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STXコモンカードPauper評価

《魔術師の稲妻》コモン落ちとかあったらなぁ

2021年4月3日、ストリクスヘイヴンの全カードが公開されました。

プレビュー期間中にコモンも殆どが見えていたので、特にサプライズはありませんでしたが、例によってPauper目線で新カードの雑感をば。

無色

無色のコモンは全て講義呪文です。リミテッド向けの調整か、マナ効率自体は悪いのですが、履修呪文は講義呪文が前提となるので、講義呪文については(無色、有色を問わず)全部について触れていきたいと思います。

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ライフ回復付きの《地勢》ですが、回復量が少ないため、土地のサーチを目的にしての採用になるでしょう。2点のライフ回復は、2マナという《地勢》にしては重たすぎるコストに対する補填と考えたほうが良さそうです。
土地の欲しい序盤に軽量な履修呪文を撃てる構成なら、手札に土地がないケースを想定したバックアップとしてありかもしれません。しかし、そのためにサイドの枠を圧迫するかは微妙なところです。
(あれば安心感はありますが。)

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ほぼ3マナで+2/+2するオーラと考えると、必要となるデッキのタイプは相当に限られます。シナジーのある英雄的や呪禁では、マナフラッドの受けとして優秀なサーチ先となるでしょう。

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コスパは非常に悪いですが、無色のパーマネント除去の基準となるのが《存在の一掃》なので、メインに入れずとも必要なときに履修呪文から持ってこられるという点を考慮すれば許容範囲と言えそうです。採用するなら、土地が伸びるデッキで御守りとして入れるくらいですが、《ギルドパクトの守護者》を処理できない低速デッキにとっては嬉しい選択肢になるかもしれません。

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いかに《定業》が強力かが分かる1枚。サーチ先として無難な選択ですが、本体性能で劣るものが多い履修呪文からマナ効率の悪いこれをサーチするというのは如何にもテンポが悪そうな動きですので、せっかく履修・講義呪文採用するのであれば、もっと尖った使い方ができるものを採用すべきでしょう。

白の履修呪文は軽量で優秀、かつ、白絡みの召喚学はコスパが悪くないのが特徴。英雄的や呪禁では既存の選択との比較対象になるでしょう。

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コモンの履修呪文の中で最軽量の1枚。《拡張解剖学》という方向性の同じ講義呪文もあり、英雄的を2度誘発させられるなどシナジーに優れます。トータルすると4マナ+3/+3と寂しいですが、分割払いが可能ですし、ここまで軽いとルーターとして使っても優秀なので、隙の少ない強化呪文兼マナフラッド防止として採用したいです。

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サイズ、能力ともに《護民官の道探し》未満ですが、白単であるというのがポイント。これさえ置ければ次のターンに《金切るときの声》のFBまで見えるので、序盤の潤滑油として優秀。下の能力は、6マナ揃う頃に2/1を回収しても微妙ですが、動きがなかったターンの相手のエンドに起動可能ですし、手札を捨てるコストに充てられたりもするので、能力が生きるゲームはありそうです。

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死亡しても補填がある軽量クリーチャーとして白単ウィニーで採用を検討できるかというところ。
白には+1/+1カウンターを利用した強化も多いですし、これからも増えるでしょうから、いつか日の目を見ることがあるかもしれません。

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《圧点》よりもタップできる対象が多く、マナフラッドを誘引しやすいキャントリップよりは、確実なリソースの獲得ができる履修のほうが英雄的などには合っていると思います。
相手のブロッカーの排除だけでなく、自分のクリーチャーの英雄的を誘発させるようなプレイングも可能なので、活躍できるシチュエーションは見た目以上に広そうです。

青は目立って強力なカードはないですが、トークンを生成する呪文が大量に追加されており、《パズルの破片》コントロールの選択肢が増えたという印象です。

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《パズルの破片》デッキで《精霊召喚学》をサーチするためだけの呪文。青のまともな履修がこれしかないのは残念。
単独でも「1ドロー→1ディスカード→1ドロー」と、少し弱い《目録》なので、コントロールが手札を整えるという目的であれば3マナインスタント相応の性能はあるかもしれません。

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カルドハイムの《鴉変化》といい、いつから青はトークンさえ渡せばクリーチャーもアーティファクトも除去できる色になったのでしょうか……
それはそれとして、インスタントの2マナと軽量で範囲も広いですが、如何せん4/4トークンを相手に渡したままでは殴り殺されてしまうので、《排撃》のようなアドバンテージを失わずトークンを排除するためのバックアップが必須となります。
(対コントロールで《眷者の装飾品》を除去するような動きを想定するなら余っているクリーチャー除去を当てればいいかもしれませんが。)
どちらかというと、ダブついて不要になった《予言のプリズム》や、土地が伸びた後のアーティファクト・土地をインスタントのタイミングで4/4に変えるというのがメインの用途になりそうです。そういう意味ではコモン版《アーティファクトの魂込め》といえなくもないかもしれません。
(召喚酔いはしますが。)

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《パズルの破片》を採用するデッキでは恐ろしいサイズになるでしょう。除去耐性もなにもありませんが、デカさだけで諸々の弱点を吹き飛ばす可能性があります。
追放領域まで参照してくれるので、探査呪文や《収穫の火》と併用しても問題ないところがありがたいです。

黒もあまり強化を貰えなかったかなという印象です。もっとも《喪心》や《殺し》、《汚涜》など黒に期待される汎用な除去呪文は既にパワーレベルが極まっているので、やむを得ない感はあります。

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コモンには履修を持ったクリーチャーはいませんが、トークン生成のこれは限りなく近い1枚です。しかし、出てくるトークンは2マナとしては貧弱なので、同じ邪魔者トークンを出す《害獣召喚学》を重ねて嬉しいサクリファイスや、ライフ回復のシナジーに寄せたデッキでワンチャンあるかどうか。
《薄暮軍団の盲信者》と比較するとライフに優しく、その後の展開を安定させ易いことが評価できますが、《アスフォデルの灰色商人》を採用したデッキにおいては信心を供給できないことが欠点となります。
盤面関係なく2ターン目に撃てることから、《環境科学》をサーチして嬉しい履修呪文の1枚でもあります。

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コンバットトリック兼除去対策として優秀です。1マナで火力・破壊に対し完全耐性を得られる呪文は初ですし、もう一つのモードをクロックの上昇にも充てられる小回りの良さもあります。

赤に期待される火力や軽量なクリーチャーは今回も追加がありませんでした。個人的には魔技を使った《僧院の速槍》や《熱錬金術師》のような高性能なクリーチャーを期待していたので少し残念ではあります。

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これは履修呪文としてではなく、無限頑強のパーツとして注目を集めています。速攻が付与される点も強力で、後出しした《屍肉喰らい》が無限パンプから速攻で殴ることができ、コンボとしての強度が高まっています。
また、インスタントなので、《スカークの探鉱者》との関係ではアップキープにエコーで死ぬ《モグの戦争司令官》の本体をコストの支払い充てられるのが地味に嬉しいところ。
単純に赤単トークンのようなデッキが組めるようになるかは分かりませんが、《ゴブリンの奇襲隊》に近いクロックの増強が計れるため、可能性はありそうです。

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Pauper初の打ち消されない呪文。《昆虫の逸脱者》や《深き刻の忍者》などのクロックを打ち消しで守るタイプのデッキに対し、信頼性の高い除去になります。しかし、それらを焼くには3マナというコストが重く、一方で《グルマグのアンコウ》を処理するには4点では足りません。
対青単においては《尖塔のゴーレム》をピッタリ処理できたり、《昆虫の逸脱者》や《深き刻の忍者》を焼く場合には《変異原性の成長》を貫通できるので4点という部分も無意味ではないものの、帯に短し襷に長しといったところ。

驚愕のマナレシオを誇る《湿地帯のグロフ》の存在に尽きます。

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言うまでもなく2/5/4は破格。代償は小さくありませんが、《若き狼》や《カルニの庭》などマナカーブの並びの良い1ターン目のアクションもあるため2ターン目の着地も不可能ではありません。
さすがに《喪心》や《殺し》を当てられるのは仕方ありませんが、《稲妻》耐性であるタフネス4を確保できていることが素晴らしいです。
既存の緑単に前述のような生贄要員と併せて採用することは勿論、黒緑ハスクのような、ややマイナーなデッキがメジャーになる可能性すらある1枚。
マナの総量が2なので《発掘》の対象になるのも嬉しいです。

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比較対象としては、ランプデッキにおける《耕作》あたりになるでしょう。基本の森しかサーチできない点は、カルドハイムにより《北方行》が2色サーチになっていることから殆ど問題にはなりません。よって、手札に加えるものが追加の基本土地になるか講義呪文になるかの差です。
ランプデッキの動きを考えれば、《耕作》のほうが安定感があることは間違いありませんが、Pauperという特性を考えると最終的な到達点である《苛立つアルティサウルス》の続唱から捲れる可能性があることを踏まえ、こちらを採用するのも良さそうに見えます。
サーチ先は《フラクタル召喚学》や《殲滅学入門》が候補になります。

多色

講義呪文である召喚学のサイクルが特に重要。あとは個別で優秀なカードがいくつかあります。誓約魔道士のサイクルは、どれも「2マナだったらな~」といった印象で、残念ながら構築で見かけることはなさそうです。

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3マナ以上で殴るだけが仕事のクリーチャーの評価が低い傾向のあるPauper環境ですが、ライフ回復は絆魂持ちの攻撃やゲインランドの設置などマナがかからず、かつ、1ターンに複数回誘発されられることも多いのでワンチャンあるかも枠。
戦場に出したあと急速に成長されられればタフネス参照の除去で対処されにくいことは勿論、黒であるため《殺し》で処理されないことも地味に嬉しいです。
また、巨大なサイズを生かせる回避能力を持っている点も、これまでのサイズ優先タイプのクリーチャーには少なかった特徴です。

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《検体探し》と同様に2ターン目に無造作に撃つことができ、その隙をライフ回復である程度はカバーできています。後は《害獣召喚学》に続けたり、必要に応じて《殲滅学入門》を持ってくるような使い方になるでしょう。

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5/4/4はコスパが良くないものの、盤面をコントロールできているのであれば、パワー4は十分な遂行力であることも事実。《抜き打ち試験》からのサーチ先として最有力な他、ティムールランプであれば《現地調査》から引き込むことも視野。

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《探検》系のマナ加速は不確実なところが欠点ですが、一方で《苛立つアルティサウルス》から捲れても嬉しいので一長一短。
4マナなので青マナが必要であることも問題になり難く、相手のエンドにこれを打ち消させ、返しに《熟考漂い》を通しにいくといったプレイングもできるためインスタントであることも地味に強いです。

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《現地調査》からのサーチ先の候補。というか、それしか用途がなさそう。他はトロンが、これと《殲滅学入門》とを選択できることを重要に見るなら《抜き打ち試験》を採用して持ってくることがあるかも?

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2/1飛行は《昆虫の逸脱者》のブロック要員として優秀。もっとも《秘密を掘り下げる者》の採用率が若干低くなってはいますが……
横に展開をしたい場面で、《導きの声》から追加するクロックとしては《スピリット召喚学》よりは良さそう見えます。

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1枚から2体クリーチャーを展開できるのがサクリファイス系のシナジーデッキにおいて光ります。チャンプブロックをしつつライフを回復できるのも直線的なデッキを相手にした際には大きな働きが期待できます。
しかし、クロックとして見た場合には見劣りすることが多いと思いますので、あくまでシナジーの補強としての採用になるでしょう。

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おまけとして手に入るなら3/3/2も悪くないかもしれませんが、これと言って特徴がありません。
一応、マナコストに対するパワーはサイクルの中で一番高いので、《授業初日》から突っ込ませれば《轟きの巨人》相当にはなります。トップ勝負で《授業初日》が無駄牌になることを防ぐ御守りとしての採用があるかもしれません。

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既に別の記事にしていますが、赤単バーンで《火炎破》をコピーできると強力。他にも《ゴブリンの手投げ弾》や《倒壊》など追加コストを要求する呪文とは好相性ですので、色々とデッキを考えてみたいです。

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《信仰なきもの漁り》でFB呪文や《戦隊の鷹》をディスカードするタイプのデッキでは追加の《信仰なきもの漁り》になり得ます。ライフ回復がテンポ損をカバーしているだけでなく、《安堵の再会》と比較してディスカードが追加コストでなくなっているので、打ち消されても被害が抑えられる点が格段に使い易いです。

アーティファクト

特になし。

土地

今回、学舎サイクルとして、タップインの2色土地に繰り返し使える起動型能力が付いたものが登場しました。
効果は《ヴァントレス城》のものを半減させたものですが、そもそもPauperでは本体のタップイン2色土地が有用な環境ということもあり、ゲイン土地や氷雪土地など既存の2色土地と同様に採用の候補になりそうです。

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既存のデッキに方向性の合ったものが存在するためサイクルの中では恵まれています。《風に削られた岩山》を4枚採用していたボロスは2:2くらいで散らすことを推奨です。

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色の合った既存のデッキは存在しますが、《雪崩し》を採用したものが多く、氷雪である《移り変わるフィヨルド》が優先されるでしょう。
《雪崩し》が必須でないコントロールであれば《急流の崖》とスロットを分けても良さそうです。

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5Cトロンは《茨森の滝》を2枚程度採用していることが多く、その場合は《輪作》からのサーチをあてにして1:1にするのもありです。
1枚しか枠が無い場合には《輪作》から《茨森の滝》の1点がゲームを分けることもあるので、そちらを優先したいです。
(そもそも《眷者の装飾品》を4枚積みするデッキなので、マナフラッドのリスクが少ないため。)

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色の合ったデッキとしては《黒死病》がありますが、これはライフが重要ため《磨かれたやせ地》の価値が高いです。しかし、《眷者の装飾品》をフル搭載というデッキでもないため、4枚スロットがあるのなら《磨かれたやせ地》3:《シルバークイルの学舎》1くらいにして良いかもしれません。

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既存のデッキに黒緑で有力なものが無いとはいえ、今回の強化で登場してくるかもしれません。《血の研究者》を入れるようであれば《ジャングルのうろ穴》が優先されますが、そうでないのであれば(恐らく《眷者の装飾品》を殆ど採用しないデッキであろうことも考慮して)こちらを4枚採用したいところです。

植物・犬とは……?

多色フィーチャーのセットということで、当然、多色のミッドレンジやコントロールの強化が大量かとかと思いきや、《湿地帯のグロフ》や《実例指導》など単色のデッキにとっても実入りの大きなセットとなりました。
目玉のメカニズムである履修・講義呪文については、コモンのプールの狭さから選択肢が微妙な印象ですが、セットの人気がでれば回帰も十分に考えれられるため、今後に期待したいところです。

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