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書記が数学やるだけ#58 ユニタリー行列,対角化による行列のn乗

今回は,複素行列と行列のn乗について扱う。前回扱った,固有値と固有ベクトルの知識が前提として必要である。


問題

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説明

成分に複素数を含む複素行列について,複素ベクトルと同様に共役をとるところに注意。

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全ての行列が対角化できるとは限らない。代わりに,それに近い形に変換することはできる。例として,3角化や,ジョルダン標準形(後日扱う)がある。

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以前にケーリーハミルトンの定理を用いて行列のn乗を求めたことがあるがそれは特別なケースであった,対角化による行列のn乗はより一般的なものである。中身のPが消えて,両端だけが残るのがポイント。

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解法

一応最初に,ユニタリー行列で対角化可能であることを示しておく。

固有方程式を求めると,1の3乗根が固有値となる。

数学やるだけ解答#058_page-0001


各固有値について固有ベクトルを求め,対角化をする。この辺の手順は,前回実行列でやったのと同じである。

数学やるだけ解答#058_page-0002


行列のn乗について。まずは対角化する。

数学やるだけ解答#058_page-0003


両辺をn乗して,整理するとA^nが求められる。最後はひたすら計算。

数学やるだけ解答#058_page-0004


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