〈無料〉【GoToトラベル祭り】 ホテルのチェックインで数時間待たされ問題を考える
10月に東京がGoToトラベル解禁になってから、地方とは違った人の動きがあるようで、都内の有名ホテルなどでは週末になる度、数時間のチェックイン待ちが起こっている模様。(オークラ、マリオット、インターコンチネンタル等)
わたしは混んでる場所で並ぶとか何よりも嫌いなので、週末に有名ホテルには近寄らないのが一番の回避策とおもい、ステイホームしておりますが、土日しか動けない客の方が多いので、この「チェックイン数時間待ち祭り」に巻き込まれている人たちはかなり居そうです。
さすがに感染症対策しながらの旅ですから、換気もあやしいホテルのフロント前に数時間密な状態で並んで待つ、みたいな状況は避けたいと思う人は多いですよね。ってことでホテルの使い方については、皆様よりちょっとだけわかってるSUZUが長時間行列回避策を考えて、お役に立とうではないかってのが今回の記事のテーマなのですが。
記事をはじめるその前に、文章を最後まで読むのが面倒な人向けの「SUZUがかんがえたさいきょうのチェックイン行列回避策」を先に書いておきますね
字面で読むとアホらしくて拍子抜けしますけど、最善の回避策なんて、地味でつまらないものなのです。
感染症対策が「手を石鹸でよく洗え〜」でずっこけた人多かったでしょ。あれと同じです。
で、本当の回避策ですが、今回の特殊な事象のバックグラウンドを知る必要があります。なので今より少し賢くなりたい人はここから先を読むと、GoToのせいで一体何が起こってるのかよくわかって、自分は客としてどうすれば良いのか答えに辿り着けます。
お盆時期からあったチェックイン数時間待ち
実はGoTo第一派が押し寄せた「お盆」時期には、ホテルでのチェックイン数時間待ち事象、GoTo除外になった東京以外の地方有名ホテルでも出現しておりました。
8月20日のTwitter
まず最初の疑問ですが
なぜそんなにチェックインに時間がかかるのか?
部屋に入れてもらえるまでに4時間も5時間も待たされるなんて普通じゃないですよね。
調べてみるとわかってきたのは、まずホテル側の事情です。
ホテルは今回のCovid-19対応で休業していたところも多く、緊急事態宣言の解除後に再オープンさせたものの、客足もまったく戻らず、これではやっていけないレベルの経営難な状態に陥ったため、従業員や掃除担当スタッフを雇い止めやリストラで極限まで減らしてしまったホテルが多かったようなのです。
そのタイミングで国がGoToトラベルを突如言い出したので、人手不足が極まって現場は最低人数で回すしかなく全く対応しきれない。
そしてこのチェックイン数時間待ち現象が起こるのはホテルのせいだけではありません。物事は多面的な要素が絡み合って起こりますのでね。
客の行動様式の変化
ホテル以外での要因は、客の行動様式が完全にbefore Covid-19の世界とは変わってしまったことにあります。
いままでは観光した後にチェックインするなどで、われわれ客がホテルに行く時間ってうまいこと分散されていました。
ホテルのチェックイン受付開始時間って、大体15時と設定されてるところが多いのですが、1日の中で15時のような中途半端な時間に行く客はそんなに多くいません。
例えば観光なら午前中に行き、荷物だけホテルにドロップして観光に出かけ、夕飯まで済ませて夜遅くチェックインするとか。
ビジネス利用なら仕事が終わってから夕方にチェックインするとか。
客にとってホテル滞在はホテル自体が目的ではなく、滞在の目的が他にあって、ホテルはその地域での寝る場所の確保の役割で利用することが多かったと思います。
これがbefore Covid-19の世界の多くの客のスタンダードでした。
もちろん例外的にわたしのようなホテルフリークは「そのホテルに泊まりたいから、その土地には用はないけど飛行機乗ってまで行く」ってやってましたけど、こういうホテルに滞在するためにホテルに行く泊まり方する客の割合は多くなかったのがbefore Covid-19の世界。
そしてもう一つは宿泊日数の変化です。
with Covid-19の世界では旅をするイメージが悪いこともあって(感染を広げる等)週末1泊でさくっと近場で済ませるスタイルを選ぶ客が多くなったということ。
多くの客が3〜4泊すれば、チェックインチェックアウトの回数もその分減りますが、大多数が1泊で帰る場合は毎日チェックインチェックアウトの作業が部屋数分必要になります。
あたらしいホテル滞在
with Covid-19の世界では気楽にうろうろ外出するのも憚られる。そもそも観光地の施設は閉まってるのでいく場所がない。といった特殊状況ですので、その中で消去法的に出てきたのが週末1泊で近場ホテルステイを目的にした旅。都民が都内に泊まるイメージです。
こういったマイクロ&ナノツーリズムと呼ばれる新たな旅では
「どこにもいけないし、じゃあ近場のホテルで楽しむか〜」
みたいなホテルの使い方を多くの客がするようになりました。
それで何が起こったかと言うと、15時のチェックイン開始時間から帰る日の12時のチェックアウトまで目一杯部屋にいる客の割合がめちゃくちゃ増えたのです。1泊しかしないのでホテルを使い倒したい新たな需要です。
いままではチェックアウトの時間もばらけており、早朝に出発する客、朝食を済ませたら出かける客、部屋でゆっくりする客。滞在の仕方に多様性があったおかげで、部屋の掃除を開始できる時間もうまいこと分散していたわけです。
しかし、部屋籠り型の滞在スタイルになると誰も朝チェックアウトしません。目一杯ホテルで楽しむのが目的ですから、チェックインしてからチェックアウトするまで、とにかくホテルの施設を使い倒して、部屋が明け渡されるのはギリギリチェックアウト時間です。
部屋の稼働率が低い場合は、この状況もなんとか空き部屋でイレギュラーを吸収できますが、客が集中する時期には慢性的に部屋の清掃が間に合わなくなり、やってきた新たな客に渡せる部屋が枯渇した結果、掃除が終わってないので入れる部屋がない状況での「4〜5時間待ち」事象が出現したわけです。
この状況ですから通常の部屋の清掃に加え、感染症対策のための消毒作業みたいな面倒な手順も付け足され、そうでなくても人手不足なところに作業工程が増えてしまい「提供できる客室の完成に以前よりも時間がかかる」状態が恒常的に続いているのも客に部屋をスムーズに渡すことが出来ない状況に追い討ちをかけています。
これで8月のお盆や、9月4連休の時期は「みんなが一斉にお休みを取る」という日本の古式ゆかしい伝統が重なり、ホテルのオペレーションは完全にパンクしたところも多かったようで、お休みあとのネットの口コミには「チェックイン待たされた」「夕方行ったら部屋に入れたのは夜だった」などなどネガティブなコメントが散見され、どこのホテルも多かれ少なかれ「チェックイン数時間待たされ事案」は発生したようです。
ホテルのオペレーションにトドメを刺した地域共通クーポン
そんな流れの中で、10月1日より東京のGoTo参加と共に開始された「GoTo地域共通クーポン」がこの人手不足のホテルにとどめを刺した模様。
この地域共通クーポンってのは配布方法が電子と紙の二種類あって、客が好きな方を選べるわけではありません。
予約サイトの方針を客が受け入れるしかなく、有名どころで言うと楽天は紙クーポンで配布、YAHOOだと電子クーポンみたいになっています。
電子クーポンに関しては客側の我々がスマホを使い受け取り操作をすればいいのでホテルのチェックイン時にホテルのスタッフが何もすることはありません。
しかしこの地域共通クーポンが紙配布の場合には、ホテルのフロントでチェックイン時、チェックインの作業とは別に「紙クーポンの発行と渡し」をやって貰わないとならない状況に陥ってるんですね。この地域共通クーポンの受け渡し作業がおそろしく時間と手間がかかるのです。
感染症下のチェックインフロー
チェックインっていま確認することが多くてとにかく通常時より時間がかかります。イメージしやすいように感染症対策強化中のチェックインのフローは大体こんな感じっていうのを書いてみます。
そして、地域共通クーポンが紙の場合はこの一連の作業のあとにクーポン発行作業がやっとはじまるのです。
地域共通クーポンの受け渡しフロー
クーポンを受け取るフローはこうです。
ステイナビで客が自分で登録した場合を例にしますが
15%が目一杯だと1枚1000円のクーポンなので2名宿泊でクーポンは12枚になりますが、この12枚に有効期限の日にちのハンコを押すという超絶アナログ作業が必要です。
有効期限はそれぞれの客のチェックアウト日までなので、渡す人の予約をみてチェックアウト日を確認してから有効期限のハンコ押すという。
書くのも面倒な作業がまだ続きます。
で、ただ渡せばいいのではなくフロントのスタッフはどの客にどのクーポンを渡したかを管理する必要があるので、クーポン裏面のQRコードを読み取る作業も必要です。
これだけ面倒な作業を前述した7項目にプラスするため、客ひとりのチェックインに10分ちかくかかってしまってます。
感染症対策のせいで増えるチェックイン時の確認作業
そして先に書いた7項目についてもさらっと終われるわけないんですね。
とくに項目番号7の館内説明。
これなんかも、いまみんなホテル籠り滞在なので、館内施設を使いたい人が多いですから、ここで利用予約という別の作業が発生したりします。
ホテルによってはプールや大浴場の利用を制限して時間予約制なんかにしてるので、このチェックイン作業のなかで初めて「予約制」と知らされた客が自分の滞在予定を照らし合わせて、斜め上の宙空をみながら何時に大浴場にいこうか、夕飯の時間から考え始めるわけです。
一人客の場合はその人ひとりの予定になるので、その客の心の中の一人会議ですからまだ結論が出るのが早いのですが、家族連れはそうはいきません。
一緒に来てる家族におーいとか声をかけて、フロントに呼んであーでもないこーでもないとそこから「ご家族相談会」が始まるのです。
Oh God…
わたしは並んでる方の客なのでこの光景をみてるだけですが、これはもうなんていうか自分がホテルのスタッフだったら耐えられない、この非効率すぎるオペレーションの悪さに耐えられない。
せめて事前にプールや大浴場の予約ができるようにしていれば、その分の時間が短縮できるのに…いますぐ大浴場予約アプリを作ってすぐ運用しろ!とか腹が立つよりも、あきれ返るわけです。こんなこと毎日やってんのか?と。
チェックイン待ち時間を計算してみる
ここでチェックインに要する時間をざっくり計算してみます。
先週末にチェックインに数時間(4〜5時間)かかったとTwitterで話題になってたホテルですが、ここを例に取ります。
この某ホテルの客室数は250室ほど
このうちの150室が土曜日にチェックインすると仮定します(連泊の人もいる仮定)、1室のチェックイン作業にかかる時間を短めの客は5分、クーポン発行と質問する客の場合8分と見積もります。
全員が同じ行動なわけないので最短でチェックインできる客の部屋を100室、チェックインに時間がかかる客の部屋を50室に設定します。
100室×5分=500分
50室×8分=400分
150室で900分
900分は時間に直すと15時間です。
某ホテルのチェックイン端末は3台ですので同時に3室分捌けるとして
15時間÷3台=5時間
全員が一斉に15時にやってきて並び始めたとして、終わるのは5時間後ってことで、この計算式でみると、ネットに流れていた「チェックインに4〜5時間かかってる」という話は誇張や大袈裟に言ってるのではないみたいですね。
チェックイン作業の煩雑さと部屋清掃が間に合わないコンボ
要するに、大規模ホテルや有名ホテルで10月以降発生している毎週末のチェックイン数時間行列に関しては、8月や9月連休の「部屋の掃除や消毒が間に合わない」現象にプラスし、紙の地域共通クーポン配布作業が重くのしかかったせいであり、共通クーポンの紙での配布が中止にでもならない限り、ひとりひとりのチェックイン時間を短縮することは不可能でしょう。
小さな工夫をコツコツ積み上げることである程度チェックイン作業を効率化することは出来そうですが、いまのカッツカツの現場にそんなことを検討してる時間が一切ないのでしょうね。
限定的な混雑に対応するコスト
ホテルのスタッフも毎日のことなので、こんな無駄なやりとり効率化したほうがいいってことはわたしが思うよりも強く思ってると思います。
しかし、結論から言うとこのGoToに絡んだ諸々の不便に対し、ホテル側が何かアクションして改善されることは無いです。(きっぱり)
なぜならいまのこれはめちゃくちゃ限定的な事象であり、未来永劫続くわけでもなく、ここで蔑ろにした客がまた来る大事な客だとか思ってないのでしょう。
クーポンやらディスカウントで寄ってきた客が、そのまま継続的な客にはならないっていうデータがきっちり出てるほどですので、未来につながらない客の満足度をあげるためにコストを使う(たとえば人件費をかけスタッフの増員等をする)のは見合わないと考えるのは当然といえば当然。
なので文句を言ったりするのはお互いに無駄な時間を浪費して客側も損をするのでやめておくのが賢明です。
ホテルからのメッセージを受け止めよう
10月1日に地域共通クーポンが始まって三度目の週末も無策なまま突入し、チェックイン数時間待ちで行列を発生させてる時点で、客は気付かねばなりません。ホテルには抜本的に何かを改善する気が無いとみて間違い無いのだと。
これはホテルからの明確なメッセージです。
ってことです。
ホテルが発信するメッセージはしっかり受け止め、35%オフどころか感染症対策を言い訳に、やらねばならぬことまで切り詰めすぎて、before Covid-19時代の80%減くらいでやるつもりなんだな、ディスカウントとはいっても後で国からお金入ってくるわけだし、リアルディスカウントしてるわけではないのに調子乗ってるねぇ…くらいな大らかな気持ちでないと、いまはホテルに泊まりに行ってはいけないようです。
客ができる回避策はあるのか?
冒頭で書いた通り、週末に集中するGoTo所以の「チェックインに異常な時間がかかる事象」の回避策は週末はステイホームくらいしかありません。
あとは土曜日チェックインでは15時(チェックイン受付開始時間)にホテルに行かないのも今の状況だと有効な手段ですね。ただずらし時間の計算を誤ると数時間待ちには巻き込まれます。
ですのでさっき出した単純計算の方法を使って、自分がいくホテルの客室数とひとりにかかるチェックイン時間を割り出し、フロントの処理能力(チェックインできる端末が何台あるかを確認)で割りまして、最高待ち時間を算出しましょう。
さっきの某ホテルなら15時チェックイン開始で全員がその時間にやってきたとして、チェックインが終了するのは最短で20時です。
なので21時に行けば比較的待たずにチェックインできるのでは?みたいな知恵が必要ですね。
中途半端に時間を外すのが一番最悪です。この場合18時とかに行ってにっちもさっちもいかなくなるよりも、完全回避をねらって食事を済ませて21時着のほうがストレスは軽減され、密も避けられるかな?みたいに考えた方が良さそう。
裏技はあるのか? VIPの場合
リアル上顧客はそもそもフロントで並んでチェックインとかしないのと、ホテルの一番偉い人が予約入ってるのを見つけてDMで連絡してくるとかなので、そこまでなるまでホテルに課金しているのならばバックドア使えるようになると思います。
こんな時期ですので自分がVIPって思ってる場合は、予約を見つけてもらって向こうから連絡してくるのを待つなどの「ホテルを試すようなこと」はせず、たくさん手元にあるであろう名刺の そこそこ偉い人 に相談のメールを送ってみるとかも有効かもしれません。
ここで気をつけたいのは「俺様VIPだぜ、チェックイン優先しろよ」とか言わないようにすること。
相談の仕方に気をつけて「チェックイン混んでるみたいだけど何時ごろ行ったら迷惑にならないかしら?」などホテルのスタッフを思いやる心を持ちましょう。
ホテルにとって大事な客認定されてるなら、相談の仕方によっては何かしらの「方法」が提示されるでしょう。
ひとつ注意したいのは、VIPでもないひとが配慮をしろと圧迫をかけることです。ホテルによってはバラマキステータスがあるので勘違いしちゃう人がたまに出てきますが、バラマキはバラマキであり全然VIPではないので、くれぐれもいま忙しいホテルのスタッフの手を煩わせないように気をつけてください。時々勘違いしてるひとが出るので念のため。
裏技はあるのか? 一般人の場合
多くは丸腰の一般人です。
一般人の場合の回避策ですが、チェックインタイムが普通と違うプランを探して臨時課金をしましょう。
「ワーケションプランの予約で午前中にチェックイン」
いまだと朝9時からチェックインできる「ワーケーションプラン」を用意してるホテルもあります。このワーケーションプランであれば15時チェックインを回避できるので、大事な土曜日に5時間待ちたくない場合の課金としては割りが合うのではないでしょうか?
「前の日から2泊分予約する」
ワーケーションプランがないホテルでは、土日泊まりたい場合に金曜から予約するってのも手です。それこそGoToで相当な割引がされていますので、通常時の1泊の値段で2泊できるみたいに考えて金曜から予約してみるのも工夫のひとつですね。金曜から行かれない場合でも土曜の到着時間を言っておけば金曜日からの宿泊費を払ってる訳なので、土曜の早い時間にチェックインが可能です。
前日から予約した場合の、こんなアイデアも寄せていただきました。
予約は金曜日から2泊にしておいて、金曜夜にパパかママどちらかが仕事終わりにホテルに行ってチェックインだけ済ませて帰宅。
土曜は家族みんなでホテルに行けば、家族で何時間も待つ必要ありません。こうやって知恵とGoToを上手く使えば快適な滞在にすることは可能です。
「クレジットカード経由のベネフィット付きプランの予約」
他にはクレジットカード付帯のベネフィットでクレカ経由で予約すると色々なおまけがついてきて、アーリーチェックインが確約されていたりする時がありますので、自分の持ってるカードが使えないか確認するのも良いでしょう。
ってここでクレカの勧誘をやったら様式美として何か変なものが完成しそうですが、わたしあれ系ブログがめちゃくちゃ嫌いで、読まされたら後味が悪いなとおもっちゃうんですわ。
ってことで
わたしが誘導するのは、ホテルステイでの便利な旅の知恵を詰めあわせたマガジンです。多くの記事は無料で読めます。
知恵を使って工夫をして賢く楽しい旅にしてください。
皆さまの次の旅が安全でハッピーな体験になりますように。
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