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書記が法学やるだけ#26 無効と取消し,条件と期限,時効

問題


解説

(1)誤り無効とは,始めから全く効果が生じない場合である(119条)。一方で,取消しとは,一旦効力が生じた行為を始めから無効であるとみなす行為である(121条)。取消権者について,行為能力の制限によって取り消すことができる行為は,制限行為能力者又はその代理人,承継人若しくは同意をすることができる者に限り,錯誤・詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は,瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限る(120条)。

(2)正しい:取り消すことができる行為は,取消権者が追認したときは,以後,取り消すことができない(122条)。取り消すことができる行為の追認は,取消しの原因となっていた状況が消滅し,かつ,取消権を有することを知った後にしなければ,その効力を生じない(124条)。取消権は,追認をすることができる時から五年間行使しないとき又は行為の時から二十年を経過したときは,時効によって消滅する(126条)。

(3)正しい条件とは,契約の効力を,発生するかどうか不確実な事実にかからせる特約のことをいう。停止条件付法律行為は停止条件が成就した時からその効力を生じ解除条件付法律行為は解除条件が成就した時からその効力を失う。当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは,その意思に従う(127条)。一方,期限とは,契約の効力を,発生するかどうか確実な事実にかからせる特約のことをいう。

(4)誤り時効とは,長い間続いた事実状態に法律関係を合わせるための制度である。時効は,当事者消滅時効にあっては,保証人,物上保証人,第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ,裁判所がこれによって裁判をすることができない(145条)。時効の援用権者に当たるかどうかは判例による。

(5)正しい所有権の取得時効の要件は,所有の意思をもって,平穏にかつ公然と,他人の物を占有し,時効期間を経過したことである(162条)。ここで,時効期間は,善意無過失であれば10年,それ以外は20年である。善意悪意・過失の有無は占有開始時で判断し,本問題では「Bは善意無過失で5年間」「Aは善意無過失で6年間」占有したことになり,Aが占有の状態を承継するとAは善意無過失で11年間占有することになるため,時効取得はできる。

(6)誤り消滅時効について,債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき,又は権利を行使することができる時から十年間行使しないときに,効力は消滅する(166条)。


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