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OTJコモンカードPauper評価

2024年4月19日発売の新セット『サンダー・ジャンクションの無法者』の全コモンカード(C枠81種類+L枠10種類)が公開されました。
セットの雰囲気は良いものの、メカニズムは過去のメカニズムの焼き直しが多く、目新しさに欠ける印象。
カードパワーも通常セットらしく環境を激変させそうなものは無いため、嵐(モダンホライゾン3)前の静けさといったところでしょうか。
そんな中でも既存のアーキタイプのパワーを底上げできそうなカードがチラホラあるので例によってファースト・インプレッションを書き殴っていきます。


サンダー・ジャンクションの無法者のメカニズム

無法者

暗殺者・海賊・邪術師・ならず者・傭兵の5種類のクリーチャー・タイプが無法者と定められていて、それらをコントロールするなどで高い効果を発揮するカード群。
これまでにもカード単体では存在した"特定のクリーチャー・タイプをコントロールしているとメリットがあるカード"などより特に強力というわけでもなく、フレーバー寄りのメカニズムという印象。
傭兵はメルカディア・マスクスで黒のメカニズムにもなっているので併せて採用するのも一興。

悪事を働く

対戦相手や対戦相手のコントロールしているパーマネントや呪文を対象に取ることに恩恵が与えられます。
除去やカウンターで相手を妨害しているだけでも条件は満たすものの、やはり継続的に悪事を働けるパーマネントを活用したい。
特にティムなどは単体でも有用かつ起動にマナの不要なものも多く、また用途は狭いですが《大祖始の遺産》などもマナ不要で悪事を働けます。
今セットで関連カードが収録されている《砂漠》も、起動できる状況は限られますが、設置が簡単でコストが自身のタップのみと継続的に悪事を働けるため再評価されるかも?

放題

追加コストを支払えば1つ以上のモードを選べる双呪・増呪の亜種。
双呪・増呪と違うのは各モードに対し個別にコストが設定されていて、モード毎の効果の大きさに結構な開きがある点。
状況に合わせて柔軟に使用するというより、序盤は軽い効果、中盤は重い効果、終盤は両方というようにゲームの進行度に応じて強力になっていくイメージ。

乗騎と騎乗

メカニズムとしては機体と搭乗の関係に似ています。
乗騎は最初からクリーチャーなので殴るだけなら騎乗は不要ですが、騎乗したうえで攻撃すると様々なメリットが得られます。
攻撃的かつ横並びが必要なのでアグロデッキ向け。

計画

カルドハイムの予顕に近く、予顕は予顕するためのコストが(2)で統一されていて、予顕された状態から唱えるためのコストが各々に設定されていましたが、計画は逆に計画するためのコストが個別に設定されていて、計画を経由すると一律マナ・コストを支払わずに唱えることができます。
ただ、予顕は《多元宇宙の警告》や《サルーフの群友》といった重い呪文を分割して支払えるメリットが大きかったのですが、計画は2マナで計画できるものは2マナ相当のカードパワーでしかなく、強力な呪文を少ない土地で唱えられるという良さはなくなっています。
呪文を無料で唱えられる権利を握っておけるというメリットを活かせるアーキタイプは限られそう。

注目カード

《装甲アルマジロ》

なんとなく《ラゴンナ団の先駆者》っぽさがあります。
《稲妻》をものともしないタフネス4も魅力ですが、確定除去がある相手にも護法により強化するタイミングを作り易い。
起動型能力も起動コストこそ重いですが、火吹き能力としてのマナ効率は悪くないため、土地が伸びると結構なプレッシャーになりそう。
特に強化オーラなどでタフネスが伸びていると、元々のタフネスの高さと相まって半端なくパワーも上がるため爆発力は相当なものになります。
個人的な今セットの面白枠。

《聖なる乳牛》

系統としては《鼓舞する監視者》。
ドローが占術に格落ちしている一方で、瞬速だったりタフネスが1高かったりライフの回復量が増えていてテンポ寄りの調整になっています。
除去でゲームレンジを長引かせつつアドバンテージの取れるクリーチャーを並べるような戦略においては《鼓舞する監視者》が優位ですが、除去に乏しいカラーパターンであれば相手の攻撃を誘ってからのブロックができたりと便利なこともありそうです。
総合的に打ち消しを構えつつ相手のエンドに仕掛けていく白青フラッシュのようなデッキにマッチしそうですが、今のところパウパーにその類のアーキタイプが成立しそうにないのが残念なところ。

《幻影の干渉》

《造反者潰し》など不確定カウンターにクリーチャー・トークン生成が付随するものはいくつかありますが、その中では最低限《火消し》なのでギリギリ構築でやれそう感があります。
とはいえ長引けば長引くほどバリューの落ちるカードなのは間違いないので、ひたすら構えてコントロールするよりかはテンポ重視で殴りにいくアーキタイプで採用するのが良さそう。
生成できるのが2/2飛行でクリーチャー・トークンにしては骨太なのが嬉しい。

《鎖破りの鼠》

死亡時に出てくるクリーチャーにちゃんと1マナ相当の能力があり、むしろ本体より強いため、トークンの起動型能力も考慮すれば出した瞬間に生け贄に捧げられるようにしたい。
サクリファイス軸のアグロデッキは1/1を多く採用するため、それらのバリューを高められる+1/+0修整との相性は良いです。
仕込み不要で《巣のシャンブラー》のパワーを上げられるなど"餌"同士での繋がりも可能性を感じさせます。

《不吉な前兆の鴉》

悪事関連の中ではゲームに直接的に影響を与えられるのでノーチャンス寄りのワンチャン枠。
飛行を持っているため殴れる状況も多く、最大で自身での戦闘と悪事2回(自分と相手のターン)で3点クロック。
タフネスが2なので《クォムバッジの魔女》と並べられるのは評価できます。

《街道筋の強奪》

《苦しめる声》系統のドローであるため手札が増えはしないものの、計画を経由することで0マナで唱えられるという点は《窯の悪鬼》などとのシナジーにおいて非常に有用。
《魔力変》でドローをしたものの有効なアクションを引けなかったときに計画しておくと勝負所で決め手になるかも?
土地を生け贄に捧げられるということで《ゴブリンの爆風走り》とも僅かながらにシナジーがあります。

《無謀なる従僕》

最新型の《怒り狂うゴブリン》として能力が盛られていますが、単体では1点クロック止まりというのがやや辛いか?
最悪ドローに換えつつ《ゴブリンの爆風走り》の強化ができるため、赤単アグロと相性が悪いということはないでしょう。

《タンブルウィードの踊り》

《力線の発動》が6マナだったのでクリーチャー生成だけで見ても1マナ軽くなっていますし、6マナで唱えればワンサイズ大きくして出せます。
土地サーチのモードもマナ効率の悪い《不屈の自然》かと思いきや、砂漠をサーチできるため《砂漠》を出すこともできます。
《砂漠》は一部のアーキタイプには強烈に刺さる能力を持っているものの、マナベースとしての弱さゆえか大量に採用されることが少ないですが、1~2枚を挿しておいてサーチする分には問題ないでしょう。
何気にサーチした土地はアンタップインなため、置いた《砂漠》をそのまま構えられるのも嬉しい。
もちろん出した土地からのマナで後続のアクションに繋げられれば実質2マナとなり、それもまた良し。
個人的には《山》をサーチして《稲妻》を構えられるのが強そうに思います。
ただ、放題呪文の特性として追加コストが必須であるため、続唱で捲れた際にマナが空だと続唱の分が丸損になってしまい《苛立つアルティサウル》との相性が少し悪い点は気になります。

《タンブルウィードの増大》

元アンコモンの《真似るスライム》のコストが2マナになりました。
単純に《対抗呪文》や《喪心》に対してテンポ負けせず、2ターン目に《炎樹族の使者》を引けているのに後続がない……という残念な展開での最低限のアクションにもなります。
《湿地帯のグロフ》や《怨恨》の付いたクリーチャー、《Finishing Move》で4/2や5/1のステッカーを貼ったクリーチャーなど、緑単ストンピィでも4/4~5/5程度のサイズであれば特に構築を弄らなくても出せそうなため、盤面が空っぽのときに単体でトップした際の弱さはありますが、十分に採用圏内ではないでしょうか。
なお、計画はインクの染みです。

《大食の匪獣》

緑単色の2マナでは《仮面の蛮人》や《やんちゃなアウフ》が競合に挙がりますが、こちらは能力の使用に必要なのがマナだけなので構築に制約をかけない点が素晴らしい。
また、能力だけ見ると《苛性イモムシ》の系統と言えますが、2/2/2警戒で本体がクリーチャーとして十分に通用する性能である点が光ります。
先に挙げた2枚は追放除去である点が長所ではありますが、タイミングがソーサリーである点で小回りが利かず、《きらきらするすべて》が幅を利かせている現在のパウパー環境ではインスタントのタイミングで戦闘に介入できる点が優位に働きそうです。
こちらも緑単ストンピィのようなアーキタイプの2マナ域として有力な候補になりそうです。
警戒を活かして《象の導き》をエンチャントしたい。

《銀の保安官代理》

過去の同系統のカードと比較して砂漠をサーチ可能になっているため、色マナの安定化だけでなくバリュー土地である《砂漠》を持ってこられる点が強化ポイント。
また、過去のカードは戦場に出た後はスタッツの悪いバニラでしたが、こちらは起動型能力によって戦闘支援が可能なため棒立ちになるリスクが少ないです。
ここまで強化されたら構築でも採用可能な水準にはあるのでは……という気もしますが、具体的にこれを採用したいデッキがあるかというと微妙か?
《ラースの威嚇者》からサーチ可能なのを活かせたら面白そう。

《導路の塔門》

《水晶の岩屋》の占術が諜報に変わっただけですが、それだけでもかなりの強化に見えます。
既存のアーキタイプの中でもリアニメイトは墓地にあるだけで嬉しい"当たり"が多いため、マナベースが許す限り採用を考えたいところ。
アンタップインであるため諜報の誘発にスタックして指輪物語の土地サイクリングを起動するためのマナを確保できるのも優秀。
1ターン目から諜報にスタックして《カザド=ドゥームのトロール》を起動→《沼》サーチ後に諜報を解決して《死体発掘》を探す動きは今後よく見かけるようになるでしょう。
基本は無色マナの土地ですが、土地が伸びた後は赤マナの供給源になる点も《屑鉄造りの雑種犬》の蘇生起動に便利で、《信仰無き物あさり》を採用したり《古えの遺恨》をサイドインする場合の安定化にも繋がります。
また、サイドボードに《天啓の光》を採用する際には、切削で落とせずに手札に引き込んでしまった場合の保険にもなり地味に嬉しい。


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