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書記が法学やるだけ#40 憲法の概要,国会

今回から行政書士試験に出てくる憲法について扱う。


問題


解説

(1)誤り日本国憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない(憲法98条)。なお,条約と憲法の優劣について,明確な判例はない。

(2)正しい天皇は,国会の指名に基いて,内閣総理大臣を任命する。また,天皇は,内閣の指名に基いて,最高裁判所の長たる裁判官を任命する(6条)。さらに,天皇は,内閣の助言と承認により,国民のために,国事に関する行為を行う(7条)。

(3)誤り国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関である(41条)。国会は,衆議院及び参議院の両議院でこれを構成し(42条),両議院は,全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する(43条)。なお,大日本帝国憲法では天皇主権であり,必ずしも国会が全国民を代表するとは言えない。

(4)正しい法律案は,この憲法に特別の定のある場合を除いては,両議院で可決したとき法律となる。衆議院で可決し,参議院で否決あるいは60日以内に議決しない法律案は,衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる(59条)。一方で予算案は,衆議院で可決し,参議院で否決あるいは30日以内に議決しない予算案は,両院協議会を経て,衆議院の議決を国会の議決とする(60条)。

(5)誤り:国会の常会は,毎年一回これを召集する(52条)。また,内閣は,国会の臨時会の召集を決定することができるが,いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば,内閣は,その召集を決定しなければならない。衆議院が解散されたときは,解散の日から四十日以内衆議院議員の総選挙を行い,その選挙の日から三十日以内に,国会を召集しなければならない(特別会,54条1項)。衆議院が解散されたときは,参議院は同時に閉会となるが,内閣は,国に緊急の必要があるときは,参議院の緊急集会を求めることができる(54条2項)。

(6)正しい:両議院の議員は,法律の定める場合を除いては,国会の会期中逮捕されず,会期前に逮捕された議員は,その議院の要求があれば,会期中これを釈放しなければならない(不逮捕特権,50条)。各議院の議員は,院外における現行犯罪の場合を除いては,会期中その院の許諾がなければ逮捕されない(国会法33条)。

(7)誤り:議院の自律権には,議員の資格争訟裁判(55条)・役員の選任(58条1項)・議院の懲罰(58条2項)・議院規則の制定(58条2項)が含まれ,これとは別に国政調査権を有する(62条)。


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