかも……」と臆せず、要望ははっきりと伝えてほしいです。 

ちなみに僕の場合は、そういうご要望のあったお客様は、顧客データに必ず記入していました。「店内中央の席不可」「空調冷えすぎ注意」とかですね。それは次回の予約時に生かされました。お電話を頂いた際にこちらから「お席は窓際でお取りしてよろしいでしょうか?」と提案していました。

だから、我慢をする必要はありません。要望ははっきりと伝えたほうが、長期的にお互いにとってよい関係を結べると考えています。


リクエストにどう応えるかで店との相性をみる

長い付き合いになるかどうか、今後があるか、次につながるかって、お互いの相性が一番大事だと思うのでそれを見極める為に要望は伝えてみるのは大切なことですよね。
リクエストしてみてどう対応してくれるか、それこそが飲食店との相性そのものですからね。 

「帰る」もひとつの選択肢

まさにそうですね。それらを伝えた上で、店側の対応に納得がどうしてもいかない場合は、それこそ当日でも「帰る」という選択肢はあるのかもしれません。その時点で店との間に良好な関係が結べないということなので、仕方のないように思います。これは、どちらが悪いということではなく、相性とか価値観の相違の問題だと考えたほうがいいです。価値観の合わない相手と無理に付き合う必要はありません。

不思議なんですけど、「帰る」って選択肢があるって思えただけで、希望を伝える勇気が出た気がします。
まずはコミュニケーションしてみて、噛み合ってない部分を擦り合わせ、それでも解決しなくてもう無理だとあきらめたら最終手段に「帰る」のカードを切ればいいということですね。


コミュニケーションを積極的に取ることで回避できる

 ただ、僕自身、いろいろなお客様と接して多くの要望をいただいてきましたが、一人も即帰ったお客様はいませんでした。解決できないケースというのは意外と少ないものですし、お客様のことをきちんと考えている店であれば正当な要望には誠意ある対応をするものだと思います。

さすが黒ワインさま。帰らせないで解決するのも接客手腕ですよね。
やはり大事なのは客側も思いを伝えるコミュニケーションを面倒臭いとおもわず、むしろ積極的に取ろうする姿勢をみせないとですね。

 正しいオーダーの仕方ってあるの?

さて、なんとかテーブルに座れましたので、次はオーダーについて教えてください。

実はよく考えると誰からもレストランでの正しいオーダーの仕方を教えてもらったことってないんですよね。どこで覚えたかというと、小さい頃からフォーマルなレストランに家族で行き、単純に親の作法を真似てるだけなので。

なのでここでは基本を見直すという意味であえて「流れ」をおさらいしておきたいです。

基本の流れは、まず、食前酒を尋ねられます。これは断ってもかまいませんが、今はノンアルコールや低アルコールの飲料を用意している店も少なくありませんから、好みのものがありそうか尋ねてみてもよいと思います。

そのあと料理のオーダーですね。コース料理またはアラカルトで注文します。コース料理もアラカルトも、大まかには「前菜」「メイン」「デザート」を注文するイメージですね。

食前酒って断っていいんですか、なんとなくマナー的に断ってはいけないのかと思ってたわ。

食前酒のお作法

「とりあえずビールはレストランでは禁忌」

ある程度高級で格のあるレストランで食前酒を聞かれたら「とりあえずビール」はスマートじゃないから禁忌ってのが作法としてありますよね。

確かに「とりビー」は居酒屋や焼肉屋でないと場にそぐわないし、正直レストランでオーダーするにはエレガントではないと思っていますので、食前酒に「とりビー」はしないのですが、ここ数年の流行りだと泡に逃げてしまうことが多いので、グラスのシャンパン、カヴァ、スプマンテばかりでさすがに飽きてきました。 

そういうとき「おぬし出来るな!?」ってその後のやりとりが楽しくなるような、一目置かれるようなオーダーってあったりしますでしょうか?

オーダーしたら一目置かれる食前酒

 「おぬし出来るな!?」に当てはまるかどうかはちょっと不安ですが、「シャンパン以外には何がありますか?」とお客様に聞かれたときには「お、本気出しましょうか?」と僕なら思います。

本気出して欲しいです。そう言うやりとりがレストランの食前酒段階でできるようになると、楽しい時間が過ごせそうなので。

本音を言えばいまはみんな泡に頼り過ぎだとおもうんですよね、でもそれって「泡しか知らない」ってのもあるはず。結局は「とりビー」が「とり泡」になってるだけですものね。

 たしかに9割以上は乾杯がシャンパンになるので、どうしてもスタッフ側も習い性になってしまうところがあって。だからちょっと違う尋ね方をされると楽しくなりますね。

さて、その「シャンパン以外」について。キール(白ワイン+カシス)やシェリーが定番の食前酒として勧められていた時代もあるようですが、今はお客様の要望も多様化しているので、店によってはフレッシュフルーツを使ったカクテルやオリジナルの食前酒を用意しているところもあります。 

特に今や「飲めても敢えて飲まない」方々が出てきているほどなので、昨今のノンアル需要を敏感に感じてラインナップを揃えている店もあるでしょう。それらの内容を聞いてみてあまり好みのものがなければもちろん「泡で」としてもいいかなと思います。

 

本気を出した時にお客様に薦める食前酒

で、「本気出したとき」勧めるのはなんですか?

たとえば特定の、定番ながらもあまり見る機会がないリキュールやカクテルでしょうか。海外だとベルモット酒(フレーバーをつけたワイン)やネグローニ(カンパリ、ベルモット、ドライジンのカクテル)などを注文する方もいらっしゃいますよね。アルコール度が高くても大丈夫なら、ちょっとした非日常感の演出のお手伝いとしてそれらを提案します。実際にそういうお客様がいらしたことがあって、「カッコいい飲み方だなぁ」なんて思いながら接客をしていたのを思い出します。

 

空きっ腹にいきなりアルコールを入れたくない時は?

食前酒って空きっ腹に飲むので、アルコール度数がひくめ、もしくはノンアルでおすすめがあったら念の為そっちも教えていただきたいですわ。

この際なので、わたしの失敗を恥を忍んで公開しますが、いちど空きっ腹にシャンパンを飲んでひっくり返ってしまい、コースのアミューズすら一口も食べずに退場になったことがあったのです。
あの失敗は二度としたくないんですよね。食いしん坊としては食前酒で退場なんて痛恨のミスなので。

いやぁ、それは無念ですよねぇ……。さきほどもちらっと話題に出しましたが、ノンアル、または低アルコールの需要って増えてるはずなんですよ。ただ、まだまだお店によってそのラインナップにかなり差があるので、どこでも用意できる、定番のアルコール低めのものならスプリッツァーでしょうか。白ワインを炭酸で割ったものですね。 

お、それいただき。スプリッツァーですね。名前は知っていても自分からオーダーしたことありませんでしたわ。

 もしくは「とりビー」を少しだけ避けてみた意味で、シャンディガフはいかがでしょうか。ビールのジンジャーエール割りです。これもだいたいの店が用意できるはずです。

僕自身だと苦い味が好きなのでカンパリやペルノー(どちらも薬草系のリキュール)をソーダで割ってもらったものを頼んだりします。 

あ、わたしも食前酒カンパリに一時凝ってました、アぺロールとか炭酸で割ってもらってもいい感じですよね。

飲めないのではなく飲まない日のノンアル

ノンアルだと、最近は本物のワインにかなり近い香りと味わいのブドウジュースが出てきていますよね。僕も何回か飲んだことがありますが、美味しいものはすごく美味しい。

わたしも3ヶ月くらい止むを得ず禁酒してた時に、ワインと同じ値段の葡萄ジュースってのを出してもらったんですが、それはそれは美味しかったです。

あと、意外と盲点なのがハーブティー。これは食後用に用意している店も多いと思うのですが、お湯で少し濃い目に入れたものを氷を入れたグラスに注いでもらえればこれだけで十分、食前ノンアルになります。提供までちょっとお時間をいただくことにはなりますが、胃も心も落ち着かせるドリンクとしてはいいと思います。

ハーブティー、食前酒に頼むのはそれこそ「ツウ」な感じしますね。

最近はノンアルペアリングで相当質のいい希少なお茶を出してくれるレストランがあって、実際体験したらすばらしくって、めちゃくちゃ気に入りました。お酒は大好きだけど「今日は飲まない日」ってのは体調関係なく自己管理でもあるので、ノンアル選択が増えて上質なティーを合わせる流れが広がって欲しいです。

ノンアルのペアリングも少しずつ出てしましたよね。僕が今回提案したものはあくまでどこでも用意ができそうなものの話なので、気の利いたお店だと予約時に「あまりお酒が飲めなくて」とか「ノンアルコールは用意がありますか?」と尋ねていただければその日に用意できるものを、オリジナル含めて提案してもらえるかもしれません。

これも事前に伝えれば選択肢を提示してもらえる幅が広がるってことですね。やはり賢い客でいることは相当重要ですな。

  

食前酒についての疑問点

食前酒ではなくボトルワインからはじめたいとき

食前酒を先にオーダーし、それを飲みながらメニューを決めるのがスタンダードですが、食前酒は飲みたくないのでボトルワインからはじめたいときはどうすればスマートですか?

 その場合ははっきり「ボトルワインから始めたいのですがワインリストをいただけますか?」と言っていただければ。店側に断る理由はありませんし、レストランでの振る舞いとしても全く問題はありません。

もしくは、そもそもそのワインをメニューを選びながら決めるのもツウですよね。「ボトルワインと料理を一緒に決めたいので、食事のメニューを先にいただけますか?」と言っていただければ大丈夫です。食事を決めながら「このメイン料理に合わせるとしたら、このワインはどうでしょうか」みたいに店のソムリエと相談しながら決めていくのも楽しいと思いますよ。

空きっ腹にいきなりアルコールを飲みたく無い場合に、この「食事を選びつつ、ワインを決める」ってのは適切な方法に思えます。早速取り入れますね。

先に水だけ頼んだっていい

 ぜひ!ちなみに、メニューを決めている間もし口寂しくなるのであれば、先にお水を頼んでくださってもいいと思います。

 食前酒頼まずにまず水だけ頼むって、自己解釈でなんかダメそうな気がして店に辿り着くまでに移動で喉が渇いていてもかなり我慢してたんですけど、次回からは自信を持って水飲みながらゆっくりワインリストを読み込みたいですわ。リストを見ながらあれこれ悩む時間が楽しいので。

 

メニューをじっくり考えてからオーダーしたいとき

実は日本のレストランでとっても気になってることがあるのです。
 
オーダー時、メニューを見ている途中でオーダーを聞きにくるレストランが多くて気になってます。
 
普通は「メニューを閉じてテーブルに置く」というのが「オーダーとりにきて」の合図だと思うのですが、メニューを見ながら同行者と相談してるところに毎回割って入られてしまい、この時に「まだ選んでるからもうちょっと待って」を言わないといけないんですよね。

 うーん、サービス側の問題はありえますよね。あとは、テーブルにメニューを置くのが合図だということを知らないお客様もいらっしゃるので、そこに配慮したつもりが余計なお世話になってしまうパターンもあるとは思います。

どうもテーブルにメニューを閉じて置くと「Ready to order 」のサインって、日本ではおもったほど普及してないっぽいですよね。
これ客もサービス側も合図だと覚えておくと便利だと思いますので、もっと浸透して欲しいですな。

僕自身も最近、高級レストランで同様の経験をしたのであんまり普及していないんだなとちょっと驚きました。

それ高級レストランじゃないですよ、値段だけ高い三流レストラン。

高級なのに洗練されてないやり取りでスタートすると一気に萎えます。これは客側の問題ではないので、高級を自負してるならサービスする側が基本として学習しといて欲しい感じがします。レストラン側が教育してない問題?教えられる人がいない問題?なのか存じませんが。

実は僕自身、店で先輩にそれを明確に教わったことってないんですよね。それこそ僕がまだ若いときに、お客様にオーダーを早く伺いすぎて「まだ選んでます」とピシャリ言われてしまった経験があるんですよ。恥ずかしい話ですが、僕がオーダーの合図を理解できるのはお客様に鍛えてもらった結果と言えるかもしれません。

そんな現実もありますから、「まだ選んでるよ」を明確に表す方法がもしあるとすれば、メニューを見ながら会話を続けることくらいでしょうか。それならスタッフは「まだ相談してるんだな」と考えるかなと思います。

それでもその仕草に何も感じないスタッフがいたら、もうそれは仕方ないので「まだです」と伝えてあげてください。 

やはりそれしかないんですね>まだです。
でも「まだです」っていうのほんと嫌なんですよね。
お作法が浸透してないゆえの行き違いなら作法を覚えてほしいなって思っちゃいます。とくにサービス料がっつり10%取るのであればお作法くらいは知っといてほしいわ。

 

レストランを出たい時間がある場合

「早く出してね」っていつのタイミングで言うべき?

最初のオーダーの時に、レストランを出たい時間を正直にいっちゃってもいいのですか?

以前会食メンバーのなかに一名新幹線で帰る予定のあるひとがいて、レストランを出る時間が決まっており「店を出たい時間」を伝えるタイミングに迷ったのです。

美容院なんかでは仕上がり時間をスタッフが最初に気にしてくれるのですが、レストランで出たい時間を聞かれるカルチャーがないですよね

予約時に言っていただけるのが一番ありがたいですが、当日分かることもありますよね。その場合はオーダーの注文前に言っていただくのがスマートです。「〇〇時くらいには店を出たいのですが」と。 

オーダーを受けてからその中に時間のかかる料理があったりすると大慌てになりますが、オーダー前なら「こちらの料理は出来上がりまで1時間半ほど見ていただいておりまして……」とお伝えできます。

コースだと2時間くらいかかることは知っておいて欲しい

実はこれ、以前働いていたレストランでミーティングの議題に上がったことがあるんですよね。観光地にある店だったからなのですが、レストラン慣れしていないお客様も多く、フルコースにまさか2時間以上かかるなんて想像できないわけです。

さすがに「コース2時間はみておかないと」レベルの話はレストラン利用する上では基本中の基本ですよね。これを想像できないってのは客側が無知すぎる気がします。でも観光地だとそれが起こってしまう訳ですな。

さっきの「メニューを置いたらオーダー取りに来ての合図」をスタッフが知ってて欲しいのとおなじように、「コースは2時間かかる」は客が予約する前に知っておきたい常識かも。

レストランによってもコースにかかる時間は幅はあるので、予約する前にどのくらい時間がかかるのか?も客側は事前学習が必要ですね。

そうなんですよね。知らないと結果的にお客様にとって損になります。コースの半分くらいになって、「あと30分で出たいんですが……」となるとそこからバタバタと料理を出すことになって、ゆっくりとした時間とは無縁になってしまうことがありました。

その店では、そういうことが何回かあった結果、オーダーを取るタイミングで「こちらのコースですとだいたい食後のコーヒーまでゆっくりお召し上がりいただいて2時間から2時間半くらい見ていただいておりますが、このあとのご予定は何かございませんか?」と尋ねるようになりました。

出る時間を聞く美容院方式だわ! 
やはりコミュニケーションコストをケチるとお互い不幸になるってことですね。なんでも先に言う、早めに言う、レストランだけではなく普段の生活でも使える技ですよね。

 

いろいろ食べたいのでシェアしたい

シェアについてお聞きします。

アラカルトでオーダーしてシェアってやってもいいものなのでしょうか?

諸般の事情(病気や高齢、または小食)で量は食べられないけど、そんなハンディのある同行者にも色んな味を楽しんで欲しいなって考えております。そんな感じでシェアしたいと思ってる場合、これもやはりオーダーのタイミングで伝えるべきですか?

 

 テーブル上で客が勝手にシェアするのはご法度

レストランで、テーブルの上でお客様自身でシェアをなさるのは、できれば避けたいですね。ビストロなどのカジュアルな形態であればまだいいのですが。

シェアについては店によるスタンスの違いがかなりありそうですが、基本は店側に伝えていただければ問題はないはずです。オーダーを伝えながら「この料理は二人でシェアしたい。この料理は一人ずつ一人前でお願いします」というように伝えていただくのがいいですね。そのときに「こちらには少なめの分量で」と伝えていただいてもかまいません。

そうすれば最初からそれぞれのお皿に分けられた状態で提供してもらえるか、シェア前提でテーブルセットをしてくれるはずです。

これも、シェアが許されるかどうか、オーダーの時に素直に聞いてみるのが幸せな食事をするための秘訣っぽいですね。

 

 ポーションを減らして欲しいとき

自分のヘルスコンディションで当日急遽ポーションを減らしてほしい時ってどのタイミングで言うのが良いでしょうか?
会食メンバーに高齢者がいたりして事前にわかる少食の場合、予約の段階で食べられる量をあらかじめ言っておくケースだといいのですが、今日の調子だとフルポーションだとコース最後まで絶対食べきれないなぁって不安があるとき、いきなり当日に「少なめにして」は言ってみていいものなのでしょうか

初めての店なら前菜の量を見てから

馴染みの店の場合、量がわかってるはずなのでオーダー時に伝えるのはアリですね。初めての店の場合は最初の前菜の量を見てから「食べ切れなさそうなのでメイン以外減らしていただければ」のように伝えていただいても。店によって分量の塩梅ってかなり違うので、食べる前から「少なめで」と言った場合に思ったより少なすぎた、みたいなこともありえますから。

おー、なるほど。使えるアドバイスありがとうございます。量がわかってないレストランで「少なめに」と言ってしまって少なすぎるのは悲しいですものね。前菜の量をみてからその後のポーションを予測するってのは凄く使える技ですわ。

ちょっとずつ残されると作り手は気になる

ちなみに、ちょっとずつ残していただいても全然かまわないのですが、店側の心理としてはそれを見ると「お口に合わなかったのかな……」と気になってしまうんですね。だから、「美味しかったんですけれど量が多くて」と伝えてくださるとありがたいです。

すごく気に入った料理が出てきて「これだけは全部食べたい!」みたいなこともあるでしょうから、食べられなさそうだからといって変に遠慮して「少なめで」という必要はありません。

食いしん坊にとっては、具体的なアドバイスありがたいです。やはりちょっとづつ残されるのって作った方は「なんで?」ってすごく気になりますよね。おいしかったのに食べられなかったら次回から一言添えますね。

皿ごとの量の調整もできることもある

そうですね、あとは先ほどのシェアの話にも通じますけれど、「私の分を少なくしてその分はこちらに」なんていうこともできることもあります。これはできる料理とそうでない料理とあるので率直に聞いてみてください。この方法だと残さず全部召し上がっていただける分、店としても嬉しいです。


まとめ

今回も色々な質問に丁寧に答えてくださった黒ワインさま、本当にありがとうございました。

わたしが「席が気に入らなかったら帰っていいのですか?」と聞いた時の黒ワインさまの困った様子が忘れられません。
自分でもこの質問困らせちゃうかなと思いながらお聞きしたのですが、今回も見事な答えをくださって、黒ワインさまに聞いてよかったと思いを新たにしました。

そして皆さまお気づきでしょうが、この利用編2の段階では食前酒とかオーダーまでしかいってないんですね。まだ食べてないんです。

ということは、わたしの質問は2022年も続くってことですね。

黒ワインさまにはまだまだ聞きたいこと質問がいっぱいあります。

たとえば
頼んでない間違った皿が目の前に置かれた場合って作り直させる?
それとも我慢して食べるべき?とか。
建前上はコース食べている間は「トイレには立つな」がマナーだとされてますけど、我慢しながら食べると味わかんなくなるので現実的な話としてトイレに立っていいタイミングを教えてほしいとか
会計の時に走馬灯ジャーニーしたいから明細見せてってほんとに言ってもいいの?とか。

2020年からはじめたこの企画、2022年も続きます。
食べ終わってレストランを出られる最後まできちんと仕上げたいですね。
よろしくお願いします。

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