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思い出「東京運動会」

【命令】


11歳の時。

東京に転校してきて間もない頃
運動会が開催される事になった。

このとき俺は
クラスの中で
まだまだ未知数な存在。

でも
体育の授業が得意だったせいか
3㎞マラソンと
リレーの選手に出ろと命令されてしまった。

この命令を下したのは
クラスのリーダー格の「川口泰平」君。

本当は
選ばれた選手なんて責任が重く
凄く恥ずかしくて緊張するから
嫌だった。

でも
転校してきたばかりの新人の俺が
クラスのリーダーに逆らえる訳もなく
仕方なく出る事にした。

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【コンクリートの校庭】


しかし俺は
ちょっと1番になる自信があった。

それは
学年で1番走るのが早いのが
俺に命令を下した川口泰平君だっかたらだ。

そして俺は
「責任が重いし恥ずかしいけど
奴さえ敵じゃなければ俺が1番だ(ΦωΦ)フフフ…」
と感じていた。

なぜ俺が
同じ学年の中で
かけっこが2番だったのか?

それは
当時「七峡田小学校」と言う所に通っていたのだが
ここの校庭は
なんと!砂利じゃなくコンクリートの校庭だった!

その為みんな
転んだ時のケガが怖くて
体育の授業の時や遊ぶ時
思いっきり体を動かせないでいた。

でも俺は
転校前「立花小学校」の砂利の校庭で
思いっきり体を動かし運動できていた。

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【嫌な練習】


俺は
砂利の校庭で運動できたアドバンテージが
凄く有利だったと感じている。

そして
運動会の種目も決まり
翌日から
組体操や入場行進の練習が始まった。

入場行進の練習は
毎日1時間くらいやり
非常に細かく指導され
まるで軍隊みたいな事をやらされてしまう。

俺は
入場行進の練習だけは
どうしても好きになれず
嫌すぎて吐き気すら感じた。

しかし
出来ないと何度もやらされる為
我慢するしてやるしかなかった。

次に嫌だったのは
組体操の練習。

でも
この小学校の組体操は
前いた埼玉県の組体操と少し違っていた。

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【カルチャーショック】


東京と埼玉の組体操違いは
何と人間ピラミッドが無かったのだ!

何でないのか先生に聞いてみたら
「昔人間ピラミッドがあったけど今は
事故があって禁止されてしまった」
そう言っていた。

更にこの学校では
棒倒も事故があったらしく
やらない事にしていた。

俺は
「以前通っていた学校と違い
ずいぶん事故に厳しいんだな」
そう感じてカルチャーショックを受ける。

そんな事もあり
組体操の練習は
非常に楽で良かった。

他のリレーやマラソンの練習は
普通にやれば川口泰平君の次に速く
特に問題なく楽に練習できた。

そして
運動会当日になった。

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【へなちょこ揃い】


運動会は
入場行進で始まり
1年生から競技が行われていった。

そして
俺のリレーの出番が回ってきた。

スタートラインについて周りを見ると
何だかへなちょこばかりいる(*´艸`)

このとき俺は
1番を確信した!

そして予定通り
1番になれたのだった!(*'▽')

相手が良かっただけだが
責任を果たせた事に心底ホッとした。

そしてしばらくして
マラソンの出番が回ってきた。

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【格上】


スタートラインについて周りを見ると
何だかへなちょこばかりいる(*´艸`)

このとき俺は
1番を確信した!

そして予定通り
1番になれなかったのだ(´;ω;`)

それは
マラソン選手に
恐ろしく早い子がいたからだった。

その子は
「池田君」と言う子で
凄く背が高くて足も長い!

俺は
2㎞地点まで1番でいたが
その後あとから池田君に一気に抜かれてしまう。

しかも
俺が限界ギリギリで走っていたのに
まるでリレーをするかの様な速さで
疾風の様に俺を抜き去っていった。

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【ニュータイプ】


その後の俺は
必死に池田君に追いつこうとしたが
まるで次元が違う走りをされ
とうとう池田君が見えなくなってしまう。

俺は
本物のニュータイプを見たような気がして
もう唖然とするしかなかった。

「小学生のくせにあんな凄い奴いるんだ」
そう驚愕してしまう。

そして俺は
2番でゴールしたが池田君が相手だった事もあり
みんなに責められず事なきを得た。

しかしあの次元が違う速さは
あまりにも衝撃的で
全然頭から離れない。

そして
このまま昼食の時間になった。

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【給食カルチャー】


この学校は
何故かお弁当を両親と食べない。

埼玉の学校と違い
なんと!給食が出る!

俺は
またここで田舎者丸出にし
カルチャーショックを受けてしまった。

給食費も区から出るし
親御さんたちは
適当な食事で済ませられるから
経済的だという事でこうなったのだろう。

この時
窓から外を見て親御さん達を確認したら
父親たちは
みんな横になって寝ている。

この辺は
埼玉の学校にいた時と同じだ。

でも母親達は
みんな寝ずに色々雑談をしていた。

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【アンカーの担任】


そして午後
残りの競技の組体操が始まる。

俺は
この組体操をやっている時も
池田ショックから立ち直れないでいた。

そして組体操が終わり
クラス対抗バトンリレーが始まる。

このリレーで俺は
2人くらい抜かしたが
アンカーで担任の成田先生の足が遅く
ペケになってしまった(ノД`)・゜・。

この後
成田先生がみんなに謝っていたが
しばらくブーイングの嵐だった。

そして運動会も無事終了して
白組だった我々は
なんと1点差で勝つ事が出来た!

でも1点差なんて何か怪しく感じる。

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【毎度の1点差】


俺は
1点差なんて偶然に違和感を感じていたら
隣にいた川口泰平君が
こっそりこの謎を教えてくれた。

「1点差で勝ち負けが決まるのは
毎年の事なんだ」
そう言っていた。

どうやら生徒をがっかりさせない為に
勝ち負けをそのままにして
点数の差を僅差に書き換えているらしい。

しかし
勝ち負けさえしっかりしてれば
運動会ごときの点数なんて
どうでもよく感じた。

それより俺は
池田ショックの方が大きかった。

このあと俺は
池田君に詰め寄り
どんな魔法を使ったのか問い詰めてみた。

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【シャアのお告げ】


そうしたら
「お前ら最初から飛ばしすぎなんだよ(*´艸`)」
そう言われてしまいった。

確かに俺の走りは
最初から飛ばしすぎて
後半ペースダウンしてしまう。

そして俺は
池田君の言う事が論理的に感じ
「なるほど」と
妙に納得してしまった。

でも池田君の
170㎝もありそうな背の高さは
明らかに反則に思える。

当時150㎝ちょいしか無い俺と
170㎝位ある池田君との体格差は
俺にとって超えられない壁に感じ
生まれの差を呪ってしまった。

このとき俺は
「君の生まれを呪うがいい」
そうはっきりと何処からか聞こえた。

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