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書記が物理やるだけ#342 結晶結合

結晶結合について,いくつか確認しておく。


問題

大学入試でよく出る近接イオンの個数を数える問題は,マーデルング定数の計算で必要になる。


説明

結晶の結合について,以下のような分類がある。


共有結合は,原子間での電子対の共有をともなう化学結合であり,量子化学で扱ってきた:



イオン結合は,陽イオンと陰イオンの間のクーロン力による化学結合であり,金属元素(主に陽イオン)と非金属元素(主に陰イオン)との間で形成されることが多い。イオン結晶の結合エネルギーのうち,イオン間の静電相互作用によるエネルギーをマーデルング・エネルギーという。


金属結合では,規則正しく配列した陽イオンの間を自由電子が自由に動き回り,
これらの間に働くクーロン力で結び付けられている。


ファンデルワールス力の起源は,配向力(双極子と双極子の相互作用),誘起力(双極子とそれによる誘起双極子との相互作用),分散力(誘起双極子と誘起双極子との相互作用)からなる。


解答

貴ガス結晶について,レナード-ジョーンズポテンシャルが最小となる原子間距離を求めると,体心立方格子よりも面心立方格子の方がポテンシャルが低くなるため,体心立方格子よりも面心立方格子を取りやすいと言える。


マーデルング定数を求めるには,1個のイオンに対するクーロンポテンシャルを求め,定数を引き出す。


第n近接イオンをn=4まで求めておく。


第4近接イオンが6個であることは,横に結晶を並べた際に単位立方ごとに1つあるのが6面あることから言える。


このことからマーデルング定数が計算できる,しかしこの値は収束しないことが知られており,実際の計算では工夫を要する。


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