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思い出「ザリガニ釣りの猛者」

【嫌いな釣り】

6歳の時。

近くにある田んぼの水田で、よくザリガニ釣りをしていた。

割りばしから糸を垂らし、その先にスルメイカをつけて釣っていた。

この頃、学校でザリガニ釣りが流行ってて、皆ザリガニ釣りが上手だった。

でも、皆がザリガニを釣っている所なんて見た事がない。

みんなが学校で、10匹釣ったとか、100匹釣ったとか言っている。

だから俺は、それを真に受けてみんなザリガニ釣りが得意なんだと思った。

それを聞いた俺も、ザリガニ釣りが上手になりたかった。

そしてよく、1人でザリガニ釣りの練習に行っていた。

でも、1人で釣りに行ってもコツなんて解らず、全然釣れない。

偶然ザリガニが、水の中に見えた時だけ目の前に糸を垂らし釣っていた。

それでも全然釣れなかった。

たまに、ザリガニがハサミで掴んでくれて釣れるときはあった。

釣れるとしたらそれ位だった。

そもそも俺は、釣りが好きじゃなかった。

じっとしているのが退屈で我慢できなかったからだ。

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【神になった俺】

ある日俺は、いつもの水田にザリガニ釣りに行っていた。

そうしたら、上級生がザリガニ釣りをしているのが遠くに見えた。

俺は、その上級生の所に行ってどれ位ザリガニが釣れているのか見てみた。

そうしたら、10匹位釣っている。

俺は、驚きこの人は神だと感じた。

そして上級生の腕をつかみ「釣り方教えて!」と駄々をこねて頼んだ。

そうしたら、上級生が困った顔をして、快く教えてくれる事になった。

その上級生が言うには、ザリガニは草むらに隠れているらしい。

だから草むらを見つけたら、ザリガニが見えなくても居るという。

そして上級生の言う通り、草むらに餌を垂らして待ってみた。

でも、なかなかザリガニが出てこない。

そこで上級生が糸を上下に揺らしてみ、と言ってきたのでやってみた。

そしら、草むらからザリガニがノソノソと出てくる。

俺は「マジでザリガニ来た!」と、ビックリした。

後は、ハサミで餌をつかむのを待つだけだ。

ザリガニは、ゆっくり餌をハサミで掴み食べ始める。

そうしたら上級生が「今!勢いよく上に引っ張り上げろ!」と言ってきた。

俺は迷わず、思いっきり上に引っ張り上げたら見事に釣れた!

俺は、この時ザリガニ釣りを極めた事を悟った。

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【女子達の楽園】

この年の夏休み。

学校でザリガニ釣り大会が行われた。

今では、あり得ない田舎っぽい大会だけど、実際に行われた。

この時俺は、上級生の師匠に教わった必殺技をひっさげ1番を狙ってた。

俺は、上級生に教わってから何度も水田に足を運び練習していた。

そして、5匹位ザリガニを連れる猛者になっていた。

俺は、もうザリガニ釣りを完全に極めた感満載だった。

そしてザリガニ釣りが開始された。

俺は、スグに草むらに行き糸を垂らして釣り始める。

そうしたら、先生が女子達をわんさか連れて来た。

先生は、ここで女子達に釣ってみなと教えてる。

俺の場所に女子達が集まってきたから、俺の雄姿を披露しようと思った。

そして、俺の必殺大量釣りを見せてやろうと意気揚々で釣っていた。

しばらくして俺は、まだ1匹もつれていなかった、

女子達を見たら、2~3匹釣っている。

ザリガニがいる場所に人が集まりすぎて、数が激減していたのだ。

1匹もつれてない俺は、何だか恥ずかしくなって場所を変える事にした。

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【泣き虫猛者】

俺は、誰もいない新たな場所を見つけ、そこで釣り始めた。

そしてしばらく釣っていたら、全然つれない事に気が付く。

どうやらここは、ザリガニが枯れたからみんな移動した後の場所だった。

他の場所を見つけようと探したが、ほとんどの場所が枯れてていない。

そりゃ、沢山人数が集まればザリガニなんてあっという間に枯れてしまう。

そうこうしている内に終わりの時間が迫ってきた。

全員数匹は、ザリガニをついいているのに俺は0匹。

そんな状態になり俺は、メソメソし始めた。

それを見たクラスの男子数人が、俺が0匹だと言う事に気が付いた。

そうしたら、終わりの時間まで俺の釣りを手伝ってくれると言う。

凄くありがたい言葉だった。

そして、皆でザリガニを探して釣れる場所を発見してくれた。

俺は、そこに目の前に見えるザリガニに向けて糸と餌を垂らした。

そうしたらザリガニが、ハサミで餌をつかんできた。

俺は「今だ!」と思い、思いっきり上に引き上げた!

でも釣れたのは、ハサミの部分だけだった。

勢いよく上に引っ張ったから、ザリガニのはさみが千切れてしまったのだ。

そして終わりの時間が来て、結局俺は0匹で終了してしまった。

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【イチゴ味の飴】

最後に表彰式が行われた。

この時全員、数匹はザリガニを釣っていた。

ザリガニ釣りをした事ない女子さえも、全員1匹は釣れている。

1位から3位までは、商品としてお菓子が貰えた。

そして最後「残念賞あるけどまさか0匹の人いないよね?」

と先生がみんなに言ってきた。

でも、俺は0匹だったから仕方なく恥ずかしいけど手を上げてみた。

そうしたら先生が「0匹だったんだ!」とビックリしていた。

この時俺は、またメソメソし始めた。

完全に極めたと思ったザリガニ釣りなのに、0匹なんて悔しかった。

そして残念賞で貰った物は、飴3個。

この飴を、その場で食べたが、何だか苦くてまずかった。

大好きなイチゴ味なのに何でだろう。

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