見出し画像

サービスに奇跡はない 「客力の磨き方」 レストラン利用編1 キャンセルや遅刻をお店にどう伝えればいいですか?

好かれる客でいたい、接客され上手になりたいと思ってる皆さまへ
この記事は全文無料でお届けします。

2021年は客としてなかなか接客される技術の向上を望めない難しい環境の1年でした。

レストランに行って接客してもらう機会がガクンと減ってしまったことで「サービスされたい欲」「良い接客を受けたい気持ち」が高まっている人も少なくない数いると思います。

ことしも残り1ヶ月とちょっとなのでここらでひとつ「接客される技術」を磨き客力を高め、改めて「好かれる客になって楽しい時間を過ごす」ってことを思い出そうではありませんか。

この記事は「サービスに奇跡はない」接客される技術 シリーズの新作で


レストラン予約編の続きです。


前作でレストラン予約で好かれる客になるための様々をソムリエの黒ワインさまと語り合いましたが

今回の記事も前回に引き続きニューノーマルに合わせた疑問点をふたたび黒ワインさまにSUZUがぶつけてみることにします。


レストランをキャンセルするとき

このご時世ですから予定通りレストランに行けるとは限りません。

平時であれば予約したからには無理してでも行きたい気持ちになってしまうものですが、昨今の情勢を鑑みると、レストラン訪問に際し咳が出ていたりちょっと風邪気味だったり、微熱があったりするとキャンセルせざるを得ない時もあるかもしれません。

飲食店もいまは最大限感染対策に気を使い、レセプションで体温のチェックやってますし、咳が出てる方は入店をお断りする場合があります、なんて事前告知してるお店もあります。なので今の時期は体調不良の場合の迷惑のかかり方が甚大すぎるので「事前に判断してやむを得ずキャンセルする」という選択肢も客の心得としては必要です。

なので今回の記事では予約はできたけど残念ながらキャンセルするケースから考えていくことにします。


「もし当日体調不良で来店できなくなったら?」

SUZU:現在の状況を踏まえ、ニューノーマルを意識したスマートなキャンセルの仕方ってありますでしょうか?

黒ワイン:まず、「急なキャンセルは店に申し訳ない」といって無理に行くのはご法度。体調が悪ければ美味しい料理もお酒も、楽しい時間も感じにくくなりますよね。せっかくお越しいただくのにそれは店としてもしのびないです。ですから、きちんとキャンセルの理由を述べてくだされば、そのことに対して冷たく接してくるレストランは少ないでしょう。


キャンセル後の挽回方法は?

結果的にキャンセルせざるを得なくなった時は胸が痛みます。
正直、キャンセルしてしまった店には次に行きにくくて、それっきりになりがちなのですよね。なのでもし次回につながるような挽回方法があったら教えていただけたら嬉しいです。

 当日または予約日近くになってのキャンセルが店にとって辛いのは、たしかなんです。その予約のために他の予約をことわっていることもありますし、すでに食材の仕入れやコース料理の仕込みが終わってしまっている場合もあります。

 明確なキャンセルポリシーがあって「コース料金の何%の代金は頂戴します」という場合もありますが、ほとんどのレストランは事前の了解もホームページなどでの記載もしていないと思います。だから、キャンセル分の売上はそのまま失われるわけで、店にとってはやはり辛い。

 そしてもちろん、その日にお客様とお会いできる機会がなくなってしまったのを悲しむ気持ちもあります。お客様のほうがお辛いかもしれないのでなかなか表には出せない感情ですが。

 そういう気持ちをクリアにする方法の一つは、その場で別日に予約を入れてしまうことです。たとえ今日お会いできなくとも、そういう配慮をくださるお客様にはスタッフとして大きな感謝の気持ちを抱かざるをえません。

 そのキャンセルの電話時でなくても、数日後の近い時期に、再度ご予約の連絡を入れてくださる方はやはり印象に残ります。「この前は体調不良だったので、リベンジです!」なんて言ってくださった方もいまして、そんなお客様にはこちらの気合いの入り方も違います。

 

 リベンジ予約!そういう方法があるんですね。
一度キャンセルしてしまうと「敷居が高くなってしまう」と考えていたので、この答えはとても意外でした。

 コロナ禍だからこそ、体調不良によるキャンセルははっきりと理由を述べて遠慮はせずに。そして、もし可能なら早いうちに次回のご予約を入れる。店からはなかなか「キャンセルするなら次回の予約入れてよ」とは言いづらいので、自然とそうしてくださる方には嬉しくなるものです。

  

予約人数は厳守すべき?

そういえば、キャンセルが申し訳なさすぎてあわてて代理を立て、人数はそのままでみたいな苦肉の策をとったことがあるんですが、これは方法としてはどうでしょう?やはりレストラン側としては人数は厳守すべし、のような暗黙のルールとかってあったりしますか?

 たしかにときおり、体調不良の方だけ欠席で、せっかく予約したのでと代理の方を連れていらっしゃるケースもありました。もちろんその場合、店に対して気を遣ってくださっていることが伝わるので嬉しい気持ちにはなりますが、そこまで無理なさらなくてもとは思います。

きちんと連絡さえくださってご事情を伺えるのなら、それは単に今日のご縁がなかったものと僕は思うようにしていました。いらっしゃることのできなかった方もお辛いでしょうし、気にしすぎるのはよくありません。

 

どれくらい前にキャンセルすべき?

今ってかなり特殊な状況ですので、もうちょっと体調不良がらみのキャンセルについて話させてくださいませ。

 例えば週末にレストランを予約していて、週の半ばに熱が出てしまった。このケースは今回の感染症の特徴的な症状ですので例え1日で熱が下がったとしても「週末の会食はキャンセルする」が正しい判断なわけですが、キャンセルまで期間がない場合どれくらい前にレストランに連絡をするのが適切なのかなと。
やはり早く連絡したほうがいいですよね。

 「キャンセルの連絡は早ければ早いだけありがたい」というのが本音ではありますが、特に予約時に決まりがある場合を除いて、前日までに教えていただければ十分かと思います。当日のスタッフの動きやテーブルの配置を決めるのに役に立つので。

 ただ、もし気を遣ってくださるというのなら、人数変更の可能性についてだけでもわかった段階で教えていただけるとより助かります。 

減るなら人数だけでも先に

なるほど、「人数変更の可能性がある」連絡だけでも先に、ですね。人数の変更はそれがテーブルの配置にも直接関わるって良いことを聞きました。

 そうなんですよ。たとえば5人→4人への予約変更になる場合、テーブル数が変わることがあるんですよね。2人がけテーブル3つから2つに減ります。そうするとテーブルが1つ空くので、その日にキャンセル待ちで別の予約を入れることも可能になりますし、それこそニューノーマルの中では十分な距離を取るために席配置が変えられるかもしれないのでその準備ができます。

 つまり、「1人減るかもしれない」という可能性を伝えるだけでも店にとってありがたいケースというのがあるわけです。だから、基本は前日までの連絡で大丈夫ですし、可能なら「人数変更またはキャンセルなどの可能性があるがそれは前日にまた連絡します」のように伝えてくださると助かります。

慌てないで、逐一報告連絡を密にする。「報連相」って仕事みたいですが、信頼関係の話でもありますね。

 

当日突然人数が増えるのは迷惑?

「当日の人数増減」についてもう一歩突っ込んでお伺いしたいです。
あまり無いかもしれませんが「いきなり当日人数が増える」ってシチュエーション。

 まず、増える場合も分かった時点ですぐに電話を入れていただきたいです。なぜなら、予約の状況によっては増えた場合でも対応ができるからですね。他の予約が入ってしまってテーブルが埋まってしまったら、物理的にご案内が不可能になるので、いち早く席を抑えにいくつもりで即電話ください。

人数が増える場合ってまるで椅子取りゲームですね!ゲームに勝つ為にはすぐ連絡しなきゃイメージが湧きました。

そうですね、椅子取りゲームくらいの感覚で電話していただけると楽しいですよね。

僕のいたレストランでは、いわゆる「お誕生日席」(2人がけテーブルの側面に席を一つ追加)を作るような形で4名様から5名様に増やして対応したこともありました。その場合も電話口でやや狭くなることや席配置を説明した上でご納得いただいて、ご来店いただけました。これも早めにご連絡いただいたからできたことで、当日来てからだと難しいと判断することにもなったでしょう。お食事をされているお客様の前でイスを動かしたり机を動かしたりしたくないので……。

ここだけのはなし、いきなり当日に言われる「1人減りました」と「1人増えました」どっちが迷惑ですか?
いやどっちも迷惑でしょうが、嫌さでいったらどっちですか?

 これは結構はっきりしていて、店に訪れてからの「1人増えたんですが……」だけは本当にやめていただきたいです。セッティングの追加など急なオペレーションが増えて、結果的にお客様をお待たせすることにもなります。申し訳ないなんて思わずにどの時間帯でもすぐに電話くださるのが一番です。

「突然客の人数が増える方が迷惑」ってこれ覚えておきます。

どうしても当日増えた、となったらその瞬間にまずお電話ください。来てからでは対応できなくても電話の時点ではなんとかなることもあるんですよね。重ねて言いますが、結果的にお客様が得をするためには「何かあったらすぐ電話」を忘れないでいただければと思います。

「お客様が得をするために」って、地味に説得力ある言葉です。 

マナーって言われると条件反射で反発心が出ちゃう人も「損得」と言われると、得な方がいいかなって思えそう。現実はちゃんとコミュニケーションしないと、結局は客側が損しちゃうってことですからね。

 コロナ禍という特殊な状況でレストランを予約するうえの心構えとして、この人数の増減連絡は一度きちんと考える必要があると思っておりまして、黒ワインさまにお聞きしたかったのでとても参考になります。

 

 早着と遅刻について

レストランに早くついてしまったら?

次は「早着」と「遅刻」についてお聞きしたいと思います。
遅刻の話は「遅れてはいけない」が常識なので共有できてる人が多いと思いますが、今回はまず「早着」についてお聞きします。

17時OPENのレストランに17時に予約を入れたら、一体何時何分にいくのが正解なのかな?っていつも疑問に思うのです。

具体的に言うと予約の10分前には到着するべきなのか、それは早すぎるので17時OPENのレストランなら17時ちょっと過ぎに来て欲しいとか、なかなか言いにくいであろうレストラン側の本音を伺いたいと思っています。

 これはその店のスタッフの感覚によってかなり変わりそうですが、僕は前後10分のズレまでは常に想定していました。 

僕の場合は17時オープンで16時50分にいらしたなら、外でお待たせするのも嫌なので店内にご案内していました。そのかわり「お料理のスタートは17時以降とさせてください。お飲み物は先にご用意させていただきます」としてたんですよね。

 なおこの「16時50分でも受け入れるケース」ですが、それはあくまで「店側の好意」だと思ってくださると助かります。直前までセッティングやミーティングをしていることはありますし、そういう裏の姿は見せたくありません。お客様も非日常の時間を過ごしに来たはずなのに、泥臭いレストランの裏側なんか見たくないですよね。オープン時のご予約なら、むしろ2、3分遅れるくらいのほうが、迎える側としては安心できるくらいです。

 
開店時間より早く行かないのが好かれる客になる秘訣

やはりそうですよね、「レストラン側の好意」要は開店10分前にいくのは推奨されないことって理解した方が良さそうですね。

 実は、ホームパーティーでゲストを迎え入れる側になった際、やたらアポイントの時間よりも早く来るお客様がいらして、準備の途中で対応せねばならなくなり困った経験が…。
本音はお招きするまでの舞台裏=準備段階はなるべく見せたく無いなと。
なのでレストランはオープン時間の予約であれば、開店時間より前に入らないのは客側の気遣いなのかなって考えておりまして…。

 ホームパーティーの経験がある方ですとたしかにイメージしやすいですよね。僕の母もそういうのが好きでときどき開催していたのですが、早く来た方の対応に困っていました。当時大学生の僕がゲストにお酌して間をつないでいたのを思い出します。

 迷惑なので開店時間より早く来るなってのがよくわかりました(笑)

既に営業が始まってるレストランへの早着

さて、レストランに話を戻しますね。たとえばの話、20時の予約に対しての19時50分にいらっしゃる場合はまた少し違うんですよね。店の状況によっては、ご案内してそのまま食前酒から料理までスタートしていくこともあります。逆に、10分早いことで混雑のピークと重なった場合にはこちらから「まだ少し混み合っておりまして、申し訳ございませんがお料理はご予約のお時間から始めさせていただければと思います」のように伝えた上で、予約時間からスタートというケースもありました。

だから、オープン直後でなければ、店側も柔軟に対応ができるのでちょっと早く着いてしまったことをそれほど気にしなくてもよいかと思います。

 

「オープン直後でなければ早く着いたことを気にしなくても平気」なのですね、これは覚えておきます。 

 

遅刻はどこまで許容されますか?

最近はネット予約などのページに「15分過ぎたらキャンセルとさせていただきます。」等キャンセル規定がわかりやすいレストランもありますが、具体的に何分くらいの遅刻は連絡すれば許容されるものでしょうか?

 これも店によって違うと思いますが、僕は20分以上遅れた場合だけこちらから電話連絡を差し上げていました。もしかして別の日の予約と間違えてお取りしていないかと心配になるからですね。なので、目安としては15分以上前後する場合は電話を一本入れてくださると。

 

15分ですね、この感覚は一緒で安心しました。

 遅刻によるキャンセル規定がある場合はそれに従うことになりますが、その規定がない場合は電話連絡さえいただければ大幅な遅刻でも大丈夫です。僕は、1時間以上遅れた場合でもラストオーダーの時間さえ過ぎなければ全く気になりませんでした。

 ただ、店の閉店時間にかかってしまうくらいの遅刻の場合は、お電話をいただいた際にこちらからそれとなく閉店時間をお伝えすることもありましたね。 

これはレストランの回転設定とも連動しそうですよね。1回転しかさせない設定の店で大丈夫と言える遅刻許容時間と、2回転させようと思ってるレストランだと、それぞれ許される遅刻を許容出来る幅は変わってきますね。

 たしかにそうですね。2回転目前提の店だと早い時間の予約が軒並み遅刻というケースは辛いですよね。それはどうにもできないので、仕方のないことと受け入れるしかなかったです。

ただ、お客様としては2回転前提の店でも予約時に「この席は〜時まで」のようなことを言われなければ、さほど気にしなくてもいいかと思います。なぜなら2回転目の予約を取る際には「席が空くとしたら〜時ごろです。空いたらご連絡いたします」のように伝えることが多いからです。

遅刻しそうなら、とにかく早く連絡を入れる

このときも、大幅な遅刻が早くわかるのなら2回転目予約のお客様にすぐ電話をして「〜時までなら席が空きました」のように対応できるので、やはり分かり次第、即電話をくださるのが一番ありがたいですよね。

  

電車が止まった、事故渋滞、仕事が終わらないなどで遅刻確定となったとき

レストランへの遅刻連絡はするのがあたりまえですが、どのような伝え方ですとスマートなゲストになれますか?遅刻で印象が大減点してしまっているので、少しでも和らげたいというか…礼節を尽くしたいと言うか…

 発熱でのキャンセルのときと同じですが、まずは理由をはっきりとお伝えくださること。「仕事が伸びてしまって」とか「渋滞に巻き込まれてしまって」など、簡潔でかまいません。

到着出来そうな目安時刻を伝えよう 

そして、目安で構わないので到着時刻を併せて伝えてほしいです。いらっしゃるつもりだった時間帯が店のピークで、その時間にいらしても全く手があかないなんてことはありえます。ある程度の時間さえわかれば「そのお時間帯がかなり混み合っておりまして、もしよろしければその15分後にお願いすることはできますでしょうか」とこちらからご提案ができます。

なるほど。「理由と、到着できる目安の時間を伝える」ですね。
これは客側もメリットになりますね。こちらの状況を伝えた結果「そんなに慌てて行かなくてもいい」という情報も得られるので、お互いの意思の疎通ってすごく大切なんですね。

 そうですね。変な言い方ですけれど、なんでも伝えてくださったほうがご予約者自身のためになるんですよね。

 はっきりと理由を伝えてほしいのにも、ちゃんと理由があります。それはお客様の状態を知りたいから、というこちらの気持ちなんですよね。遅くまで伸びてしまったお仕事のあとであれば「遅くまでお疲れ様でした」という心持ちでこちらもお迎えできますし、きっと最初のお飲み物はいつも以上にスムーズに出てくるはずですよ。

そんな細やかな心遣いをしてもらう為にも、まずはコミュニケーションコストをケチらないってことですね。

レストランでも報連相!

そういえば、以前乗ってる電車が止まってしまい遅刻免れないとなったときに、とにかくすぐレストランに電話したらとても心配してくださって、入店早々「ご無事でよかったです。」ってスタッフみなさんに笑顔で言ってもらえて、遅刻してしまったのに大変良くもらえたことを思い出しました。

 

レストランに着いたら

次の質問は今更聞けない基礎編なんですが、
レストランに入ったらレセプション(受付)でなんて言えばいいのでしょうか?名前を告げるべきか、予約してることを告げるべきか、どういう順で言ったら良いのか、誰にも教えてもらったことないので。

実は予約時間が重なった時など、順番を待ちながら観察してると、スタッフに何か聞かれるまでレセプションの前で「黙って立ってる」ってのをやる人が意外に多くて、ちょっとびっくりするんですね。


そこはまず客が先に名前を名乗るところじゃないの?みたいな。

一瞬の沈黙の後に客とスタッフが見つめ合ってしまい「で?」みたいな感じの微妙な雰囲気になっちゃってるのが気になったりします。

 「で?」みたいな感じ、たまにありますよね(笑)。わかります。

店として分かりやすいのは、時間→名前の順です。「18時に予約しております◯◯です」で大丈夫です。人数は、誰かが遅れてくるなどその場にいない人がいる場合のみお伝えいただければ。

これは店側の失策の話なのですが、以前、30分ズレの予約で同じ名字の方を、スタッフが間違えて案内したことがありまして……そのときは本来のお客様がすぐいらしたので気づけて事なきを得たんですが、時間を言っていただければお客様の特定がしやすいので助かります。 

まずは客が予約時間と名を名乗ろう

同じ名前の予約で思い出しましたが、過剰なホスピタリティを売りにしてるレストランだと「初来店なのに客が自分から名前を言わなくても当ててくれる」みたいな特殊で不思議なサービスを繰り出すところがありますが、わたしは客の心構えとして、どんなに常連だとしても、店を試すようなことはせず名前を自ら名乗るものって考えているのですが、これ黒ワインさまはどうお考えでしょうか?

ああ!ありますよね、不思議なサービス!

初めての店でドアを開けた瞬間、予約名を告げる前に「お待ちしておりました、◯◯様!」のように言う店。あれは「超能力」を持ったサービスマンしかやれないんですよ。凡人がやっても何回かに一回は間違えるのでやめたほうがいいと思うんですけどねぇ。

これも店側の失態になるんですが、前にそういう「超能力サービス」をとあるレストランで受けて、それを真似しようとしたスタッフがいたんですが……見事に初日に名前を呼び間違えました。15分ズレで入っていた後ろのご予約の方が早くいらっしゃって、「いや、違いますけど」なんてことに。僕は顔面蒼白になりながら「ご予約者名を尋ねて失礼なことなんて何一つないんですから、それ絶対やめてください」って言ったのを覚えています。

うわあ、それは最悪だわ。初っ端から印象悪いですよね。

そうですねぇ。ですから、そういうのは期待せずに普通に予約情報を告げてくださればと思います。お客様から店に対して「超能力サービス」が優れてるだなんて思わせるのは、むしろ失礼なサービスを助長することにもなってしまいます。お客様の名前はとても大切なものなので、わかっている店ほど不用意にこちらから言うことはせず、むしろご予約名はきちんと尋ねてくると思います。

客側もレストランを試したりせず、素直に予約時間と名前を伝えて、無駄なエラーを誘発しないように心がけたいですね。

 

レセプション(受付)でよくあるエラー

次は何度か経験しているレセプションで予約時間と名前を告げた後に起こりがちなエラーの話をさせてください。

レストランで受付のスタッフに予約時間と名前を伝えたのですが、「そちらでお待ちください」とソファで座って待つように言われました。ところが同じ時間帯に予約している他の客が次から次にやってきて、順番は無視され「その後まったく案内してもらえない。」というシチュエーションに時々遭遇するので毎回もやもやします。

このケースは100%待ってることを忘れ去られているので、対策としては、ソファには座らず受付にはりつく以外ないのでしょうか?
結局「もう一度最初からやりなおし」って感じで受付に行って「○時から予約しております、□□です」って再度言う羽目になるのです。

スタッフって忙しいとソファで待たせてる客のことなんか忘れてしまうものなのでしょうか?

あー!そういうケース、たまに耳にしますが、対策は……たぶんないです。「もう一度やりなおし」をするしかないのですが、この「案内ミス」をしてしまいそうな店の特徴ならお伝えできそうです。

名前を告げたのに案内されないケースって、もちろんわざと放置しているわけではないとは思うんですよね。でも、SUZUさまもときどき言葉になさっている「フェイルセーフ」がうまく機能してないか、そもそもそういう発想がない店の可能性がありそうです。

店側の立場からは言い訳になってしまいますが、人間ですからミスは起こりえます。受付のスタッフが忙しい中でご案内を忘れてしまったんでしょう。

 案内するのを忘れてしまうミス

でも、接客の行き届いたお店って、きちんとそのミスをカバーしようとするんですよね。受付以外のスタッフが「こんにちは!」と挨拶しながら「(お客様のご案内は)お伺いしてますか?」と聞いてくれる。(あのお客様、ずっとソファ座ってない?誰か受付した?)と考えて動いてくれます。受付したスタッフのミスを店全員で防ごうとするわけです。

実際にホスピタリティに溢れた施設をよく利用するので、待たされてると気配りのあるスタッフから声をかけられることはよくあります。しかしけれどもだけれども、客の立場から「お伺いしてますか?」の質問の仕方はやめてほしいって、この機会に声を大にして言いたいです!

気を配ったはずの「お伺いしてますか?」で起こる更なるエラー

何故かと言うと「お伺い」は一度別のスタッフにされており、そのうえで待たされているので「お伺いしておりますか?」って聞かれたら、答えは「はい」になっちゃうんですよ。予約時間も名前も告げて「案内を待たされてる」状況は「伺ってない」状況ではないのですよね。ただしスタッフがそれを覚えているかどうかは、客としては知る由もないのです。

 ああ!たしかにそうですね。お客様の不安を取り除く言葉としては不親切ですね。

このケース、客が率先して

「私は本日18時に予約した古美門です、18時1分に到着し、受付にいたスタッフに名前と予約時間は申し出ております。その際ここに座って待つように言われました、もしそのスタッフが私の到着が認識出来ているなら、いま順番待ちの状態です、ところが、次から次へと後から来た他のお客さんを誘導し、一向に対応されません、どうも忘れられているようなのです。なのであなたの質問の『お伺いしてますか』の答えはイエスですが、お伺い内容が叶えられたかはご覧の通りノーなんです。要件は伺ってもらったが、対応はされていないってことです。一体キミは私をいつまで待たせるのだ?」

ってまるでドラマ「リーガルハイ」の古美門弁護士のように演説しながら、状況を細かく説明するって大多数の客には現実的ではないと思うんですよね。

ははは(笑)。……いやいや、笑ってしまって申し訳ないですがまさにおっしゃる通り。

こんなこと書いてるわたしですら「お伺いしておりますか?」と聞かれ「はい」で終了したことが何度もあります。
これエラーの原因はせっかくスタッフが気を利かせてフェイルセーフ行動を取ったのに、質問の投げかけが不適切ゆえ、客が「はい」と答えるので、「あの客は対応済み」と認識されフェイルセーフが機能せずにエラーチェーンが切れていないのです。

 状況、すごく伝わってきました。適切な質問の投げかけ方についてお答えする前に、店側の事情をお話しさせてください。

レストランの事情

「お伺いしてますか?」がその聞き方なのは、同じことをお客様に繰り返させたくないという思いがあります。たとえば、ご予約名を伺っているのに別のスタッフが再度伺うのは「さっき伝えたじゃないの」と不快な思いをさせてしまうかもしれません。

ただ、おっしゃる通り、それを聞くだけではやはり不十分ですよね。だから、僕がいたレストランでは「お伺いしてますか?」を尋ねたスタッフは、その後に「誰が伺ったのか」を死ぬ気で探しました。これは文字通り「死ぬ気」でして、自分の作業をすべて止めて、一人ひとりに確認していました。

おそらく、そういう対応をする習慣が店にあるかどうかが、エラーチェーンを切れる店とそうでない店の差だと思います。

レストラン1軒につき一人黒ワインさまを配置して欲しいわ

 そういう動きが見えない店、つまり「お伺いしてますか?」のあとにちょっとしたバタバタ感が見えない店や、そもそもスタッフが声もかけてこない、前すら通らない店は、危険信号かもしれません。その場合は意を決して「もう一度最初から」をするしかないと思います。

ちなみに「お伺いしてますか?」以外の聞き方でなければどう質問したらいいのか、せっかくいただいたお話ですので考えてみます。

……僕なら長らく待っているお客様だと認識したときには「既にお伺いしておりましたら申し訳ございませんが、ご予約のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」と聞いて、その場でテーブルへの案内まで自分で対応してしまうかなと思います。再度伺う失礼さと、案内されないままになってしまうリスクを天秤にかけてよりマイナスが小さい方を選びます。

 いやほんと、レストランを訪れて最初の対応で予約してるのに案内もされず放置されると、ファーストインプレッションが最悪になってそのあとの流れを台無しにするので、放置されない客になるのも客力の一種だと思いました。次回からはソファに座って待ったりせずに、案内して欲しいオーラを出すことにします。



まとめ


レストラン利用編はいかがでしたか?

今回は正しいキャンセルの仕方や、ドタキャン挽回方法、当日の人数増減を店はどう思ってるか、開店前の早着は店にとって超迷惑とか、 遅刻しそうなら到着予定時刻をすぐ連絡とか、SUZUがレストラン利用の際にずっと聞いてみたかったことを黒ワインさまに質問出来たので、とても勉強になりました。

客力って自主トレしてても上がりませんから、黒ワインさまはわたしのパーソナルトレーナーのようですね。

今回も黒ワインさまにはお時間を割いて数々の疑問の答えをいただけたこと感謝申し上げます。


で、みなさまに良いお知らせ。

まだまだたくさん続きの質問があるので、それは12月にアップしますね。

  • 案内された席が気に入らなかったら?

  • 席変えて欲しいって言って良いものか?

  • 正しいオーダーの仕方

  • 食前酒って頼まないといけないの?

  • 終わり時間のコントロール

  • シェアってやっていいの?

  • 必殺ポーション減らし

などなど、SUZUが日頃からレストラン利用の時にやっていいのか、いかんのか疑問に思ってるあれこれを黒ワインさまに遠慮なくぶつけておりますので、その回答を是非楽しみに待っててください。

 

次回作までこちらの記事を読んで、客力を磨く理由などおさらいしておいてくださいね。

  

それでは来月お会いしましょう!

いつもサポートありがとうございます。いただいたサポートは執筆に必要な取材費用として使用致します。