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書記が法学やるだけ#37 契約以外の債権発生原因

問題


解説

(1)誤り義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は,その事務の性質に従い,最も本人の利益に適合する方法によって,その事務の管理(事務管理)をしなければならない(697条)。そして,管理者は,本人のために有益な費用を支出したときは,本人に対し,その償還を請求することができる(702条)。

(2)正しい法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け,そのために他人に損失を及ぼした者(不当利得の受益者)は,その利益の存する限度において,これを返還する義務を負う(703条)。判例(最判平7.9.19)によると,右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは,丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて,丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られる。

(3)正しい故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う(不法行為,709条)。未成年者は,他人に損害を加えた場合において,自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは,その行為について賠償の責任を負わない(712条)。

(4)誤り土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは,その工作物の占有者(B)は,被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし,占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,所有者(A)がその損害を賠償しなければならない(717条)。

(5)誤り被害者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の額を定めることができる(過失相殺,722条)。判例(最大判昭39.6.24) によると,被害者たる未成年者の過失を斟酌する場合においても,未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り,未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく,行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である。

(6)正しい不法行為による損害賠償の請求権は,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときや,不法行為の時から二十年間行使しないときは,時効によって消滅する(724条)。


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