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書記が経済やるだけ#22 短期・閉鎖モデルにおけるIS-LM分析

マクロ経済学の重要なモデルであるIS-LMについて。


問題


説明

短期モデルでは,物価水準・資本水準が固定されており,財市場と貨幣市場の統合によりGDP水準と利子率が決定される。また,閉鎖モデルでは国際貿易を無視する。


財市場の均衡からIS曲線が,貨幣市場の均衡からLM曲線が導出でき,その同時均衡によりGDPと利子率が決定される。ここで,短期モデルでは物価水準が変化しないため,実質金利と名目金利が一致する。


解答

消費関数と設備投資をGDPに代入することで,IS曲線が導出できる。実質金利が低下すると,設備投資が上昇し,乗数効果より総所得が上昇するため,IS曲線は右下がりとなる。


実質貨幣残高について生産と名目金利との関係式で表され,これが名目貨幣供給と一致するGDPがLM曲線である。総所得が上昇すると,貨幣の超過需要となり,名目金利が上昇するため,LM曲線は右上がりとなる。


財政支出が増加すると,利子率の上昇GDPの増加により,IS曲線が右シフトする。


一方で,貨幣供給が増加すると,利子率の低下GDPの増加により,LM曲線が右シフトする。


流動性の罠(iquidity trap)とは,景気刺激策として金融政策が行われる時,利子率が著しく低下している条件の下では,それ以上マネーサプライを増やしてももはや投資を増やす効果が得られないことをいう。これは,LM曲線が水平(利子弾力性が無限大)に限りなく近いことから説明ができる。なお,2001年から2006年まで日本で実施されたゼロ金利政策量的緩和政策にて,流動性の罠が生じていたという見方もある。


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