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2X2コモンカードPauper評価

バルダーズ・ゲートの戦いの発売からまだ1週間ですが、今週末にダブルマスターズ2(2X2)の全カード公開がありました。
再録セットということで殆どの人間にはレア・神話レアにどんな高額カードが収録されるかという点に注目が集まっていましたが、我々コモン構築のプレイヤーにはどんなカードがダウンシフト(コモン落ち)したかが重要。
今回はなんと29種類(2X2のコモンが全90種なのでほぼ3分の1)ものカードが新しくパウパーのカードプールに加わることになりましたので、個人的な注目度をランキングにしてレビューしていきます。

29位~21位

《海賊の略奪》

カード自体の性能はコストに見合っていそうですが、如何せん上位互換である《大勝ち》がニューカペナの街角(SNC)で収録されています。
5枚目以降が必要になるものでもないので最下位です。

《パーフォロスの使者》

威迫があろうが殆ど《丘巨人》。
授与もコストが重すぎるのでインクの染みです。

《牙守りの隊長》

同様のトランプル付与能力は《ナーリッドの群棲》や《薄暮殻の這うもの》など既にコモンにあります。
これは3マナと重い割に《稲妻》圏内のためもろく、それぞれのトランプル付与以外の能力の部分を比較しても長久というおおよそ構築に向かない性能のため敢えてこれを使う理由なし。

《生ける稲妻》

同じ効果を同じコストかつETB能力で実現している《献身的な精霊術士》が既に存在しています。
狙ったタイミングで回収し辛い、バウンスや追放に弱いというデメリットがありながらサイズが3/2になった程度では全く割に合いません。
ここまで重いと能力のために積極的に墓地に落とすこともテンポ損が大きく躊躇われますので採用する理由が見つかりません。

《饗宴への召集》

絆魂を持っているとはいえ4マナで1/1クリーチャーが3体では如何にも寂しい。
《護衛の誓約》などの全体強化と併せれば大きなライフ回復が狙えそうですが、同じ4マナなら《金切るときの声》のほうから採用を検討するでしょう。

《リーヴの空騎士》

留置の効果が1ターンタップするのとさして変わらないことを考えると性能的には《霜のペテン師》と近い気がします。
色拘束と多色であることによる制約の強さも問題ですし、1/1飛行をブロックできないという点もマイナスポイントで構築では厳しそうな印象。

《節くれ背のサイ》

緑であれば強化手段は豊富ですし、1ドローというのも強力ですが、4/4/4を出したうえでそこに呪文を当てるというのは構築のゲームスピードについてこられるか甚だ疑問。
コントロールデッキが単体除去を減らすことを見越して緑白呪禁がサイドから投入する……などというプランが成立するか分かりませんがニッチなカードになるのは間違いなさそう。

《屑肉の刻み獣》

3マナで《稲妻》圏内というのがやや厳しいですが、速攻を持っているので殴るチャンスは十分にありそうです。
黒緑でアグロというデッキが環境に存在しないので現在の居場所という点では微妙ですが、《朽ちたヒル》のようなカードも存在しますので、いつかデッキとして成立することがあるかもしれません。

《光胞子のシャーマン》

色拘束の強さがサイズや能力に反映されているかというと微妙な印象ですが、2マナの基準スタッツがあってETB能力持ちということで能力がマッチするデッキがあれば採用されることもあるかもしれません。

20位~11位

《救援隊長》

4マナと重いものの、出た瞬間に+1/+1カウンターを3個ばら撒くというのは緑の《生育》などを鑑みても3マナソーサリー程度の効果があるのでスペックは良好です。
同じ白の4マナである《金切るときの声》などと比較しても展開と押し込みを両立できるこれは1ターン速く攻勢をかけられますので、純粋な白単アグロにはこちらのほうが向くかもしれません。

《血水の化身》

3マナクリーチャーでありながらETB能力は《神秘の聖域》と同様と1ドロー未満ですが、飛行と果敢により本体のクロックが大きいため純粋アタッカーに便利な能力が追加されていると考えると悪くはなさそうで現代版《小柄な竜装者》という印象。
《秘密を掘り下げる者》の変身をサポートできたりもするので、青赤果敢みたいなデッキが成立するのであれば。

《巣網編みの変わり身》

サイズ、到達、ライフ回復とランプデッキが対アグロに求めるものを全部備えています。
《乗り込み部隊》や《苛立つアルティサウルス》から捲れたらアグロデッキは即投了レベルでしょう。
残念なのがライフ回復には条件が付いている点で、これを満たせないと一気に見劣りしてしまい、安定性という点では類似カードの《暗影の蜘蛛》に及びません。
ドラゴンでもあるのでバルダーズ・ゲートの戦い(CLB)で追加されたドラゴン・シナジーを活かせたら楽しそうです。

《英雄の記録者》

条件付きですがETB能力で1ドローは3マナのクリーチャーとして安定感があります。
これはサイズも優秀で、カラーリング的にも条件を満たすことは難しくないためこの色のアグロデッキが組まれるのであれば採用が検討されるでしょう。
《大霊の盾》のエンチャント先としても良さそうです。

《ジェスカイの長老》

果敢まで含めればサイズは悪くないですし、攻撃が通ったときのルーティングは強力です。
しかし欲を言えば果敢した時に飛行を得るくらいはして欲しかったところ。
タルキール覇王譚の入ったプロツアーで同期の《道の探求者》はジェスカイに採用されたのにこれはされなかったというのはそういうことでしょう。
コモン構築の環境で探求者に雪辱できるか?

《リリアナの精鋭》

コモンの墓地参照系のクリーチャーは出るタイミングでサイズが決まってしまうものが多かったのですが、これはゲームが進むごとにサイズが大きくなるので出せるタイミングで出しておくことが可能なのは使い勝手が良く、かつ3マナと他と比較して軽いのが特徴。
切削からの早出しを狙うより、アグロデッキでゲームが長くなった際の殿としての性能に期待したいですが、競合としては《グルマグのアンコウ》がいるのがネック。
しかし、サイズ的にはこちらのほうが5/5より断然大きなサイズが狙えるので、ポジションを奪う可能性は十分にあります。

《火刃の芸術家》

2/2/2速攻というアグロクリーチャーとして十分な能力があり、マナのかからないサクり台として使えます。
しかし、生け贄に捧げられるタイミングが自分のターンのアップキープと遅いのが微妙で、これ自身と生け贄に捧げたいクリーチャーが揃って相手のターンを越さないといけないというのがハードルが高めです。

《捕らわれの宿主》

同系統で同コストのカードは既にありますが、これは出てくるトークンが優秀です。
スタンダードでも採用実績があり《屍肉喰らい》を採用するタイプのデッキでは選択肢でしょう。

《溶岩コイル》

対クリーチャー用のサイドカードとしてあり得るかもしれないライン。
《炎の斬りつけ》と比較して1マナ重いことに対するメリットが追放だけなのは寂しいですが、テンポよりも追放が重要なメタゲームにならないとも限らないので。

《改良された縫い翼》

追放されない限り何度も蘇るクリーチャーということで《冥界のスピリット》っぽさがあります。
3/4飛行はパウパー環境では十分に制空権を取れるサイズなのでコントロールデッキのフィニッシャーとしては頼りになります。
除去耐性だけでなくインスタントのタイミングで出せることから隙も少なく、パーミッションのようなヘビー・コントロールで採用したい性能ですが、そういったデッキは環境では見かけなくなっているのが残念。

10位~6位

《古きクローサの力》

モダンの感染デッキで採用実績があります。
《地うねり》と併せて1マナ+4/+4修整が2種になり安定性が増し、《巨森の蔦》に加えて今は《蛇皮のヴェール》など守る手段も豊富にありますので、黎明期に《激励》を失って失権した感染デッキが現代パウパーに復活するかも?

《カルテルの貴種》

0マナで起動できるサクり台は常に優秀。
特にこれはサイズが良好で相手の除去から自分を守ることができるので安定感があります。
白黒のサクリファイスというのは今のところ環境にありませんが、どちらもPIG能力が優秀なクリーチャーが多い色でもあるので、今後そういったカードが増える毎にこのカードの評価も高まりそうです。

《吸血鬼の君主》

5マナで重くともサイズの良いブロッカーを展開しながらライフドレインすることが強力なのは《アスフォデルの灰色商人》が示す通り。
これは飛行によりブロック範囲が広く、かつパワー3と飛行により自身の打点も高く一長一短。
大量ドレインによる、戦闘を封じてくるコントロールデッキ相手のフィニッシュ性能はありませんが、一方で信心を稼ぐ必要がない点はデッキ構築時の制約が薄いので、《胆液の水源》と《命取りの論争》のパッケージを採用しパーマネントをアーティファクトに寄せた黒単といったデッキが組めたりしそうです。

《探求者の従者》

コスト2マナの出し得なクリチャーというのはパウパー環境のリアクション(除去や打消し)の基準からして優秀ですし、サイズが小さいほうのパターンでもタフネスが2あるというのは重要な要素です。
アグロデッキの2マナでもいいですし黒単コントロールのようなデッキの初動としても十分な仕事ができるナイスなクリーチャー。

《第10管区の軍団兵》

ボロス・フェザーでも活躍した英雄的デッキのエース。
多色のために採用可能なデッキは白赤英雄的のみになってしまいますが、白単英雄的を白赤英雄的に組み替えることを検討しても良さそうです。
《果敢な一撃》や《祖先の怒り》の1ドロー前に占術1が入ることによって爆発力が大きく高まることが期待されますね。

1位~5位

《イゼットの魔除け》

5位は《イゼットの魔除け》。
他のフォーマットでもテンポデッキやコンボデッキで採用実績のある優秀な汎用カードです。
2マナ2点の除去部分に関しては対アグロデッキとしては心許ないですが、飛行クリーチャーのブロッカーを除けたり、相手の《儚い存在》や《呪文づまりのスプライト》への干渉手段としては十分に活用できそうです。

《実験体》

4位は《実験体》。
モダンのZOOなどでも採用実績のある優秀な1マナ域で、緑単だけでなく緑白や赤緑といったアグロデッキの成立を予感させてくれます。
再生による除去耐性も魅力で、《怨恨》をエンチャントするような場合には保険にもなりますが、《殺し》に対してはサイズも再生も無力なのが残念なところ。
もっとも相手が《殺し》を撃たざるを得ない1マナクリーチャーというのが割と規格外ではあります。

《民兵のラッパ手》

3位は《民兵のラッパ手》
1ドローかそれ以上のリソース獲得力を持ちながら3/2/3警戒とスタッツが優秀。
単純にアグロデッキが後続を追加するために採用してもいいですし、《儚い存在》と色が合っていることを活かして《熟考漂い》や《古術師》をサーチする手段として用いられることもありそうです。

《闇住まいの神託者》

2位は《闇住まいの信託者》。
まず2/2/2の基本スタッツを抑えている点が優秀で、マナこそかかりますがサクり台という貴重な特性まで持っています。
しかもその効果が実質1ドローということで流石は元レアといったところ。
赤は《モグの戦争司令官》といったトークン生成が豊富な色なので、アグロデッキが息切れ防止としてもいいですし、サクリファイス系のデッキの軸にもなり得ます。
また、ゴブリンという点も重要で《ゴブリンの女看守》からのサーチが可能。
さらに使い終わった《ゴブリンの女看守》をドローに変えられるという無駄のなさ。
今回の唯一のレアからのダウンシフトということもあり要注目。

《僧院の速槍》

1位は《僧院の速槍》
MTGというゲームを知っている全ての人間が「これがコモンで大丈夫なのか?」と口を揃えていると言っても過言ではないでしょう。
スタンダードで使用可能であった時代から、モダン・レガシーで活躍し、新設されたパイオニアでもアグレッシブな赤いクリーチャーとしての実績を積み重ねています。
赤単や黒赤のバーンデッキは勿論のこと、《窯の悪鬼》を採用する果敢シナジー寄りのデッキなどでも採用が見込まれ、なんなら白赤英雄的のようなデッキに採用しても活躍してくれるかもしれません。
中速~低速デッキの強化が集中した直近1~2年の中では飛びぬけて強力なアグロデッキの強化となりそうです。

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