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ZNRコモンカードPauper評価

まえがき

 ダブルマスターズのPauper参入からひと月、時の流れは速いもので秋の新セットであるゼンディカーの夜明け(ZNR)の全カードが公開されました。
 自分はというとPauperはおろかArenaのログインも滞りがちで、毎週のChallengeの集計もほったらかしになっております。決してMtGへのモチベーションがないわけではないのです。すべて労働が悪い。
 そんな中、さすがに新セットのカード評価は書いておこうとMythic Invitationalの2日目を見ながらPCと向かい合っております。「《上流階級のゴブリン、マクサス》とかいうイカレたマナ踏み倒しを野放しにしておくなんてWotCは本当に失敗から何も学べないんだな…」という落胆が頭をよりぎますが、対岸の火事なので気にしないでおくことにしましょう。

ゼンディカーの夜明けのメカニズム

 ゼンディカーの夜明けから新たにパーティというメカニズムが登場しました。
 パーティは、これまでにも存在した部族シナジーの発展形で、戦士、ウィザード、ならず者、クレリックをバランスよく揃えるほどバリューが上がるという仕組みです。クリーチャーを多く展開する必要があるのでアグロ寄りのデッキで効果を発揮しますが、単色では構築水準のカードで4つのクリーチャータイプを揃えるのは難しく、マナ基盤という点でもコモン構築においてはネックになりそうです。
 また、ゼンディカーでは皆勤賞の上陸と、初代ゼンディカーからの復帰でキッカーが再録されています。これらに関してはメカニズムの特性も既に知られているところでもあるので、単純にパフォーマンスの高いカードが構築で試されていくのではないでしょうか。

《海門の旗騎士》

W_海門の旗騎士

 起動型能力は5マナと重いですが、マナのみで起動できるにしては良い効果を持っています。《絶壁の見張り》からタフネスが1上昇しただけのクリーチャーですが、これを使うデッキは《急報》《金切るときの声》を使うデッキなので《電謀》耐性の高さは評価できます。

《凍える罠》

U_凍える罠

 《呪文づまりのスプライト》《ボーラスの占い師》など青だけ見ても構築級のウィザードは沢山います。(《秘密を掘り下げる者》も変身しなければウィザードです。)
 1マナと軽く、-4/-0もの修整値があれば殆どの戦闘を相打から一方にできますし、さらに1ドローが取れるとなれば効果的に機能する場面は少なくなさそうです。
 コントロール相手には立ち消えする可能性のあるキャントリップにしかならないのでメインから採用するかは微妙ですが、クリーチャー同士がぶつかるシチュエーションを想定するならサイドからの投入というのは十分に考えられます。(特に青単では。)

《実地研究》

U_実地研究

 晴れる屋の記事でも紹介されていましたが、《予言》という前世紀的なカードが許される牧歌的な環境においては序盤から終盤までドロー呪文に求められる要件を必要かつ十分に備えているカードです。そしてPauperはそんな牧歌的な環境が残る数少ないフォーマットでもあります。
 しかし、《強迫的な研究》《熟考漂い》などポスト《予言》の競合が数多く存在するフォーマットでもあるので、それらを押しのけて採用されるかは未知数。

《大群への給餌》

B_大群への給餌

 対象を取れる黒単色のエンチャント破壊カードとして白や緑を触らないデッキのサイドボード要員として候補になるでしょう。特にラクドスですべての種類のパーマネントに対処できるようになったのが大きいのではと感じています。
 クリーチャー除去を兼ねるため腐りづらく、メインからでも1枚程度の採用は十分に可能性があります。

《マラキールの血僧侶》

B_マラキールの血僧侶

 パーティ参照カード中でも特にバリューの高い1枚。コスト的にX=2なら額面以上となり、それより多くなるとボーナスタイムです。
 このカードの存在により、パーティを中心にデッキを組むのであれば黒はまず外せなくなりそうです。

《献身的な電術師》

R_献身的な電術師

 赤は優秀な戦士に事欠かないため、2マナ程度は安定して生み出してくれそうです。生み出すマナは赤マナのため《ゴブリンの奇襲隊》にも繋げやすく、赤単アグロで期待が持てます。

《浄化の野火》

R_浄化の野火

 赤い《広がりゆく海》という説明が個人的に一番しっくりきます。相手のマナを枯らすのではなく、バウンスランドやトロンランドを咎めるという目的で使うのであれば《石の雨》よりも優れたカードです。

《グロータグの虫捕り》

R_グロータグの虫捕り

 こちらもパーティ参照を持ったクリーチャーの中で優秀な攻撃性能を持っています。単体の攻撃時2/2トランプルでも赤の2マナとしては十分で、パーティが2以上で額面以上、3からはボーナスです。

《タクタクの瓦礫砦》

R_タクタクの瓦礫砦

 壁コンボで期待される1枚……と言いたいところですが、昭和の人間としては速攻を付与した《ブラストダーム》を走らせたくなります。
 《跳ね橋》との比較になるのは重々承知ですが、1ターン目マナ加速からのマナの並びが良かったり《炎樹族の使者》からのマナで展開した際に《炎樹族の使者》がそのまま殴れたりと嬉しい面もあるので推し。

《ナーリッドの群棲》

G_ナーリッドの群棲

 《炎樹族の使者》から展開可能な熊であり、かつマナフラの受けにもなるコモン版《カヴーのタイタン》
 自身にカウンターが置かれなくても《吠え群れの飢え》のバリューを高めたり地味に良い仕事をしそうです。

《海門の巨像》

A_海門の巨像

 パーティデッキの最終兵器と呼ぶのに相応しいサイズ。パーティの要求値が3程度と条件が厳しく、パーティが揃っていないと戦場に出すことすらままならないため枚数を多く積むことはできないかと思いますが、フィニッシャー枠としては採用圏内でしょう。

《予備物資》

A_予備物資

 合計4マナで2ドローですが、2マナと2マナの分割であり、後ろ2マナは任意のタイミングで支払えるということであれば効率的に《予言》と遜色ないレベル。これが不特定マナのみで実現できるのは昨今のアーティファクトのドロー能力は向上の一途と言えます。(《眷者の装飾品》とか……)
 ドローの不得意な白と赤を中心色としたボロスのミッドレンジで重宝しそうですし、色マナを必要としない分《魔法の井戸》より親和に適性がありそうです。

あとがき

 ここで紹介したカードに順位をつけるなら、環境の上位デッキで既存の枠と入れ替わりのありそうな《予備物資》、同様に既存枠と選択になりそうな《ナーリッドの群棲》、既存デッキのサイドとして有望そうな《凍える罠》といったところです。
 もちろん、個人的には上述の通りコモン版《熱情》《ブラストダーム》を走らせることしか考えていません。
 パーティデッキは構築の難易度が高く、すぐには有力なデッキは出てきそうにないですが、あるとすれば《マラキールの血僧侶》と《グロータグの虫捕り》を軸としたラクドスアグロから試すのが良さそうに見えています。
 全体を通して見ると通常セットらしく、環境を大きく変えるというよりは既存のデッキの強化パーツが少しずつ配られたセットなのかなと思います。
 以上、ゼンディカーの夜明けのコモンカード評価でした。

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