書記が数学やるだけ#46 ユークリッドの互除法と連分数の図解-2
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前回ユークリッドの互除法と連分数の図解について解説したので,今回はその応用として東大の問題を扱うことにする。前回の内容がわかっていれば,あとはそれを論証するのみの問題。
問題
数列なのは見かけだけで,本質はユークリッドの互除法と連分数展開,だと気づけるとスマートに解ける。連分数の性質に深く切り込んだ良問だと思う(今後他大学でもこの手の論証は出てくるのでは?)。小数部分〈〉というのがあまり見慣れないと思うが,いわゆるガウス記号とやることは同じと思ってよい。
解法
(1)は単に計算するだけ,ここで繰り返しが見られることに注目。
というのも,ここでの計算は連分数展開に対応している。ルート2の連分数展開における小数部分を数列として表している。
数列の値がずっと同じ,ここから条件が絞り込める。aは1/3以上で,小数部分であることから範囲がわかる。
常套手段である場合分けにより,それぞれの値を求める。
解答の途中だが,ここで一旦a=(√5 -1)/2について解説。これは黄金数の連分数展開で出てくる小数部分である。
さてaの値はもう一つある,これは(1)で出てきた値と同じである。
(2)について,aが1/3以上という制約がなかったら,aは無数にある。これは連分数の中でも非常に美しいものである。
さて話は変わってaは有理数。連分数とユークリッドの互除法との対応に気付きたいところ。
ユークリッドの互除法というのは有理数の連分数展開に相当し,操作は有限回で終わる。
逆にいうと,無理数の連分数は途中で切れることなく無限に続くということが言える。
連分数を知っていると見通しの良くなる大学入試問題は,探せば案外あると思う。また,連分数は実数の近似に用いられることもある(詳しくはディオファントス近似など参照)。知っておいて損はない。
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