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書記が法学やるだけ#28 占有権,所有権,用益物権

問題


解説

(1)正しい占有権とは,物に対する事実上の支配(占有)そのものを法律要件として生ずる物権である。占有者が占有物について行使する権利は,適法に有するものと推定する(188条)。善意の占有者とは,本権がないにも関わらずこれがあるものと誤信してする占有であり,占有物から生ずる果実を取得できる損害賠償は現存利益のみとする。一方で,悪意の占有者とは,本権がないことを知りながらする占有であり,占有物から生ずる果実を取得できない損害賠償は全部とする。

(2)正しい占有の訴えには,占有保持の訴え・占有保全の訴え・占有回収の訴えがある。このうち占有回収の訴えでは,物の返還および損害の賠償を行うことができる(200条)。

(3)正しい:相隣関係について。土地の所有者は,隣地の竹木のが境界線を越えるときは,原則として,その竹木の所有者にその枝を切除させることができる。一方で,隣地の竹木のが境界線を越えるときは,自らその根を切り取ることができる(233条)。

(4)誤り:各共有者は,共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることができる。共有物の保存は各共有者が単独ででき,管理は各共有者の持分の価格の過半数で決定,変更は共有者全員の同意が必要である(251,252条)。

(5)誤り共有分割の方法には現物分割代金分割価格賠償があるほか,全面的価格賠償も許される(最判平8.10.31)。

(6)誤り用益物権には,地上権・永小作権・地役権がある。地役権者の物権的請求権について,妨害排除請求及び妨害予防請求はできるが,甲土地(承役地)上の丙建物の収去請求や甲土地の明渡請求はできない。


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