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書記の読書記録#1028『俘虜記』

大岡 昇平『俘虜記』のレビュー


レビュー

「戦争文学」とはいうものの、通常の戦争文学(戦場文学)とは異なる。
1.「米兵を何故撃たなかったか」という命題を明晰な文体で省察した点。
2.収容所という「社会」を悲痛に、ユーモラスに描いた点。特に、人間のエゴや堕落を洞察し、細かく分析して描写した点。

敗北がもたらす堕落を端的に示した作品で,まさに戦後文学を代表するものと言える。これぞ去勢だなと。後半になるにつれてユーモアが増して弛緩していくにつれ,前半の不殺のテーマが張り詰めるといった構成を感じた。


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